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[短い報告の後、ヒトガタは黙っていた。
胸の中に手を差し入れられる刺激に引き攣った吐息を零しても、口を噤んだまま]
して、もう少し強くならぬか
動けるようにはなったが、非力なだけでなくまだ脆い
[ツィーアはチリンと核を鳴らした]*
そう言うな。
[人形の沈黙を愉しげな目で見ていたが、ツィーアが不満を漏らすと小さく笑った。]
おまえが今回壊れかけたのは、あの剣のせいだろう?
他の損傷はおまえの復元能力があれば問題ない。
それでも硬さを求めるなら鎧でも身に着けるがいい。
そら、あの騎士の記憶があれば鎧も再現できるだろう。
…そうだな。あの剣は厄介だな。
それ以外でも光の攻撃で容易に壊れるか。
──なんならゴブリンシャーマンの記憶を植え付けるか?
連中なら、聖属性を防ぐ魔術もいくつか知っているだろう。
それが嫌なら、自分で習得するのだな。
[付け加えたひとことは、人形に向けたもの。]
[ゴブリンシャーマンの記憶を、と聞いて睫毛を震わせた人形は、幼子めいた仕草で首を横に振ってから俯くように頷いた]
天使?ああ…
あれは面白くて好い
あれも欲しいな。捕まえてみるか*
[人形の反応を笑って、それ以上は記憶については言わず]
おまえも好いと思うか?
あれも美味そうであったからな。
捕まえたなら私に見せるといい。
一部でも構わないぞ。
[まさかその天使がすぐ近くにいるとは知らずに、機会があったらな、という程度であった。]*
ドワーフだ
あれらは人間よりも弱かった
敵対するようだから喰らって良いな?
[手繰られた思念が波動を捉えると、ツィーアは嬉しげに鳴いた。
退屈は嫌いだ。特に我が王が玉座にいない時は]
ほう?
ドワーフどもがか?
[人間より弱い、と、敵対するようだ、の繋がりがわからなくて首を傾げる。
けれど、沈黙はごく短かった。]
[魔王は、ドワーフ相手に"裏切った"とは言わなかった。
ドワーフと言えど、所詮はいくらでも替えの利く凡百の雑兵と同じ。
敵対するとなっても、所詮はツィーアで一掃できる程度の相手だ。
裏を返せば、シメオンにはそれだけの信を置いていたということ。
魔界での信用に価値は無いが、手放すには惜しいという程度にはかの魔将を評価していたのだった。]
早く満ちねば。アルテスの湾を広げるために?
[諾が返れば喉を鳴らすように]
そう、あれもいるぞ
天使と…レオヴィルの王族か。あれはお前が壊すのだろう
[ロー・シェンについて言及する時、ツィーアの波動は不機嫌さを滲ませた]
私に、美しい姿を見せてくれ
そこに人形がいる
そうだ。
人間どもの都を丸ごと海の下にな。
[伝わってくるツィーアの波動は楽しげだ。
…と思ったが、それが少し乱れた。]
天使───
…と、あのロー・シェンか。
[天使の名もツィーアの不機嫌も意識から落ちて、声が煮え滾る氷点下の色を宿す。]
そうとも。
あれは、我の手で引き裂いてやらねば。
ナールにおまえの認知が繋がったら、おまえは私を乗せられるようになるわけか。
今もおまえに乗っているようなものだが。
───いずれおまえには、もっと感覚器官を付けてやるべきかな。
[ツィーアがこちらを見すぎて、人形の首がおかしなことになっているのにも気づく。
崇拝の眼差しは悪くないが、あれでは動けまい。]
自由に戦わせてやれ。
また壊れるぞ。
ツィーア。
ドワーフどもなど後回しで良い。
あれだ。あの娘を殺してこい。
ロー・シェンがいい顔を見せてくれるに違いないぞ。
我を目の前にして背を向けるほどだ。
よほど心寄せるものなのだろうよ。
喰らっていいぞ、ツィーア。
身体を持ち帰ったなら、人形をまた改良しようか。
あれの戦闘能力は素晴らしい。
あの鎌は、使えるようになるだろうかな。
人形の素体を刈ってきたのがあの娘で、
あの娘の命を刈るのが人形か。
なんとも麗しい円環ではないか。
ふふ。きっとロー・シェンも楽しんでくれようよ。
[機嫌のいい魔王の声は、返事など待たずに紡がれる。
愉快でたまらない、という風だった。]
ああ、強いぞ。
とても強い。
なにしろ、我の騎士を壊滅させてくれたからな。
何と言っていたかな…半端者?
…いや、掛け合わせだ。
魔物と人間の半分ずつで、戦闘技術は申し分ない。
人形にこの娘の記憶を加えたら、また強くなるだろうなあ。
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