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神父様、ど、して……。
[自室のベッドに一人きり。
掠れた声が僅かに零れて。]
嫌、です。
離れたくない……。
[どうしてこんな、残酷なことをするのだろうか。
苦しくて、胸が痛くて、溢れる涙を止めることが出来なかった。]
[天井を見上げていた虚ろな表情がふっと、「神父」のそれに戻り]
嗚呼、
……聞いてしまったんですね。
[無理なことと分かっていても、彼女だけは知らずにいてほしかった。
また泣かせてしまうであろうことが分かっていたから。
見えもしないのに、安心させようと笑みを浮かべ出来るだけこの心が声に表れないように明るく語り掛ける]
大丈夫、私だけだと聞いたでしょう?
皆さんには時間が与えられたんです、……貴女にも。
ね、だから私のことばかり気にしないでフレデリカさんの幸せを探してみて下さい。
……笑っていてほしいんです、貴女には。
[ぎゅっとロザリオを握り締め、震えかける声を抑える。
自分のことなどどうだっていい、彼女にはこちらばかり気遣わず自分のことを考えて幸せになってほしい。]
私の、幸せ……。
[どうしてこの人は、分かってくれないのだろう。
そのことがもどかしく、同時に愛おしいとも思った。
愛されることを知らない、幼子のような心を守りたい。]
心の赴くままに。
[そんな時ふと思い出したのは、妹のような彼女の言葉。
約束したのだ。自分の気持ちに嘘は吐かないと。]
ありがとうございます。
私は私の幸せを、必ず選んで見せます。
[決意に満ちた声はどこか清々しく。
涙は流れたままだったが、微笑みすら浮かべていた。]
心の赴くままに。
[そういえば以前も口ずさんでいるのを聞いた気がするその言葉
返したのは本音なのに、何故か繰り返し低い自分の声に乗せると心が痛む。]
ええ。
貴女ならば必ず幸せになれますよ。
[どこか清々さを感じる声に、誰か気になる相手がいたりしたのだろうか……と考える
それは祝福すべきことであり、自分が望んでいた彼女の幸福がその先に待っている筈なのに。]
……お休みなさい。
[何故自分は笑っていないのか、神父にはまだ分からなかった*]
貴女は、何を……?
[届いた声、心のどこかで分かりながらも理解したくはなかった
フレデリカには幸せになってほしい、だからこそ自分のことはもう考えないでほしいのに。
少しして自警団員が再び神父の部屋を訪れ、全てを理解させられることだろう**]
[何故、心の赴くままにと言ったじゃないか、言いたいことは沢山あったけれど]
どこに、いるんですか……!
[今はとにかく会いに行きたかった。
ローゼンハイムのことが蘇る、彼女も怪我をしたのか、そう思うといてもたってもいられなくて]
[胸に響く声に、びくりと肩を震わせる。]
(ああ、怒らせてしまった……)
[そう思えば思う程、心が凍りついてしまうようで。
彼を守りたいと思った。
幼いままの心を持った彼の手を握っていたいと思った。
けれどそれだけで、こんなにも胸が痛むものだっただろうか。
こんなにも想い焦がれるものだっただろうか。]
ごめん、なさい……。
[未知の感情に答えを返すことは出来ず、漏れたのは弱々しい声だった。
それ以上向き合うことが出来なくて、声が彼の元へ届くことはなかっただろう。]
ねえ、教えて下さいよ……
[自己を犠牲にして誰かを守る、神の僕として生きてきた男にはそれしか出来なかった。
それを許さないフレデリカの行動、積み重ねてきた全てが崩れていく音が聞こえる気がする。
男の震える声が彼女の心に届くだろう、迷子になってしまった子供のように一人では歩き出せない不安げな声が]
……私は、貴女を泣かせてしまうだけの男なんですか?
……守ることは、出来ないんですか
[「神父」として振る舞うことはもはや叶わず、そこにいるのはただの一人の男だった。
参加者を、何よりもフレデリカを守れない自分が嫌で仕方なくてとても苦しい。
結局、目指していた人々を守り癒す理想の神父になどなれないことに気付いてしまった。]
貴女はこんなにも強いのに……
どうして、私は……っ
[自分を気遣い無理に微笑む様は全てを包み込むサンタマリアのようで。
とても清らかで、優しくて、自分には辿り着けないところにいるように感じた。]
私は強くなんかないんです。
弱くて、情けなくて、我が儘で。
自分一人じゃ歩くことも出来ない。
[幼い子どもに言い聞かせるように優しく、暖かな声で紡ぐ。]
だから、傍にいてくれなきゃ嫌なんです。
[胸にじわじわと湧き上がる感情がある。
その名前を、自身はきっと知っている気がした。
彼にも伝わるだろうか。
伝わらなくてもいい。結局これは、自身の我が儘なのだから。]
他の誰でもなく、神父様でもなく。
――アルビンさんに、傍にいて欲しいんです。
[優しく暖かな声は心に空いていた穴を埋めていくようで
"「神父様」ではなく「アルビン」に側にいてほしい"――きっと自分はずっとそう言ってほしかったのだと思った]
……側にいれば、
いつか貴女を守れるように、なれるでしょうか。
[彼女が与えてくれたもの、同じぐらい返せるようになりたくて
きっと今の自分ではそれは出来ない、変わらなければ……
変わることは恐ろしい、26年の人生全てを否定し最初からやり直すようなものだ。]
……そうなりたいのです。
[震える弱々しい声は、そう言葉にした時だけは強く響き
恐ろしくとも、心からそうなりたいと思えた。
……男が少年だった頃、同じように変わり誰を守りたいと願ったことがあった。
初恋の少女はもう顔も思い出せないセピアの記憶の中の存在で、けれど。
――今抱いている感情は、あの時のそれと似ていた。]
今だって、いつだって、アルビンさんは私を守ってくれています。
[彼の優しさには救われていた。
子どもたちに向ける柔らかな眼差しも暖かな声も、全部が全部、胸にゆるりと染み込んで。
どんな人の前でも泣ける年ではなくなってしまったというのに、アルビンの前では自然と笑みも涙も素直に溢れた。]
私はアルビンさんと、お互いに守りあえるような関係になりたいです。
……それを、何と言うのかは分かりませんけれど。
[強い言葉に胸を貫かれれば、こちらも素直な願いが零れた。
守るだけでも守られるだけでもなく、お互いに支え合えるようになりたいのだと、そう思う。]
[今はまだ、名前はいらない。
そう思って、静かに微笑む。]
なら、もっとです。
私は勝手ですから、今のままじゃ満足出来ないんですよ。
[ゆるり微笑み否定はしないもののそう声にする
その言葉は嬉しかったが、そうだとしても今のままではいけない
"男"として納得がいかなかった]
……ええ
きっとなれる、そんな気がします。
[そう言う男の腕の中の彼女の身体は、ロザリオに感じた不思議な暖かさよりもずっと、愛しいもの]
私達は神に導かれたのですから……
[そして中庭から去る前、こう言う。
ちゃんとした声にするのは何だか照れてしまうから、こちらで]
……私も我儘を言っていいなら
……これから沢山、貴女に名前を呼んでほしいです。
[「神父」ではなく「アルビン」が必要とされていると思えたら
きっともう自分を犠牲にしようとはしないだろう*]
我が儘でも勝手でもいいんです。
私はアルビンさんの願いが聞きたい。
アルビンさんの望みを叶えたいんです。
[アルビンの言葉に頷く。
これはきっと、神様がくれたプレゼントなのだと、チャンスなのだと思った。]
アルビンさん、アルビンさん。
私はアルビンさんのことが大切です。
だから、ずっと一緒にいてください……。
[照れてしまうのはこちらも同じで、はにかみながら心で唱える。
この想いが名前に乗って伝わればいいと、ロザリオに願った*]
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