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―同室になった頃のこと―
えっ?いや……
[思わぬ詰め寄り方に内心たじたじになりながら]
あ、違う。嫌じゃない。
お前とするの……好きだし。
ただ、お前が毎日何回もされたら、
体力的に持つかなって心配になってさ。
それに限界はともかく、満足はしてるぞ。
あんなに我を忘れるほど夢中にさせられるとは、思ってなかった……。
俺こそ、お前に飽きられないように。
もっと技を磨かないとな。
[いつも、彼に手合わせをねだっていた。
彼の戦う姿が、好きだったから。
自分にはない力。
力そのものも好きだったが。
戦う時の彼が、とても生き生きとしていて。
――気付けば、いつだってその姿に見惚れていた。]
[模擬戦じゃ、勝てないなんて。
そんな生意気な口をきいてたけれど。
――本当は、真剣であっても、勝てる自信なんてなかった。
自分が認める、ただ一人の、剣士。]
…………胸を借りるつもりで、行きます。
[つい、本音が零れてしまった。
それは、士官学校の頃、手合わせをねだった時。
いつも、かけていた言葉。]
――同室になった頃のこと――
[“お前とするの……好きだし。”
その言葉が、やけに耳に響いて。
顔が赤らむのを実感してしまった。
他の人に言われても、何も思わないのに。
彼にそう言われると、妙に嬉しくなるのと、気恥ずかしくなるのは、どうしてだろう。]
…………それは、どうも。
[そんな想いを隠すように、ぶっきらぼうに応えてしまうのだけど。]
……体力は、やっているうちについていきます。きっと。
[根拠などなかったが、拗ねたように告げる。]
満足……して貰えたなら、良かったのだけど。
[そういって見上げれば、ずっと、不安に感じていたということがわかってしまうだろうか。]
初めて……だったのも、あるけど。
無我夢中で、気付けば意識もなかったし……。
…………それに比べて、その……先輩は、凄かったから……。
――トール卒業後の、ある日――
[寮の前で彼の姿を見つけたなら、いつもの冷静な顔が、一瞬で満面の笑みへとかわった。]
――――――……先輩!!
逢いたかった――……。
[笑顔を隠すこともせず、嬉しそうにトールの元へと駆け寄る。
――――――――だが。]
・・・・・・・・・・・・・・・ぅ?
[嬉しさのあまりその胸に抱きついた瞬間の彼の反応に、違和感を覚えれば。
どうしよう……と、その場で硬直するのだった。]
[その後しばらく。
トールの胸で甘えたいのに、あまり抱きついたりくっついたりしてはいけないかなーと、自らに言い聞かせ。
それでもやはり、傍にいたくて。
寄り添いたくて。
どうしていいかわからずに、
トールの傍をひたすらうろうろとする、リエヴルの姿が見られた。]
[昔より一層冴えたリエヴルの剣技。
早くて鋭くて、抉りこまれるようで、
模擬刀ではなくて真剣であれば、
たちどころに致命傷をくらってしまうのではと思った。
だから受け止めるだけではなく、
この剣を躱せられるように、
密かにリエヴルの剣技を観察し、打ち合いのたびに意識して]
そんなつもりじゃ……死ぬぞ?
[これは真剣勝負だ。
それもお互い国を背負った――。
胸を借りるつもりで挑まれたのではかなわないと
うっすらと笑んだ]
[何度も手合わせを頼んだ。
そして、何度も打ち合いを交わしてきた。
こうして、真剣を持って対峙していても、やはり目の前で燦めくのは尊敬する人の剣技で。]
………………本当。
先輩は、ずるいなぁ……。
[こんなにも、自分を惚れさせてしまうなんて。
命の駆け引きをしているはずなのに。
自らに襲い来る剣筋さえも、愛おしく思えてしまう。]
……あいにく、死神には嫌われているんです。
同類だとでも思われているんでしょうね。
[そう呟き、くすくすと笑った。]
…………何度も、死に損なった身ですから。
[たとえ、トールが相手であろうと。
今はもう、負けるわけにはいかない。]
<b>― 卒業後の、ある日 ―<b>
[リエヴルの姿が見えた――と思った瞬間。
満面の笑みでリエヴルが駆け寄ってきて抱きついてきた]
…………!!!!!!
[痛い。
こんなに喜んでくれるのは嬉しいが、でも痛い。
肋骨を折った身に抱きつかれては、とにかく腹に響く。
大声をあげて呻きそうになるのを、意地で耐えて]
お、おう……。
元気にしてた、か?
[平静を装っていたけれど、
表情にも口調には苦悶のあとが残っていたかもしれない]
[それから暫くは、
まわりをうろちょろする可愛いリエヴルを抱きしめたくても
あの痛みが忘れられずに、頭を撫でるだけに留めていた]
…………そんな台詞、先輩には似合わないですよ。
[自分には似合いそうだから困る。
しかし、そんな言葉でさえ。
自らに向けられていると思えば、どこか、心が熱くなるのだった。]
――トール卒業後のある日――
す、すみま……せ……。
[抱きついた時のトールの様子>>@62は、どこかいつもと違っていて。
あぁ、無理してるんだろうな……というのが、見て取れた。
そう、それはつい先日自ら身をもって経験した。
右手の痛みを耐えている時の状況に、とても近く見えて。]
[痛むのは肋骨なのだろうか。
抱きつけないと思えば、寂しくもなり。
心配にもなり。
周囲をうろついていたかと思えば、心配そうに隣に立ち。
そっと、甘えるようにトールの肩にもたれかかった。]
[それから暫くは抱きつくことは諦めて、そわそわとトールの周辺をうろつきながらも。]
……………………。
[時折、耐えかねたかのように、そっと背中から身を寄せるのだった。]
[殺し合わなくてはいけないと、知っていたはずなのに。
撃たれたのは肩なのに、
狙われた胸の方が、ズキズキと痛みを訴えていた。]
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