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…そう、有難う。
[なんて、素っ気ない返事をするのは何だか気恥ずかしいからで。
顔を見られなくて良かったかもしれないと思った。]
呑気ね……いつの間についてたかも分からないのに。
誰かの悪戯ならいいんだけど。
[いつの間に通信機がついていたり、拾ったり。
そんなにころころ転がっているものかと疑って、最終的にいたずらで落ち着くあたり警戒心は案外薄かった。]
警戒してもどうしようもない事を警戒しても、ってことです。自警団がこんなに山ほどいるんですよ。彼らがやった事なら防ぎようが。
[別の意味で警戒心が薄かった。
あきらめてるとも言う。]
そうですね、それなら警戒されそうなことでも。後ほどお会いできますか?
せっかくなら顔を見てお話がしたいですから。
[くすり、と笑ってみせた。]
まぁ、それもそうよね……。
[確かにそれもそうか、と納得したらしい。
とりあえず何かあるまで持っておこうと決めたらしく、通信機への警戒は破棄して。]
…警戒されそうなこと、ってなにかしら?
会うのは全然構わないけど。
[不思議そうな声色でそう返す。
返事を聞かないで誘いを承諾するあたり、見知った人物への警戒心は薄いのかもしれない。]
……なんでしょうね、このもやもや感。
誘っておいて言うなという話ですけど、深夜に二人きりで、とか言い出したらどうするつもりですか、もう。
[わざとらしい溜息。]
言いませんけれど。すごく言いたくなりましたよ?
自分の魅力、自覚した方がいいですアイリさんは。
深夜……?
[少し首を傾げたが、やがて思い至ったらしい。
そして不思議そうな声で]
…ウェルシュさんはそんなことしないでしょう?
それに、十分気をつけてるもの。
[どうやら『いい人』という印象が強いらしく、言いたくなったと言われてもけろりとそんな言葉を。
本当に気を付けていれば、少しくらいは気にしそうなものなのだが。]
それにもしそうなったら、ちゃんと逃げるくらいは出来るわよ。
逃げられたらショック大きそうですね。いえしませんけど。アイリ姫のご信頼を裏切るなんてとてもとても。
[やれやれ、とちいさくつぶやく。
すこしくらい、踏み込んでもいいか、と。]
……言っておきますけれども。
しない、であって、したくない、じゃないんですからね?
それでは後ほど、お昼でもご一緒に。
散歩か読書でもいいですけれども。
…その姫って呼び方、すごく恥ずかしいわ。
[姫なんて性格でも、呼び方が似合うわけでもない。
恥ずかしいし、顔が赤くなって柄にもなく慌ててしまうのだ。]
……ひ、一言余計だと思うの…っ。
[どうしてそうも照れるようなことを言うのか、本当に通話機を通した会話で良かったと感じる。
何故こんなにも恥ずかしがってるのかなんて、分からないけれど。]
…えぇ、分かったわ。
それじゃあ、ご飯の後に少し中庭にでも行きましょうか?
[読書は集中してしまうと周りの声が聞こえなくなるため、会話が出来ないのは駄目だと。]
恥ずかしがるアイリさんはとっても可愛いですけれどね。まあ、あんまりからかっちゃいけませんよね。
[くすくすと忍び笑いが漏れる。まるで見えているように。実は見えているのかもしれないが。]
わかりました。ではお昼頃にお迎えに上がりますね。愉しみにしています、心から。
ああ、なにかあればいつでも。
…もう。
[何を言い返してもかわされている気がする。
実際そうなのだろうが、向こうは一向に照れる様子が見えないのがどうにも悔しい。]
お昼頃ね、分かったわ。私も楽しみにしてるわね。
[何かあればいつでも、と言われると此方も同じような言葉を返して。]
[通信機から聞こえるドタバタに、いったい何が、と首をひねりつつ。
まあトラブルなら声をかけてくるだろうから、とあえてスルーの構え、だったのだが。]
……なにかありました?
[ただならぬ雰囲気に、気をもみつつ、どうやらおさまったらしいと。
ひと声かけてなにもなければ放っておくつもりで、つい。]
…えっと、実は……
[若干まだ涙声で、今の今まで起こったことを説明する。
焦ってしまい頭が回らず、子供のようにシルキーにつられて泣いたのは恥ずかしいので言わないが、声でバレたかもしれない。]
……とりあえず、今は落ち着いたわ。
[零れた溜め息は、一体なにに対してか。]
すみませんでした。
[口から最初に流れでたのは、そんな言葉だった。]
わたしが軽率に服を薦めたりしたから、でしょうね。シルキー嬢にも後ほどお詫びしておきます。
それから、アイリさ……ん。ごめんなさい。そばにいなくて。
慰める、こともできない。
[ぽつり。]
……ど、どうして謝るの?
私には謝らなくても大丈夫よ。
[動揺して、思わずそう口走っていた。
シルキーの服を詳しく知らなかったのだろうし、謝らなくても構わないのに。]
……な、泣いてない…わ。
私は平気だもの、慰めなんて………
[意地を張るが、やはり泣いていたのはバレバレで。
気遣わせてしまったと、また少し目が潤むのだ。一度涙腺が弱くなるとダメになってしまう。]
笑顔のアイリさんに、会いたいですから。
友達のために泣ける、アイリさんも、それは素敵ですけど。
[できるだけ、できるだけ明るい声で。
泣いていて欲しくは、ない。不思議だけれど。]
せめて、隣にいるときがいいです。
つけこみやすそうですし、そんなときは。
[だから、せめても冗談に流そう。それで済むのなら。]
……つけこむって、…ふふ。
[変わらないウェルシュの言葉に、安堵した。
そして無意識に笑みを零して、気遣いとなんとなく分かっても、それがうれしくて。]
それじゃあ次からは、ウェルシュさんの隣で泣こうかしら。
[冗談めかした言い方でそう言った。
先ほどより、少し声色は明るかっただろう。]
そうしてください。
アイリ……は、わらってるほうが、かわいいですし綺麗ですから。
[冗談めかしつつも。
ほんの少し、ほんのすこしだけ声色に安堵が混じってしまったかもしれない。]
うん、もう大丈夫そうですね。よかった。
…えぇ、ありがとう……ウェルシュ。
[アイリと呼ばれたのが何だか嬉しくて、少し微笑みながらそう返す。
少しは耐えられるようになったのか、照れたような様子はあまりない。]
心配かけて、ごめんなさい。
でも、嬉しかったわ。
[もう大丈夫だろうと分かる、明るい声でそう言って。
目はまだ赤いが、もう涙は出なかった]
いいえ。引き金を引いたのはわたしのようですし。
それに、口説いている相手が泣いていて、なにもしないほどまだ真っ黒には成りきれていませんからね。
[こちらも、努めて明るい声で。]
それでは、またお昼に。
そうそう。
化けの皮、はいでくれるのを愉しみにしていますよ?
…それ、まだ引きずってたのね。
[口説いているなんて、改めて聞くとやはり恥ずかしい。
他の人にも言っていそうだと思うが、同時に少し信じてみたい自分もいて。]
─あら、勿論よ。
その化けの皮、頑張ってはいであげるわ。
[くすりと笑い、そう返す。]
ええ、完全に本気で信じてもらえるまで、ね。
[くすりとわらう。かわいいな、とおもった自分がいて。]
ええ、愉しみにまっています。いつまででも、ね。
[そんなふうに。心から。]
[広間を離れつつ、通信機に小声で。]
よろしければお昼は中庭でとりませんか。
なんだか広間の雰囲気が変ですし。
できれば二人きりがいいですし。
[泣き跡がまだありそうだし、とも思うが、それはいわずに。]
中庭ね、分かったわ。
[広間の空気が変だという言葉には、不思議そうにするもどうしてかまでは問えず。]
…そうね。私も二人が良いわ。
その方が、化けの皮をはがせそうじゃない?
[少し笑って、冗談のようにそういって。
会うまでに涙の跡をどうにかしなければならないと心の中で考えた。]
[そのまま、そっと手を引き寄せる。]
……ばーっか。
かわいすぎるんだよ、アイリは。
もうちょっと警戒心もてって、いったよなあ、俺。
惚れるよ?もう惚れてるけど。
[手を引き寄せられて、少し驚きながら]
……ばかじゃないし、可愛くもないわ。
警戒心だって、ちゃんと持ってるし……。
[ばかと言われたのは二回目だ。
嫌でもなんでもないけれど、少し拗ねたふりをしようと。]
─私も、いつの間にか、好きになってたみたいだわ。
そっか。それはごめんな。
じゃあ、訂正。
ばかじゃないけど、すごくかわいい。ものすごく。誰より。
[拗ねてみせる様子に、笑顔がこぼれて。その頭を引き寄せながら。]
そんなかわいいアイリが、すきだよ。俺もね。
[ばかの方がまだ照れずに済んでましだったかもしれない。
嬉しいけれど恥ずかしさや何やらで、顔が真っ赤に染まるのが自分でも良く分かる。]
……私も、どんなウェルシュでも好きだわ。
誰よりも、かっこいいと、思うの。
[精一杯の勇気を振り絞ってそう本心を告げ、ウェルシュに抱きつくような体勢になって顔を隠した。]
……やっぱり、警戒心がない。
[抱きついて顔を隠してしまったアイリを、両腕で包んだ。
そのまま、ぎゅっと抱きすくめる。]
……あったかい、なあ。
[崩れそうになった顔を、引き戻して。]
俺がこのまま力任せに押し倒そうとしたらどうするんだか、この可愛いお嬢さんは。
しないけど、な。するかもよ。
[恥ずかしがっているせいか、警戒心がないという言葉は聞こえなかったようで。]
……どうする、かしら。
[押し倒されても逃げられるだろうとアイリは思っているのだが、男女の力の差を甘く見すぎだった。
言葉にはしないが、そう思っているからか声色はあまり悩んだ様子ではない。]
……しないって、信じてるもの。
[ちらっと上目遣いになりながら微笑みそう言って、またすぐに俯くのだった。
まだ顔は赤いらしい。]
……ずるくね。その表情。
そんな表情で信じてるっていわれたら、したくてもできないだろ。
[冗談めかして、腕のなかにいるひとに声をかける。]
まあ、しないよ。まだ真っ赤になって照れてるひとにはな。
そのかわり、たっぷり抱きしめるけど。
[腕の力を強くして、ぎゅうっと抱きしめた。]
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