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[ポケットをごそごそとさせて相棒は首を捻る。
中から出てきたのはシルバーの指輪。
十字架に掘り込まれた部分には桃色の色が入っていて可愛らしい。]
ん?
俺、こんなの持ってたっけ。
なぁなぁ、カラドさん。
俺が拾ったのってヘッドセットじゃなかった?
『あぁ、その筈だが。
そちらはもう片方のポケットに入っている筈だぞ。』
…本当だ。
これも何かの通信機器かな?
[そのようだな。
効果はもう一つと変わらなそうだが。]
[指輪はぴたりと薬指に収まった。
さて、これが通信機だとしたら、対を持つ相手は一体誰なんだろうな。]
あー。
もしもし聞こえますかー?
こちらツェーザルです。どうぞ?
[相棒は可能な限りさりげなく指輪に向かって声を掛ける。*]
[手を伸ばして飲み干した赤いワインの底から現われたのは金の指輪だ。
彫られているのは稲妻を象った剣。桃色に赤ワインの色素が被ってほんのり紫色をしている。]
この象徴は…
[見つめていると、ドス黒い執念が吹き散らされた。]
愛は憎悪より強し…!
[そっと薬指にはめてみると、声が届く。
ツェーザルと名乗っている。>>@1
あー、胸キュンです。
向うにはまだこちらが誰かわかっていないようです。
どうしよう、悪戯したい、したいんですが!
うふふふふ…と幸せな笑みを浮かべつつ、戻りはまだ先になります。**]
[指輪にそっと囁いてみる。]
わたくし、ウェザーレンジャーのイエローサンと申します。
お知りになりたいのは、
1. 明日の天気
2. わたくしの体温
3. 曲がり角であの子とぶつかる確率
4. *料理、出します。*
5. 年越し蕎麦前線
6. カラドボルグ降雷注意報
どれでしょう?
[指輪が嵌っているのは左手だ。
何故左手なのかといえば相棒の利き手が右手だからなんだが――薬指にぴったりサイズというのは何やら意味深だな。
何やら別の気配も感じるんだが、それは指輪で打ち消されているように思える。
相棒は気付いているのかいないのか分からないが。
その相棒はといえば、そわそわと髪を整えるふりをしながら相手の応答を待っていた。
お前は気になる子からの電話を待つティーンエイジャーか。]
…!
来た!
[顔を輝かせる相棒を生暖かく見守る。
届いた声は二人の女性とは違うもののようだがな。
しかしウェザーレンジャー…はいたか?
まだ会っていないだけなのか、或いは。]
あ、初めましてイエローサン!
宜しくお願いします!
[相棒は全面的に信用する方向性のようだ。]
えーっと、2(6x1)を聞いてみたいな、なんて。
[うむ、取り敢えず見守っておくか。]
[うむ、テレビのお天気お姉さんの声はもっと柔らかめだったでしょうか。こほん]
わたくしの体温に興味がおありなのね。
この指輪の温もりがそうですわ…!
ざっと、35+2(6x1)度です。
[指輪に、ハーッと息を吹きかけてみる。]
[通信相手の性別は己には―当然相棒も―分かっていないが、
わたくしという一人称に女性的なイメージを引き寄せる。
言葉とは実に不思議なものだ。
そうして、それに続く言葉は彼女いない歴年齢の相棒にはなかなか刺激的だったようで。]
ふへっ?
え、や、そっ、そそ、そのぉ…っ。
――ッ。
[縺れる舌でそんな言葉を紡いでいたが、相棒の耳の近くに寄せていた指輪の嵌った左手が、びくりと震える。
通信機が相手の吐息をクリアに此方に伝えてくれたお蔭で相棒の顔は真っ赤になっていた。
うっかり己も光ってしまったぞ。]
えと…その、ちょっと熱いっすね?
お酒でも飲んじゃいました?
[あははと笑ってはいるが、動揺は誤魔化しきれていないだろう。]
[銀の指輪は共鳴するように光る。
思わせぶりな言葉に相棒の顔は更に赤くなった。]
…?!
あ、あはは。またまたぁー。
[声は上擦っているし、どぎまぎしているのは向こうにも伝わるだろうな。]
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