情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
ガート …
[投げ掛けた声が、響きが返ってくる。
それはとても弱弱しくて、今にも途切れそうで]
…ッ ばか!
やめろよほんと、そういうの、
[認めたくなくて、信じたくなくて、首を振る。]
別に泣き言なんかいわねぇし!
こことか言われてもわかんねぇし!
[ずっと甘えてた。最後まで、こんなに甘えてる。
違うのに。こんなことは言うべきではないのに。]
ガート、
嫌だよ。
帰ってこいよ …
[無茶ばかり、言う]
ガート、俺 … 、俺 ───!
[どんどん弱くなっていく声へ、必死に声を投げる。
そうすることで繋ぎ止められると、
引き戻せると信じたかった。
だが友の声は掠れ、震え、
だからこそいっそう透明に響く。]
あ あ …
[信じてる。
未来を。
酷く綺麗で透明な場所へ、言葉が吸い込まれていく。]
お れ …
[言わなきゃ。間に合わなくなるまえに。
言わないといけないのに、うまく伝えられない]
おれ、ちゃんと、つかむよ、
このくにの、みらい。
おまえといっしょに、
ちゃんと、きりひらく、か 、ら
[必死で投げた声に、最後の言葉が響いて、消える。]
う……
わああああぁぁぁぁぁぁ ぁぁぁぁ ぁ ……
[もはやなにも響かぬ思いの空に、
長い慟哭が吸い込まれていった。]
………おまえを死なせて、
おっちゃんを殺しにいって、
俺は、どこに行こうというんだろうな。
[どこにも届かない声は、空しい。]
[それでも、どこからか声が響いた気がして、
それは例えば、
自分の願望が作り出した木霊かもしれないけれど、
とても、温かな、熱を感じて、]
……わかってるよ。
これより痛いものはない、って、
約束したもんな。
[額を押さえ、静かにわらった。]
ナミュールを壊したいわけじゃない。
巫女姫を弑したいわけでも廃したいわけでもない。
俺は今のナミュールを愛しているし、
これからもこのまま、美しいナミュールでいて欲しいだけなんだ。
[矛盾する心と言動。けれど根はひとつ。]
それでも、
このままじゃナミュールが壊れると思ったから、
できるだけのことをしたくて俺は、
……時々、後悔するよ。
自分のしていることは間違いじゃないかと
ただ、壊しているだけなんじゃないかと思うこともある。
俺がこんなことを始めなきゃ、
死ななくていい命がいくつも、いくつもあった。
それでも、だからこそ、
俺は、
やり遂げなきゃならないんだ。
巫女姫を解放したいと言っている俺が、
多分、一番巫女姫を束縛しているんだ。
[ぽつりぽつり。思いは零れる]
本当に解放するつもりなら、巫女姫なんて役職をなくせばいい。
でもそれはできないし、させられない。
巫女姫がいなくなったら、ナミュールは壊れてしまう。
矛盾だな。
とんでもない自己欺瞞だ。
[自嘲。]
[想い響き合うこの場所に友がいたころは、
こんな風に荒れることはなかった。
自分を疑うことも自分を卑下することも、
いまほど深くはなかった。
理想をまっすぐ見ながら、現実的な方法を打ち出す。
それを迷いなくできていたのは、支える手があったからだ。
自分の話に付き合い、時には叱咤してくれた友がいたからだ。
改めて、失ったものの大きさを思い知らされる。]
[こんなことではいけない。
これでは友との約束を違えてしまう。
沼から這い出そうともがくも、今はまだ抜け出せないまま。]
[クレメンスを見た瞬間、心は大いに揺れた。]
こっちが、必死で、戦う決心付けたっていうのに、
なんでおっちゃん、こっちにくるんだよ…!
顔なんか見たら、また戦うのが辛くなるだろッ…!
[心の中のもろもろを言葉にしたあと、
落ち着いてみれば、恥ずかしさが沸いてくる。]
食えないおっちゃんだよな、まったく。
おまえ、今呆れてるだろ。
……ああ、またかっこ悪いところ見せちまったなぁ。
[そっと声を響かせて]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新