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ーとある一人の少女の話ー
[あるところに、一人の女の子がいました
男の子の格好をして、男の子の名前みたいな名前を自分でつけて
男の子に憧れる、女の子がいました
ある日仲良く遊んでいた男の子から言われます
『お前なんてどうせ女じゃないか!』
泣きながら走って走って
気がつけば女の子はとある古びた洋館の前にいました
そこで出会ったのが紫の髪の女性です
優しい声、柔らかな笑顔の彼女に名前を呼ばれればとてもうれしくなります
だから女の子はこう思いました
『ずっとここにいられたらいいのに』
でも現実はそんなにうまくいきません
色々忙しくなって、女の子はその館にこれなくなりました
ずっとこれなくなりました
そしていつしかその記憶もわすれかけてしまいます
紫の髪の優しい人のこと
ひとりでになるオルガン
可愛い人形の様な女の子のこと
ほかにも、いろいろ
そして時がたち、女の子は高校生になりました
おさげ髪を揺らしながら、友達たちと話します
今日のテレビのこと、試験のこと、美味しいクレープ屋さんのこと
そんなある日、雨が降っていた日のことです]
[友達とプレゼントを買いに行った女の子は]
ざ
ぁ
ざ
ぁ
ざ
ぁ
[赤い、色
夕日よりも真っ赤、水に溶けて
かえりたい
かえりたい
むかしの、あのばしょ
おもいでのばしょに
『理想の自分の姿で逢いに行きたい』]
[記憶の中の女の子は考えました
ねぇ誰とお話ししたい?
ねぇだれとお話ししようか
――できれば、私以前にあった人がいいなぁ
『僕』が『私』としてあったことのある人
そう、考えればくぃ、と引っ張る縁の糸
ごめんね、と小さく呟いて、黄色の糸を結ぶは司祭様へ]
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