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[しかし、為政者としてのカレルには、エトヴァルトを放置するわけにはいかない事情がある。
魔術のために数多の生贄を購い、監禁し、またその死に関わった罪に対する死の判決を申し渡し、その上で、彼に問うた。]
やりたいことがあれが、言うように。
[それは、エトヴァルトだけに特別に投げかけられた問いではない。
魔軍に与して処罰される者すべてに同様の確認がなされる。
生きていてこそ、という思いの強いカレルは死罪の執行に慎重である。
問われた者が、誰かのために、贖罪のために、荒廃地の復興などに従事することを願うならば、死罪を猶予した。]
[しかし、エトヴァルトに向けられた問いはそれと同じ形でありながら──異なる部分もあった。
それは、彼が望んだ「自由」「自己選択」を与えられた時に何を為さんとするかの問いかけだった。]
− 後日譚 戦跡 −
[新たに選抜した守備隊の徽章に、カレルはレト・ヴィオレンツァの個人紋章を採択した。
先の戦いにおいて、各地を転戦して民を守ったその旗印は皆の記憶にも新しいだろう。
カレルは、レトの戦死した谷や王剣の塚など、激戦のあった各地に碑を建立して、鎮魂と団結の形を後世に残すことにも努める。
ハールトの解放碑は戦時中に黒焦げた建材でつくられたドラゴン像の足下に築かれ、以降、ハールトは竜を街の守護獣としてシンボルに掲げた。
また、カレルはグランツェルツ橋の近くに新たに生まれた森を国定公園とし、エルフと共同で管理することと定める。
そして、自分の死後は、その中で一番高いクラリッサ丘陵のふもとに葬るよう命じた。]
― 後日譚 ―
[戦いの後、男はエルフやドワーフに失った左腕を見てもらった]
やはり腕は戻らないよね…ま、仕方が無いさ。
[落ちた左腕は既に石化しており、左肩も石化した状態で傷を塞ぐような形。
言われた時に治療しなかったからだ、とエルフに怒られたが、男はそれも天命と笑って返した]
私の腕一つでアレの気を逸らせたなら安いものだよ。
平和への代償と思えば、気にもならない。
それから…義手は遠慮させてもらうよ。
これは、このままにしておいた方がきっと良い。
[不便だろうとドワーフが申し出てくれたことに、男は首を横に振る。
腕を失った姿を見た周囲が忘れないように、何より自分が忘れないように、遺しておくべきだと判断した]
[王子やベネディクトは戦後処理に追われているようだった。
魔軍の残党の掃討も残っているし、これから国を立て直していかなければならない。
どちらも歳若い身であるが、彼らにしか為し得ないこと。
きっとやり遂げてくれることだろう。
そして男は]
済まないねぇ。
どうにも宮仕えと言うのは性に合わない。
それに、私にはまだやるべきことが残っているからね。
[王子からこれからも共に、と望まれた>>85がそれを辞した。
継承譜の再編が終わっていないため。
今回のことで分かった部分も多く、それを一族皆が知ることの出来るようにしなければならない。
一度途切れさせたが故の対処法だった]
[傍仕えは断ったものの、王子に協力する想いは変わらない。
だから、彼の願うことに対しては]
私に年代記を…?
それは光栄なこと。
是非携わらせて欲しい。
[男から願い出るように言い、諾を返した。
男の一族は世の事象を語り継ぐ者。
シェーンバルト王国の変遷も伝えられてきている。
これほど遣り甲斐のあるものは無いだろう]
国の起こりから全て、書き記してみせよう。
[そう言って、男は王子に笑いかけた*]
― 後日譚 ―
[儀式の贄として、血を捧げる。
そんな状態から抜け出した直後の術行使。
そんな諸々の消耗から意識を落とした青年が再び意識を取り戻すまでには、さすがにというか、時間を要した。
それは、ある種の逃避──目覚める事への忌避の念も、少なからず作用していたが故かも知れないが。
ともあれ、深く共鳴する真白の妖精と共に意識を落とした青年は、数日、眠りの淵に沈みこみ──]
……俺が。
[それから、数拍間を置いて。
零れた声は、ほんの少しだけ、柔らかい響きを宿したもの]
『エディ』が、本当にやりたい事、求めるものは。
国っていう枠の中じゃ、叶わないし、得られない。
その枠を超えた先にある、知らないものをみたい……それが、
[ぽつぽつと零れ落ちるのは、問いに隠れたもう一つの問い>>89への答え]
……何より……二君戴く心算は、今でも、ない。
光とか闇とか、血の契約とか。
そんなのは、一切、関わりなく。
俺自身が望んで、主と定めたあの方以外に、忠義を向ける事は……できない。
……ずっと、欲しかった言葉があった。
けど、誰もそれをくれなかった。
闇を抱いて生まれたのは俺のせいじゃない、とか。
光で抑えれば大丈夫だから、とか。
……そんな気休めとか、慰めは、いくらでももらえたけど。
[止め処なく零れ落ちるのは、今まで抑えていたもの。
今更隠し立ててもなんの意味もない、という思いと。
これを聞いた上で、王子がどう判ずるのかを知りたい、という思いと。
それらが綯い交ぜになって、言葉を紡ぐ]
俺の中の闇、それが俺の力だって事は、誰も、認めてはくれなかった。
[でも、と。
ここで一度、言葉を切って]
あの時、あの方は、それを認めて。
それを、更に先へと向ける道を、示してくれた。
……俺がずっとほしかったものを、幾つも、くれた。
それがあったから、俺は、この二年間生きてこれた。
[そう、告げる言葉は、どこまでも淀みなく]
……けれど、これは、あくまで俺の主観で。
他と相容れないのはわかってる。
わかってるからこそ、『ここ』で生きる道を
[カレルに向ける視線も、揺らぎなく、真っ直ぐなもの。
思う所を思うままに伝えた青年は、一つ、息を吐く。
今は毛玉の姿の真白がぱたり、と尾を振った。*]
― 後日譚 エディと ―
[エトヴァルトに訊いた「やりたいこと」。
それはこの国内で、という制限をつけたつもりはないのだけれど、彼から返った言葉は『国』に固執したもので、それは、それだけ彼が国という枠組みに拘束を感じていることを図らずも示していた。
そしてまた彼は、闇も自分の力であると、周囲から認められないことに苦しんでいたと吐露する。
ギィはそれを与えてくれた、それがあったから生きてこられたのだという告白は胸にしみた。]
おまえは、何も言わずに耐えていたんだね。
[カレルは、この目付役を、年上の「できた大人」と見ていた。
けれど、彼もまた自らの存在に思い悩むひとりの若者だったのだと腑に落ちる。]
わたしが、おまえにとって苦しみを打ち明けるに値する人間ではなかったこと、
おまえの苦しみを取り除いてやれる器でなかったことを残念に思う…。
[そんな悔いを口にした後、為政者たるカレルは、エトヴァルトを正面から見つめた。]
何をやりたいかという問い──
それは、この先、「他者のため」におまえが何か──それが何であれ、「自分のため」ではなく、誰かの幸せのために己の才と力を使うことを望んでいるかということを、訊いてみたかったんだ。
けれど、おまえの眼差しは、まだ、自分にしか向いていないように思う。
それは、少し哀しい。
おまえには、その先へ進める力があると思うから。
おまえは自分の抱く苦しみゆえに数多の血を流してきたことを、重く受け止めてほしい。
[カレルは、エトヴァルトに対する死罪判決を取り消さなかった。]
さらばだ、エディ。
おまえが、いろいろな人間が暮らす広い世界へ、かつてわたしに対して向けてくれたような慈しみをもって向かい合ってくれることを願っている。
[監獄へ戻されるエトヴァルトの手に滑り込ませたのは、彼のものである髪飾り。]
難しいことじゃない、
この子を悲しませないことから始めれば、いいと思うよ。
[真白な毛玉にそっと手を伸ばした後、踵を返した。*]
…………っとに。
そういうとこが、甘ったりぃんだって、の。
[口をつくのは、ぼやくような声、ひとつ。
真白がもそり、と動いてきゅ、と鳴く]
ま、でも。
そんなだから……俺も。
ついてけたのは、間違いないんだよ、な……。
……ま、何はともあれ。
向こうがそういう心算なら、せいぜい、派手にやってくか、ね……。
[く、と笑って手の中の髪飾りを握りしめる。
声音に不穏なものを感じたのか、真白がきゅー、と鳴いた]
……『国』の都合で捻じ曲がった人生。
『最期』まで、『国』の言いなりになるなんざ、真っ平御免だから、な。
[言いながら、そ、と傷つけるのは左の手首。
滴り落ちる紅を血石に食ませて紡ぐのは──]
[数時間後、突然発生したのは魔力の暴発。
後に残されていたのは、魔力が爆発した跡と、一目でそれとわかる血痕だけ。
青年と、真白の妖精の姿はどこにもなく。
傍目には、その場で自害した──ようにも見えたかも知れないが]
[力の波動を細やかにたどる事ができたなら。
その直前に、念入りに編まれた転移術が発動していたと気づくは容易い事。*]
― 後日譚 ―
[戦いが終わった後、男は再び己の役割へと戻った。
そこに加わった、年代史編纂の役目。
王子達との繋がりは途絶えていない]
これまでの王国の変遷の写しを用意してくれるかい。
用意したら先に王城へ運んでおくれ。
私は後から向かう。
[左腕の欠損はこれまで通りの生活を困難にした。
荷物の運搬などしなければならない時は一族の手を借りるより他無く。
年代史の変遷には男以外にも一族の者が携わることになった]
[左腕の欠損は魔術の行使にも影響した。
これまで使っていた呪具──ピジョンブラッドの指輪は左腕と共に石化。
触媒の精製には新に呪具を作る必要が出来た他、右手のみでは精製が困難と言う状況にもなった]
方法が無いわけではない、けれど…。
[片方しか残っていない右手を傷つけて、ファルカタがしばらく握れないと言う事態に陥るのは拙い。
かと言って他を傷つけて、と言うのもなかなか難しい話]
しばらくは力を借りるか。
[代替策が見つかるまでは、と右腰に提げた
[後にこの呪具は一族の宝として祀られることになる。
時の王を支え、男に力を貸した偉大なる竜の伝説と共に**]
― XX年後 ―
あ。
[眠るように目を閉じ座っていた青銀色の竜が、何かに気づいて顔を上げると、背に体を預けていた男も目を覚ましその背から降りて来た。]
おかえり、フォアレ。
おかえりは違うか。いらっしゃい?
[出会った頃とはずいぶん色の違う竜は、随分若い声で、それでも往年の面影を色濃く残したまま長い尾をゆっくりと揺らした。]
ロル、ほらフォアレが来たよ。
…あれもう起きてた?
ずっと見ていたよ、別れてからずっと。
[慈しむような眼差しで竜は友を友と出迎える。]
おつかれさま。本当に、おつかれさま。
ずっと話せなかったから、話したい事がたくさんあるんだ。
さぁ、何から話そうか。
[傍らの友を見やりながら、もう一人の友へと語りかけて。
手を伸ばす。
もう離さず居られる事を、心から喜びながら**]
[カレルの親筆とされる書『折れない翼』の一節。]
我らは、自分がかつて弱い幼子であったことを忘れてはいけない。
弱き者を守り育てることが、人の使命であり、光ある未来へ続く道である。
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