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主計官 ラートリー に 6人が投票した
領主 オズワルド に 1人が投票した
主計官 ラートリー は村人の手により処刑された。
神秘学者 アデル は哀しみに暮れて 主計官 ラートリー の後を追った。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、語り手 、令嬢 シルキー、領主 オズワルド、次期領主 ディーター、政務官 ベルティルデの5名。
[週の初めは何時もヒュプノスに魅入られる。
寝台の温もりは手放し硬く、枕元に置かれた瓶詰の銀木犀の花が
より一層神経を間延びさせてくれた。]
―――……長い会話、長い会話な。
[意識は覚醒しているのに、暖かい寝台から足を抜けず、
朝霧の掛かった窓は遠くの霊峰を隠している。
逡巡は先日、山岳から届いた手紙について。
もしくは、己の人生について。
――― 或いは、一人の娘について。]
一人が寂しいだとか、嫁が欲しいとか。
そう言うことでないのは分かるんだが―――、
こんな風に考えてしまう時点で、あいつの言うよう手遅れなのか。
[眠たげな視線を半眼に変えて、腕を枕に寝返りを打つ。
言い訳の元なら五万とある。
第三領の領主を務めるとはいえ、彼女は子供だ。
相手を子供扱いするなら、己は大人として振舞わねばならない。]
[国中を人の縁のように飛び交う手紙は、
己のレターボックスを随分と肥やした。
貰った言葉のひとつずつに導かれ、枕に顔を埋める。]
―――…子供なら、懐炉の代わりくらいにはなるのかね。
[例えばとびきり寒い冬に、例えば暁を忘れる春に、
長く長く、言葉を交わす相手なら、確かに魅力的だ。]
[冷たいシーツを掻き寄せた処で、執事が私室の扉をノック。
思考と怠惰を同居させ、あと一刻と粘る声を挙げる前に、
有能な執事がよりよい目覚めを促す一声を発す。
此処最近は全く逆らえない朝の挨拶。
それを聞いたが最後、背中が寝台から勝手に剥がれていく。
お手紙が届いていますよ。
――――なんと、最強の呪文か。]
[この国では、婚姻直後の私的なやり取りは、認められていない。]
分かってるけど…見たかったわ。
[徐々に進んでいく婚儀の組み合わせ。
友人のそれにも立ち会えない不満を、誰も知らない私室で漏らす。
移り香が残るほど、胸元に抱きしめた文にも、今は返すあてもない。
友人の凛とした背中の花嫁姿は、きっと凍てつく厳冬など跳ね返すほどに眩かろうと、ほうっ、とため息と零す。]
私も、…そのようになれるのかしら。
[もう一通、届けられた婚約者からの手紙。
こちらの真意を窺うような言の葉に、何か不興があったのだろうかと漠然とした不安を感じる。
この気持ちの揺れだけは、盤面の駒を動かすよりも、外交で互いの利益の落としどころを考えた譲歩の手札を切るよりも。
ずっと、ずっと。難しい。]
[自身はとうに割り切った政略結婚である。
それこそ、親子ほど年の離れた人、あるいは年端もいかぬ貴族の後嗣に名目上だけでも嫁ぐことも覚悟していた。
けれど、相手はそれで良しとしたのか。
最初の手紙は、そんな思惑もあって、儀礼的に装った。
というよりも、交渉の方法をそれ以外には知らない。
二度目は、少しだけ本心を明かした。]
[けれども、婚約者からの手紙に書かれた言葉を得て、――揺らいだ。
貴族の娘としての顔。
統治者の一族としての顔。
政を司る人間の顔。
望まれているのは、どれかと選ぶ奸智の手札は、一言で無為になる。]
窓もドアも開いてる なんて不思議なの お皿もこんなにたくさん♪
[…まるで舞台女優のごとく、屋敷の数ある部屋のうちのひと部屋で歌いながら踊っていると。]
『シルキー様!お手紙が届きましたよ!』
[階下から声が聞こえてくる。]
いま行く〜!
[…ドタドタ…すってーん!
ローブの裾を踏んで盛大にコケた。が、気にしない。]
おっ、来てる来てる♪
[受け取るや否や、自室へと駆け上がり。
はやる気持ちを抑えながら、封を切る。
受け取った手紙の差出人は、お隣りのお兄様。]
[…どうやら『お手紙届きましたよ』が最強の呪文であることは、こちらも同じようである。]
…えっ…?
[封を切ると、見覚えのある手紙が顔を出し、思わず戸惑いの声が漏れる。
しかし。それはすぐに、銀木犀の香と重くなって返って来た手紙と共に笑顔へと変わる。]
…ホント、不器用なんだから。
[一筆こそなかったが、暖かい手紙。さて、どう返そうか。]
[最初に王都から手紙が届いて一月以上が経過した。
北方に吹く風は冷たく、呼気も白く濁る季節が到来する。
それでも領民が厳冬に鬱屈を覚えず、何処か明るいのは、
オベルジーヌ国内で合併が恙なく進められているお蔭だろう。
民に政の深層までは知れまいが、
眼先に見える領主家同士の結婚を喜ばぬ偏屈もいまい。
庇護の傘が拡がり、幸いは川上から広く流れゆく。
第一領、第二領の成婚を領民が知った折には、
領都のマーケットはちょっとした祭りと化した。
慶事が近隣の領土由来と云うことも在るのだろうが、
此れで残すは北方に一組、南方に一組。
――― 即ち、第四領主の結婚も近いことを意味するが故。]
家の為、土地の為、民の為。
……いやはや。
良き領主として努めてきた心算だが、
一人の女の為の俺と云うのは考えたことが無かった。
[本日も政務机を前に、だらしなく椅子に身を任す。
掌から零れたのは二通の封書。
一通が若き弟分で、――― もう一通は。]
――― 若人に促しておきながら、
俺が示しをつけないてぇのも、無い話だろ。
[込み上げそうになる年甲斐ない羞恥を飲み干し、
気を落ち着かせるように大きく深呼吸。
こんな時ばかり、顔が見えない手紙は良いものだと称賛した。]
…結婚かぁ…早いものね。
[一月前に勅命を受けるまでは、考えてもいなかった。
戸惑いと、不安と。期待。
いろんなものが渦巻いたこの一月が、あっという間に過ぎて。
いろんな事があったなぁ、と物思いに耽るのは、『領主の顔』ではなく『少女の顔』。
未だ渦巻く期待と不安を抱え、慶事を機に大人への第一歩を踏み出そうとする少女を祝福する領民たちと、それを包み込む荘厳な霊峰、オベルジーヌの碧い空。
それらの空気を感じながら、少女は今、門出の途を歩みはじめる−]
「ベルティルデ様の洋服のサイズが届きました。
婚礼服を調えます。」
[執事にそんなことを言われて、えっと驚く。]
ああいや、そうじゃなくて。
いや、そうでもいいんだけど。
そういう儀式的なのは任せるよ。
じゃなくて、個人的に贈りたいものがあって。
[途中まで怪訝な顔で聞いていた執事だが、最後はにやっとして。
いきなり下着はやめたほうが……なんて言う。]
はあ?! お前らそんなんばっかだなあ、違うよ。
うちの普段着を、一つくらいと思ってな。
あんまり文化は変わらないけど、それでも領内の生地を使ったりしてさ。
[時間作って、声をかけてくれた仕立て屋に注文に行かないと、なんて思うが、はたして成婚までに間に合うのか。]
……あ。
ラートリーさんも、成婚か。
[1,2領の領主家同士の成婚の知らせを聞いて、めでたい、と思うと同時に。
もらった手紙を読み返し、返事はしばらくお預けか、と、机の端に置く。]
やっぱり結婚って、女性にとって一大事だよなあ。
[結婚が決まった男たちもそれなりに照れと恥じらいと喜びがあるが、女たちのほうが恥じらいが強く、憧れを抱いているように見える。
と、ラートリーの手紙を読んで思う。]
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