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主計官 ラートリー に 1人が投票した
領主補佐 ギィ に 8人が投票した
領主補佐 ギィ は村人の手により処刑された。
領主公女 アプサラス は哀しみに暮れて 領主補佐 ギィ の後を追った。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、神秘学者 アデル、語り手 、主計官 ラートリー、令嬢 シルキー、領主 オズワルド、次期領主 ディーター、政務官 ベルティルデの7名。
[太陽が昇っては沈み、王城は法的処理に忙しない。
しかし、順次の合併もそろそろ終わりが見えてきた。
<<令嬢 シルキー>>とその伴侶の慶事を次に通達すれば、残りは一組。]
[その通達が王都から届いたのは数日前のこと。
いまかいまかと待ちわびていたはずなのに、
いざ慶事を受け取るともう? なんて焦ってしまう。
実際まだこころと――身体の準備も整っていない。
外套の上から柔らかく、そしてあたたかな羊毛で編まれたマフラーや手袋を身につけ向かうのは霊峰の一部。
第一領土全体を見渡せる山岳に、アデルは一人立っていた。]
[ちらちらと六花が舞う中。
生まれてから今日までの様々な出来事を思い出す。
日々がすべて楽しいものだとは言えない。
緩急が浅い分、漠然とした憂いに浸ることも多く
領主の次男として、この景色ほどの役にも立てぬと
いじけたこともあった。
アデルが変わったのは、あの法案が施行されてから。
国の為、民の為に身を捧げることを厭わぬというあの人が、
――アデル自身にも寄り添うことを、約束してくれてから。]
[出会いの数だけ、別れがあるという。
貞淑を重んじるこの国は、仮令同性の友人であっても
成婚後の文通を禁じられる。
遠くに住まう者とも、肩を並べて語り合うような。
時に、面と向かってはとても口にできぬ本音を吐露できる手紙は、家族とも恋人とも違うかたちでアデルを支えるもののひとつであったから、寂しくないと言えば嘘になるが。
それは永遠の別離ではないし。これから先、アデルにとって出会いと別れの数は永遠に一致しなくなる。
星の流れを追うだけでは永遠にたどり着けないだろう真理のひとつ。]
……お。
[その日もまた、屋敷に帰ると手紙を受け取る。
仕事用の手紙は朝に執務室で見るから、ここで渡されるのは私信のみ。
その中の1通、アプサラスからの内容に、驚きの声を上げる。]
……干物はにおいがそんなにないはずなんだが。
むしろにおったということは生だったのか。
食べてはいけない…と手紙を書こうにも、相手は成婚した、と聞いたな。
[返事も書けないし、書いたとしても届くのは1週間後。
少し首をひねってから]
ま、これだけ拒否反応を示していれば、きっと厳重に砂にでも埋めたんだろう、大丈夫だいじょうぶ
[と捨てたのだろうと考えておくことにした。]
[束の間の休息が許された姉と弟の語らい。
焼き菓子と紅茶の運ばれた傍らで、互いにチェスの駒を進める。]
執務はどうしたのかしら?
暇ではないでしょうに。
[笑いながら白のビショップが黒のナイトを弾く。
即座に守りを固める陣形へ、駒を一旦引いて。]
心配しなくても、やれることをするだけよ。
「分かっていますよ」
[既に陣地を立て直すのに精いっぱいの弟が苦笑する。]
「心配なんてしていません。
第八領の令嬢に難癖をつけるような御仁はこの国内にはどこにもない。
……しみじみと、私などよりも
姉上のように、野心と愛情を矛盾なく兼ね備えている人が政略結婚向きだと思った次第です。」
[祖父と姉、物心ついてから二人の教師に育てられた弟は、防戦一方の盤面に苦笑を溢し続ける。]
野心と愛情…?
[あらあら、と微笑む手の指す盤面。
白のポーンが、黒のポーンを蹴散らした。]
「両親が亡くなった時、姉上もまだ子どもだった。
おじい様に守られるだけの令嬢であっても誰も責めはしないのに、
政を学び、領の内政にも外交にも携わり、馬術も狩猟も嗜んで。
――それでも表向きには祖父と弟を立てることで、令嬢としての評判も落とさない。
男であれば文句のない世継ぎだし、
女性であっても『何かあった時』には
充分に女領主として名乗り出ることが出来る立場でしょう。
それをしないのは――」
貴方が可愛い弟だからよ。
そして、もうご高齢になったおじい様に後継争いを見せたくないから。
[けれど誤解しないで。と浮かべる笑みに偽りはなく。]
女に生まれたことも、今回の結婚に選ばれたのが私だったことも、良かったと思っているわ。
[とん、と白のクイーンが跳躍する。]
合併後の領の象徴として、今後も統治に携わることは許されるでしょうね。
第七領の後継者を夫に持ち、第八領の後継者を弟に持つ。
その意味は大きいわ。
表だって女性が政治の指揮を執ることに苦い顔をされる方は多いけれど、
立場さえ選べば、治水、流通…今よりも出来ることは増えるのですもの。
[政務官の顔で笑うが、それだけの表情ではなく。]
私ね、もう一つ夢があるの。
王都から帰る道中の馬車の事故で、お父様もお母様も亡くなられたけれど…
結婚してからずっと、文字通り死ぬまで、お二人一緒だったでしょう?
もしも、結婚する方が出来たら、私もそうなりたいの。
[女性の好むような飾りめいた美辞麗句は無かった文。
だからこそ、朴訥ともいえるその人の気持ちに偽りはないかと何度も手紙の文字を指で撫でた。]
内緒よ。
私は野心たっぷりの女だから、旦那様が政治に有能であれば善きパートナーになれるでしょう。
もし、旦那様が政務に興味がなければ、夫婦なのですもの。互いの得意分野を頑張ればいいの。
だから…結婚する方とは、ずっと傍にいたいのよ。
[白のクイーンが、黒のキングの逃げ道を塞いだ。]
さ、私の勝ちよ。
いい加減王都から奥方を迎える覚悟を決めてちょうだいな。
[この大合併を穏便に済ませたい思惑のある中央に、今であれば多少の無理も聞いてもらえるだろうと。
政治家の顔で弟の婚姻話を煮詰めていく。]
[ベルティルデ・バーデン
社交会では令嬢然、施政者然とし。
領内では馬にも乗るし、そのまま狩猟にも出る、少しばかり活動的な令嬢。
貴族の中ではごく平均的な背丈であるが、平民女性よりは高く、頭半分ほどは違う。
幼い頃から砂浜を駆けては遊んでいたおかげで、体は至極健康。
かつ、馬を駆ることもあるために、適度に締まった体のどこにも、貧血で今にも倒れそうな不健康さは感じられない。
丁度、他領から、祝いのドレスを贈ろうとする貴族や、招魂逞しい商人たちの情報網が出回っている時期。
お抱えの仕立て屋に口止めはしたものの、どこからか、採寸情報などは洩れていくものだった。]
さて。
[いいアニキとして慕っているオズワルドへの手紙を書いて、最後に、ベルティルデからの手紙を開ける。
オズワルドの手紙の内容もあって、少し緊張した、が。
読み進めるうちに、自然と顔がほころぶ。]
ふふ、そっか。
だんだん、俺らのペースで仲良くなれば、いいよな。
[にこにこしながら手紙を指ではじく。
無理してしゃれたプロポーズなど……しなくていい、はず……と思いながら、返事を書こうと便箋を取り出す。]
[ディーターへ送られる手紙は、正式な婚約者として家の紋章象った少しだけ格式の高い相手への便箋。
もしも自分の趣味が彼に合わなければどうしようと、散々迷った挙句、の一部始終を見ていた侍女の間では既に噂になってしまっている。
友人に書く文なら、うきうきと季節や相手の好みを思いながら選べるのに。
冬の雪にも負けない厚めの便箋の片隅に、雪うさぎの花嫁と花婿を描いた。]
……別に、いいよな?
[一通り書いてから、先週、ラートリーの手紙に書いてあったことを思いだして、書き足す。
聞いていけないことではないはず。
うん。
そう言い聞かせて、封を閉じる。
封をしてしまえば、もう、直さない。このまま、彼女に送られる。]
[日々、日々。
霊峰は神々しい白に包まれてゆく。
成婚の儀の時は迫る。
とはいえ、それは書類上のものであり
実際にアデルの顔を見るのは、まだ先になるようだ。]
もどかしいな。
[相手を目の前にするほうが、言葉を多く紡ぎ出せるから。
言葉を伝えるのに、手紙では書ききれないことが沢山あった。]
[そわそわと、書斎で行ったり来たりを繰り返していると、
郵便屋の声掛けが遠く聞こえ、思わず部屋を飛び出した。]
……っと
[召使が不思議そうな眼差しを向けるので、
少々気恥ずかしく、立ち止まり、こほんとわざとらしい咳払い。]
……その、私宛の手紙は、来ているだろうか?
[数通の封書を手にした召使は微笑んで、それらを手渡す。
緊張の面持ちで、差出人の名を見つめ]
―――、あった。
[もしかしたら愛想を尽かされてしまったかと
そんな不安まであったのだ。
婚約者の名を軽く指先でなぞり、
その後は書斎に引きこもることにした。]
――…この地に生まれることができて、良かった。
[見下ろすのは代々祖先が統治してきた土地。
そして見上げる霊峰の一部は、これから統治していく土地。
頬を撫でる風は冷たく、
領土を増やすだけでやすやす越冬できるわけでもないが。
足りないものを補い、寄り添う温もりがあればきっと。
超えられぬ困難などない。
外套に触れては解ける六花の繊細さと儚さに、
いつか夢に見た花嫁のベールが重なって、やわく息を吐く。
また体調を崩す前に、邸に帰ろうと馬を走らせた。]
[そして新たに届いた手紙に目線をやると。]
………………
[イヤ、とは違う。でも嬉しい、ともちょっと違う気がする。他の手紙を開ける時にはない感情。
マイナスの感情ではないことは確かなのだが。なんと表現していいのか、少女にはわからないまま。
―――封を切った。]
…まい、ふぇあ…?///
…こうしてみると、しっくり来ないわね…
でも、お転婆とは言わせないんだから。
[そう言いながら、羽ペンを走らせる主の顔は…心なしか、少し赤かった。]
臥せって……とな。
[手紙の冒頭に、不安げに眉根を寄せるも
その後の言葉にほっと一安心。
むしろ臥していた時の思惟についてを読めば
頬に赤みが差す。]
……嗚呼、
[少年が大人になったと感じる。
それなら自分は、彼にとっては最早
おばさんのようなものなのかもしれない。
それでも、そんな自分でも受け入れてもらえると感じるから。]
私が、花嫁さん……。
[耳まで赤くなって、三十路らしかぬ
淡いときめきに心音が速くなる。
金色と、白との、美しい便箋を優しく撫ぜ
浮かべるは少女にも似た、笑み。]
[羊皮紙にペン先を引っ掛け、悪筆のサインを綴る。
うららかな真昼の陽射しの中でも、肌寒さを覚えるようになった。
やがて訪れる冬は、今年も北方にとって厳しいものとなるだろう。
貯蔵に、凍結される街道、川の恵みは減り、雪が降る。
まだ暖かい海に面している為、山岳領よりは過ごし易いものの、
第三領から買い付ける燃料費は毎年莫迦に出来ない。]
…お、噂をすれば。
[悩みの種であるが、第四領には良い鉱山が無いので仕方がない。
そんな思考を巡らせていれば、公私入り交じる手紙の山の中に、
そろそろ見慣れた名前を見つけた。]
――――…ん、鶏か…?
[だが、封を切ると、自身の眉は困惑のカーブを描いた。
デリカシーに欠ける言葉を吐いて、視線を滑らせ、羽ペンが閃く。
小さな鳥籠に、書き足すのは開いた扉。
シンプルながら、分かり易い解の一筆。]
……どいつもこいつも。
俺は不器用じゃねぇよ、――― 今回だけだ。
[言い訳にも弁明にもならない声を、紙面の二羽だけが聞いていた。]
[らしくないことをしていると、自身の行動を振り返り、
誤魔化すように他の信書を取り上げた。
偶々二通揃って取り上げたのは、此度成婚が決まった両名から。
夫婦は似るものだと言うが、似たもの婚約者でもあるらしい。
つい、微笑ましさに笑みを噛んで、封を切り。]
照 れ て ね ぇ 。
―――…ああ、これはギィが白旗を翳す訳だ。
まぁ、あいつは時々飲み込むから、これくらい察しの良い方が。
[思わず手紙に強張った声を挙げてしまったが、
友人の伴侶は噂通り聡明さを感じさせる女性だった。
それと並べた友人の手紙も、何故か胸が熱くなる。
稀代の色男と噂される友人だが、彼は女性だ。
男のように気安いが、それを間違えたことはない。]
[男女の間にも友情が成立すると思う己は、
その性差を掘り下げたことは無かったが、友の幸せは喜ばしい。
挙句、妙に見透かされているような手紙を貰えば、
ふ、と呼気が漏れた。]
……賢妻を貰うなら、名君になれよ。
―――…ありのままのお前さんで良いんだ。
[口にしてからふと、その言葉が自分に返ってくるようにも思えた。]
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