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[苦し紛れにゲオルグのローブを掴んで居た手が、
緩やかに落ちた。
きつく瞑った目はそのまま、内側の焼ける臭いと血の臭いが
漂ってしまっているだろうが、それでも人形達は笑い続ける。
どうかゲオルグが無事であるように、と。
そんな少女の望みを映し出して。**]
[回復をしようにも、媒体である金貨が手元にない状態ではままならず、ゾフィヤの息遣いが弱くなっていくのをただ見守ることしかできなかった。]
なんで、こんなバカなことを……
[腕の中で痛みに耐えて身を捩る少女の代わりに、傍に置かれた夏の人形が応える。]
――……素敵なおとうさんなんかじゃ、ねえよ
[彼女にその声が聞こえていたかどうか。
宙を舞っていた人形達が、落下し乾いた音を立てた。
動かなくなった少女の身体を、一度だけ強く強く抱きしめ、床にそっと横たえる。
笑顔を浮かべた人形をその腕に抱かせて。
それから、聖水をゾフィヤと人形の身体にかけ、簡単に祈りを捧げた。]
――ああ、バカな娘だよ。
[にやけた笑い声の主へ応じるのは冷たい声。]
オレなんかを庇って死ぬなんて、本当にバカだ。
[言いながら、ゾフィヤの黒髪を撫でる。]
けどな……お前の言うことなんて聞いてやんねーよバカ息子。
殺してやる…殺してやる…
[ふしゅるるる…と大きな嘴から瘴気が立ち上る。
カークが放ったナイフは巨体へと刺さり、刺さったところからはどす黒い液体が漏れ出るが、怪鳥が気に留める事はない。
血を流したまま、四つの瞳が捉え続けるのは、ただ一点のみ。
己よりも遥かに小さなその身体>>128へ首をもたげて、喰らうべく嘴を大きく開いて振るった。]
ァアアァアァアアアア!!!!!
[しかし、あがったのは怪鳥の絶叫。
飛び移るカークを阻む事が出来ず、攻撃>>134を受けたのだ。
痛みにもがき、抗うように暴れる。
身体に乗っていたカークを大きな翼で薙いで振り払い地面へ叩きつけると、巨体も大きな音と共に床へと倒れた。
短剣が突きたてられた場所から勢いよく瘴気が噴き出す。
横たわった怪鳥は苦しそうな声をあげながら痙攣し、四つの目と、嘴から黒紫色のどろどろを零していた。]
う、ウウ…ァアアア……
[ヒュー、ヒュー、と吐く瘴気も弱々しい。]
[視界の端で、ねずみが落ちていた金貨を咥えてフィオンの服の中へ入っていくのが見えた。
セルウィンがそちらに気を取られないようわざと大げさに溜息をついて肩を竦めた。]
死ぬのは怖くねぇな。
だが、他人の為に死ぬなんてまっぴらゴメンだ――そう思ってるさ。今でも、な。
けど、まあ。
[冷たい声とは裏腹に、その顔に浮かぶのは、笑み。]
お前の嫌がる顔を見られるなら死んでもいいんじゃねーかなって思うわ。結構マジで。
[聖なる気を纏った拳をセルウィンに向かって突き上げる。]
[勇者の血が塗られた短剣。
刺されたところから浄化が始まり、激痛と共に瘴気が剥がれていく。]
ど、して…こんな…、……がはっ…
[怪鳥は徐々に小さくなり行き、やがてエレオノーレは人の姿へと。
咳き込む度にごぼごぼと黒紫色のどろどろを吐き出す。
しかし、カークが此方へ向かってくる様子に気付くと、紫色の瞳はギラついたまま彼を睨み上げた]
…ころ、し… …る、ッ
お前の為?
ぶはっ――ははは!
[セルウィンの言葉に、こちらも盛大に吹き出した。]
言われてみりゃ、そうだな
息子の為に死ぬ――すてきなおとうさんだろう?
[超ドヤ顔で、敵襲を警戒して拳を構えた**]
いやあ、愛されてるな、俺は?
[パシリと、ゲオルグの拳を片手で受け止め、ギリリと締め上げる。
くっくっく、と笑いを抑えて。]
いいぞ、上等だ。
もう一人の勇者もあの様子じゃ恐らく死ぬだろうが……
どっちでも、好きな方を生き返らせればいい。
一人だけしか助けられないなんて、それもまた酷い話だな。
そして、アンタが己の命を賭して生き返らせた希望を、刈り取ろう。
苦しむ死に顔、見ててやるよ。
親を看取るのが息子の務めですから?
オ・ト・ウ・サ・マ。
[心底愉快そうに笑って、拳を離した。
聖なる気を纏った拳を受けた手からは、煙が出ている。]
[背後へと跳躍し、ゲオルグから距離を取ると。]
行くぞ、バルタザール。
[床を蹴れば、するっと其処に穴が空いて。
そのまま、下の階へと飛び降りる。
当然、魔が通った後は抜け道は閉じられた**]
… ア゛ぁッアアアアアああ!!!
[刺さった短剣が少し動くだけでも耐え難い激痛がはしり、声を上げる。
抵抗する力はとうに残っておらず、じっとしていたが。]
…ば、ぁか……、情けなんぞかけられて、たまるか
お前、は… みち ず れ
[短剣を突きたてられる前に、辺りに撒き散らされた黒紫色のどろどろが集まって蛇のように地面を這い、カークの身体へと絡みついた。
瘴気の塊であるそれは、カークの命を徐々に掠め取ってゆく。]
ふ、はは…勇者、ふたりを…始末……でき、ゴホッ、ゴフッ
っは…僕が、死ぬのは…想定外だったけ、ど…
[呼吸が大分荒くなり、目の光も鋭さが失われ始めている。]
……これ、で…いい これ、でッ!!?
[こぷん、と口から黒紫色の飛沫があがった。
胸に刺さった短剣。
もう悲鳴も上がらなくて、息が狭い喉を通る音だけが漏れた。]
[身体に覆いかぶさる重さも、もうあまり感じられない。
でも、偶然にも重なった手から伝わる温もりは確かに伝わって。
耳が辛うじて拾った声に、紫色の瞳から雫が零れ落ちた。]
ばか、じゃ…ない の
[エレオノーレは、自分のした事に後悔などしていない。
全ては自分の意思で行い、自分の思うようにしてきた。
魔王復活の為、共に戦ってきた仲間の皆を殺す事に躊躇いなんてなかった。
しかし、これまでを生きてきたのもエレオノーレで。
その記憶は決して無くなった訳ではない。
楽しかった事も、辛かった事も、嬉しかった事も、悲しかった事も。
フィオンと、兄と、三人で遊んでいた遠い日の事も。
全部、間違いなく想い出として残っている。
ただ、それを選ばなかっただけ。
選べなかった、だけ。]
…は、……ぼくは、あやまら、ない
[雫が落ち続ける紫の瞳は、もうほとんど見えない。
それでもエレオノーレは、兄を、見詰め続けた。]
…で も
も、し…もし、次が あるな、ら
[言葉は声になりきらず、掠れた音だけがそこに残った。
そして、眠りにつくように瞳を伏せたその顔は、嘗ての気弱な少年が微笑んでいるようだった。**]
[セルウィンとバルタザールの元に、風が甘い香りを届ける。
それはまるで挨拶をしにきたように。
風が通り過ぎると香りは立ち消え、いつもの埃っぽさがあるだけだった。**]
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