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[我々は、今、この時より、新たな世界の律となろう。
なにものにも砕き得ぬ、絆に結ばれた時を、おまえと共に。***]
―― あれから ――
[ 天界にいた時には
想像もつかなかった魔界での生活。
暗く、淀んでいるものと思っていたそれは
蓋を開けてみれば全く違うもの
用意されていた新居は
全てを曝け出す天の光とは違い
優しい闇の中、草花自身の命の火が灯る
そんな温もりに満ちた場所にあった]
― 地上の春 ―
[小さな丘を一つ越えた途端、視界が明るくなった心地がした。
萌え出したばかりの柔らかな緑に囲まれて、ごく淡い桃色の花が咲き誇っている。
その木の周りだけが特別に光を浴びているかのよう。]
桜か。もう、そんな季節か。
……? アルジュは、桜は初めてか?
[腕の中でアルジュが驚いたように身じろぎする。
そういえば、アルジュにとってはこれが初めての、地上の春か。]
そうだ。あれが桜の花だ。
このあたりの人間は、あれが咲くと春を実感するらしい。
[満開に咲いている花を指し示し、降りてみようかと翼を傾けた。]
[それはとても大きな木だった。
幹の隣に立てば、頭上全てが薄紅に包まれる。]
人間たちはな。
春を喜んでこの木の下に集まるらしい。
それで、飲んだり食べたりして楽しむらしいぞ。
[はらはらと舞い散る花弁の間には、いまはふたりしかいない。
この木はふたりの為だけに、見事な花を咲かせて待っていたのだ。
そんな錯覚に、心が浮き立った。]
俺達も、人間に倣ってみるか。
[食餌に。と。アルジュを誘って腕の中に囲い込む。
翼をゆるく動かせば、ふたりの身体は重さを失くして浮かび上がり、咲き誇る薄紅色の間に消えた。]
[ 魔界にも光があるのだと知ったのも
白い服は闇の中でこそ映えるということも
知ったのは、ここにきてからのこと。
彼の養父であるリエヴルのこともそう
紹介された当初は
どう接して良いかわからずに
挨拶一つかわすにも非常に緊張した
それがいつ解れたのか
明確な時期はわからないけれど
話しかけるタイミングがわかるようになり
今は、レトのいないところでは
幼天使時代の彼の話を語ることもある
それも全て
殻にこもったままではわからなかったこと]
[それから。
秘めやかな沈黙と、枝先の震えが幾度か繰り返されたあと。
桜色の吹雪が湧き上がるように広がって、世界を淡く染めた*]
[ 他愛もない日常の
積み重なった特別の中の、一コマ。
そんなある日のこと]
―――?
[ お気に入りのリンゴを一口
木の幹に寄りかかり、齧ろうとした時
優しい声がかかった。
なぁに?と、言葉を紡ぎかけた唇は
彼の言葉の続きに、ぽかりと開いたまま
赤いリンゴだけが地面に転がり落ち]
シルキーの居場所が……
[ 視界の端に赤を捉えながら
腕の中へと、抱きしめられたなら
自分からも抱きつき返し]
[ 教えてもらった彼女の行方。
それは、幸せだけで構成されたものではなく
今に至るまでの道のりには
多くの痛みがあったのだと、推測できる。
そして、その痛みの一端を担っているのは
自分―――なのだけれど]
…………よかった
[ そう、いつか会える時が来たなら。
私の罪は罪のまま
それでも、彼女の幸せだけ
祈らせてほしい。と、小さく微笑んで]
―春告げ天使―
さんさんと降り注ぐ太陽の下、
木の上ですやすやと安眠するのが好きだった。
今は―――彼の横ですやすや、むにゃ。はむっと唇が寝ぼけて彼の頬を食べてしまう。もぐもぐあむあむ、うにゃちゅう。
折りたたまれた羽は彼に寄り添って懐く小鳥のように柔らかい。
白い天使のお話。
猫を膝にのっけて彼に凭れ眠る天使は、恋を知っている。
愛を知っている。まっくろい、悪魔。天使と悪魔。よく足を運ぶのは人間界の小さな森。見える人が見たら、驚くかもしれないね。
だって、まっくろい悪魔と真っ白い天使が寄り添ってる
目が覚めたら、川に水浴びに行こう。天界に居た頃は知りたくても出来なかったこと。天使らしくないと禁止されていたことを沢山したい。ばしゃばしゃと足で川の水を蹴ってはかけて。
飛んで、遊んで、回って、登って
――たくさんわらうんだ。
「ねえ、べリアン]
すきだよ、すきって耳元に背伸びして囁くのは忘れない。
その後顔を真っ赤にして、びゃって飛んでしまうのも。彼から与えられた感情だった。すきってすごい。愛しているって知れば知る程のめりこむ。この恋は、愛は情熱で彼を焼くことはないだろう。
だって、もっともっと甘い恋だ。甘い愛だ。
だいすきなおひさまのようなさんさんとした愛、誰もが人生を謳歌するような春の恋。彼に恋をした季節。魔界の闇よりもずっと明るく、天界の空よりずっと穏やかな、恋。春告げの天使のように
森を踊って――、恋をする
歌も戦いも出来ない、だけど。優しい彼が愛してくれるから。べリアンはメレディスを傷つけない。メレディスの残った誇りを奪わない。だから、こんなにも、自由に飛べた。
魔界の空は昏くて、魔族がたくさんいるけど
ヒトの世の空は、あおくて、誰もメレディスを遮らない
羽搏いて飛んで、微笑んで。それで帰るのは彼の元
「一緒に飛んで――」
と差し出す手には、甘いあまい契約が。
[―――― 因みに。
正体を晒した翌日の彼は、当然、疲労困憊、満身創痍。
己も消耗を極め、何日もベッドで回復を待つという体たらくだ。
しかも、己は魔力不足で水晶玉サイズまで縮まる始末。
無茶をさせた彼の鼻先でころん、と休息を得るまでがお約束。
ただ―――、くぷくぷと、寄り添い微睡むのも、
彼に教えられた幸福のひとつであったりする。**]
―新たな旅路―
ソマリ、これからどうする。
[このまま彼の住処へ行くのだろうか。
それともこれからの生活に必要なものを買いにいくのかもしれない。
どちらにしても自分は彼についていくだけだ、と頷きひとつ返して。]
ああ、そうだソマリ。
わたしの呼び名だが、ソラでいい。
…いや、ソラがいいな。
[彼の隣に立ち、これから一生取りこみ続けることになる魔界の空気を肺いっぱいに吸って、吐いた。
だが緊張は解けず、表情は努めて穏やかなものを保てているはずだが、意味もなく胸の下で腕を組み、空を眺める振りをして宙に視線を投げた。]
…だから、わかるんだ。
シルキーならきっと、
セレスに自分を責めたりしないでほしいって
きっとそう思うはずだ。
彼女が今、幸せであるならば尚のこと
セレスが幸せであることを望むと思う。
……なぁ、セレス。
あのとき、シルキーを助けられなかったのは
オレも同じなんだ。
オレとセレスは、同じ罪を犯してる。
だから…
―技工天使はそのままに―
[一体、ジェフロイはオズワルドの何に惹かれたか。
それは装身具を創り出している最中に見せる、魂の輝き。
……一度訊ねた時、彼はその様に言った。
そうであるのなら、創り続けよう。
何処か空虚であった役目からではなく、ただ主の身を輝かせる
為に装飾品を創って行く事を決めた。]
……何を、見ている。
[そんな中、黙って視線を向けて来るジェフロイへは、
答えなど解り切っているのに横目で見ては問う。
手は止まらないが、顔には穏やかな笑みが浮かぶか。
作業の為の机を造り、必ず彼の目の届く所に設置する。
そうして見守られながらの創造に勤しむのだ。
気になるか、ならないかと問えば、即座に首を横に振る。
彼の送る視線の意味を考えるのが、楽しくて仕方が無いから。]
魔族はどうだか知らないが、人同士の場合はな。
どちらか片方の苗字に揃えたり、名前に付け加えるんだ。
だがわたしにはそんなものはない。
アイリという名前は、あくまでわたしという存在を指し示す固有記号だ。
[その三文字を口にするだけで、誰かが呼ぶのを聞くだけで胸を痛めたこともあった。
だけど今は清々しい気分のままで、自分は真に、しがみついていた過去から脱却できたのだと実感できた。]
……ソラは、貴方がくれた名だ。
だから、ソラでいい。
[うまく説明できた自信は皆無に等しかった。
足元に視線を落としす。
心の機微を察し、言い表すのが苦手だと気づいてはいたが、もう少しうまくできなかったのか、とタメ息が出る。]
ジェフロイ。
[それからどの位の時を費やしただろうか、不意に顔を上げて
ジェフロイを呼んだ。
彼の名を呼ぶのも大分慣れて来たか、その響きは穏やかだ。]
人間界に行きたい。
[そして相変わらず短い言葉で用件を告げた。
彼と暮らすようになってから、頻繁に人間界へと降りていて
此度の願いにも、もしかしたら良い顔はされないかも知れない。
人間界へと行きたがるオズワルドの手の中には、
一対の指輪と腕輪、そして髪飾りが輝きを放っている。
天の加護を掘り込まないままの、純粋な装飾品だ。]
別に、奇跡を授けようだとか……そんな意味では無い。
ただ……そう、ただ。
傍に在って心の底から安らぎを覚え、
平穏の時も、混沌の時にも精神的な結び付きを輝かせる。
そんな存在と出会えるようにと。
お前と出会えた、俺のように。
[それだけ言って、大きく翼を広げてジェフロイを包み込む。
その中ではオズワルドの両腕が彼を正面から抱き締めて、
胸に顔を寄せ]
……喋り過ぎたな。
[照れを隠すように、無理矢理話を打ち切った。
彼への愛を別の言葉で語る時のみ、口数が増えるようになったと
彼は気付いているだろうか。
それでも、いつかは直接“愛している”と言わなければ
ならなくなるのだろう。
彼は、意地悪な悪魔なのだから。]
―奇妙な落とし物―
[人間界に、少し不思議な落し物。
ある地域では揃いの指輪、別の地域では揃いの首飾りと
必ず誰かと誰かで分け合えるように造られた装飾品。
銀とも金ともつかない金属で造られており
どれだけ放置しても、その輝きは濁る事無く光を弾き続けている。
だからと言って天の奇跡が込められているのかと言えば
そうでも無い、ただの装飾品。
ただ。
装飾品の何処かには、必ず小さく書かれた一文が在る。
それだけは全ての物に共通していて、手にした者は皆
不思議がりつつも結局手放す事無く持ち続けているのだとか。]
[そうして拾った者の多くは、結婚の約束や伴侶への贈り物として
分け合っているのだとかいないのだとか―――……。]
『愛多き一生を祈る』
[この始まりが悪魔と天使の愛だと知る事が、もしも
あったとしたならば。
人の子はどのような顔をするのだろう。
それを思うと、少しばかり楽しく思う技工天使であった。**]
それに、
…その名は、あなたからの最初の贈りものだ。
だから、大事にしたいんだ。
一生、な。
[隣にいる男がどんな顔をしているか、どんな目で自分を見ているか、知りたくなくて顔ごと視線を逸らして。
そうしながら彼の側の手をおずおずと伸ばし、探り当てた小指をつまむようにして、持ってみた。
今は、これが精いっぱいだ。]
記憶ごと、名前ごと、…私なりにだが、
貴方を守っていくから。
どうかソマリも……そうしてほしい。
これから、よろしく頼むぞ。
[ 食らいつかんばかりに噛み付く歯は行儀の悪さ。
だが、食べちゃいたいくらい、
この姿であっても彼を愛してしまっているのだから、
きっともうこの瞳は彼の為に盲目。 ]
[ 普段より小さくなった彼を人差し指で愛でながらも、
そのひと時もまた、ぼくにとっては
彼の本能を独り占めできる、だいすきな時間だった。
それはまだ彼にもないしょの話。
彼の瞳が充血する程愛されても狂おしいほど
喜んでいるなんて、
それこそ大きくなった彼の耳元に
おとうさまのいない間に囁かねばならないから。 ]*
そうだな、ソラ、と呼ばれたら
貴方を旦那さま、とでも呼ぼうか。
い、嫌なら別に…いいが。
[自分なりに譲歩したつもりだが、これごときで喜ぶなんてあなどられたものだ、とか怒られやしないか、とか。
不安と緊張と、照れで、耳を赤く染めて。]
……さぁ、行こう。
[ああ、なぜ自分がこんなに悩まなければならないのか、とむしゃくしゃして。
小指を握りつぶす勢いで掴んで引っ張り、彼がいないと移動できないことも忘れてずんずんと出口に向かって歩きだした。]
《天獄の泉》に集まった魔族たちが、各々の天使を伴って去っていく。
魔界に新たな天使飼いの輪が広がったこと、まこと喜ばしい。
願わくば、彼らの前途に幸あらんことを。
魔界の流儀に乗っ取って、"呪って"おこう。
愛こそ、我ら魔族の力の源。
弱さを知り、強さを見出したものたちが、新たな魔界の礎となろう。
そして天使たち。
我ら魔族の不倶戴天の敵にして、愛すべき隣人たちよ。
ぬしらのひたむきにして偽りなき絆の力のみが、我ら魔族を変え得る。
運命という名の巨大な流れを踏み越えて、ぬしらは選ばれ、選んだのだ。
魔族は天使にはかなわぬ。
魔王、としての立場では決して口にははできぬが、
匿名で『月刊 天使を飼おう』には、そう寄稿しておこう。
《天獄の泉》は、ぬしらの原点である。
困難に直面した折には、いつでも戻ってくるがよい。
《天獄の泉》、及び天使オーナーズクラブ支援施設の門は、
常に、ぬしらの前に開かれておるぞ。**
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