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[翼が消え去り、監督官の姿が目の前に現れる。
夢でなかったことは、己が握りしめている、光編んだ布が教えていた。
包んでくれる暖かさは、泣いている間、背を抱いてくれた手と同じだ。]
……おまえは、それでいいのか?
[胸が苦しくなって、問いかけた。]
あの狼さえ追い払えれば、そんなことをする必要はない。
おまえの中から、あれを追い出す方法は探さないのか?
[孤独と戦いだけの生き方など辛すぎる。
魔王などのはかりごとに乗らずとも、堂々と陽の下を歩ける道があるのではないか。
それを求めるべきではないのか、と問いかける。*]
[ 告白を受けて、エディがまず示したのは、偽監督官を救わんとする共感の発露であった。
己を罠にはめた、その相手をである。
天の同胞すらも、そのようなことは言ってくれなかった。]
汝という子は…
心優しき者よ、ありがとう。
あれを追い出せば、災いを野に放つことになる。
封印はわたしの役目だ。
だが、汝が気にかけてくれたことをわたしは終生、忘れまい。
[ 怖い思いをしたろうに、この清らかな子は
今は、汝のことを話そう。
わたしは、己の都合で汝を求めただけでなく、
あれが目覚めたら汝を食おうとするのを承知していながら、甘く見過ぎていた。
次がないとは言い切れない。
汝を留めておくのは、危険だ。
わたしは汝の許しを請い、悔い改める。
どうか人の世に戻り、当初の目的通り、聖騎士となって人々を守ってくれないか。
[ 身勝手な願いだとわかっている。自分の持ちを裏切っているのも承知の上だ。
魔王も、気に入りはしないだろう。
それでも、愛すればこそ、穢してはならないと思った。*]
[この降りた天使は、かの魔狼の封印が自身の役目なのだと言う。
その役目のために天を離れ、魔界で孤独に戦う道を選んだのだろうと理解した。
御使いとはかくも気高く尊い存在なのだと。
そしてまた、孤独を埋めんとした自身の心を悔い改めると言う。
永い孤独に耐えかねて、傍らに立つものを求めたのだろう。
その手を離し、再びひとりきりの戦いに戻ると言う。
もしも、共にと望まれたなら――だが、彼の願いを無視することなどできるだろうか。
地上に出ることができない彼の代わり、人々を守るよう求められているのだとしたら。]
罪を許すのは、唯一、偉大なる主だけだ。
[沈思の間を置いて、硬質な声で答える。]
私はまだ若輩で、おまえを許す立場にはない。
私自身の感情を言うなら、おまえに怒りなど覚えない。
おまえが耐え忍んできた苦難は、私が受けたものなど比べ物にならないほど辛く厳しいものだっただろう。
それでもなお私の身を案じるおまえに、
最大限の敬意と親愛を捧げる。
……そのうえで怒りを禁じえないのは、
おまえ一人にその役目を負わせた天に対してだ。
不遜であろうとは承知している。
だが、おまえからあれの魂を引き離し、野に放たれる前に討つだけの力が、天にならばあるのではないのか?
それもままならぬほど、あれの力は強大だと?
[ぞくりと体を震わせたのは、かの魔狼と対峙した恐怖が体に蘇ったからだ。]
……私にはあいつを排除するだけの力はない。
それが悔しい。
私に力があれば、おまえを一人になどさせないのに。*
[ エディの態度は、やはり聖騎士の手本とされるべきものであった。
敬神と謙遜、共感と寛容。
そんなエディがわずかに我を覗かせて、怒りを吐露したのには、胸をつかれた。
彼も自覚してるとおり、危険思想ではある。
それでもなお、伝えてくれた義憤は、孤独な魂に、どれだけ救いをもたらすことか。
この者が傍にいてくれたら── 再度、舞い戻る願いを、強いて微笑みで押し隠す。]
天は、乗り越えられない試練を与えはしないだろう。
[ いまだ使徒の軛から逃れられない、偽善者たるを認めつつ諭す。]
[ 非力を自責するエディと囁きの距離まで、顔を近づけた。]
その悔しさは、いつかきっと力になる。
たゆまぬ努力を続けてほしい。
わたしは汝を祝福する立場にないけれど、せめて、守護者となることを誓おう。
[ 曇り日の空のような銀の羽根を一枚、差し出した。]
[ 対話の最中に、魔王の声が届く。>>32]
…魔王が呼んでいる。 汝も共に。
この修道院にいるすべての者が集まる。
[ 明言はしなかったが、それは、他の聖騎士候補生たちと相見えるということだった。
偏屈な堕天使に選ばれたエディ以外の雛たちはもう、魔物の手中に囚われてしまっていると思われた。
その姿はエディに別種の試練を与えることとなるはずだ。
それでも、連れてゆかねばならない。*]
何を心にもないことを言ってんじゃ、この馬鹿は。
その小僧に「あなたと一緒にいましょう」と言わせたいくせによ。
小僧の匂いは覚えたからな。
地上に返したとしても、追跡してやろうさ。
狼の鼻ナメんな。
のう、魔王。
わし、もっと、この小僧と天使セットで遊びたいぞ。
人質をとると、言うことをきかせられるんだぞ。
恥ずかしい格好とかさせると、睨みつけながら赤くなって、「早く」とかおねだりするんだぞ。
この遊び方はもっと流行ってもよいだろう。
雑誌で特集せんか?
[諭す声の穏やかさに、天に疑念抱いた己を恥じる。
他を非難することなく、己がすべきことをせよ。
この場合、己がするべきこととは、なんだろうか。
差し出された羽根を、押し戴くように受け取る。
胸に押し当てて、彼と視線合わせた。]
おまえは今も私の監督官だ。
この先私は、おまえを人生の規範の一人とするだろう。
おまえと出会えたことは、私にとっての天恵だ。
ここへ入る前に言ったことを、覚えているだろうか。
私は聖騎士として新たな名を名乗るつもりだと。
[門に入る前に告げたことを、もう一度口にする。>>0:35]
その名、おまえに付けてもらいたい。
どうか、考えておいて欲しい。
[それは、名付け親として一生慕うと告げるにも等しい。]
[話している最中、ふと重い気配が吹き抜けた。
声として認識はしなかったが、本能的な恐怖を呼び起こされて身を硬くする。
魔王が呼んでいる、と告げられて納得と驚愕を同時に覚えた。]
行くのか。
………わかった。
[監督官が、伴うと言うのならば、行こう。
脱いでおいた服を着て、胸に銀の羽根を差す。
何が待っているのか考えるだに恐ろしく、身に寸鉄も帯びていないことは心もとないが、それでも、いつでも構わないと頷いた。*]
楽しんでおるようだな、狼王よ。
[先ほどから"同居人"に野次飛ばしている人狼の王に、笑い含みに声を掛ける。]
聖騎士も天使も、純情で生真面目で、私情よりも規律と規範を重んじるところなど、よく似ている。
似合いかと思ったが、似合いが過ぎてすれ違っているようだな。
狼王よ。そう思うなら、ぬしが投稿してみるか?
懐かぬ聖騎士を躾る手段を知りたいものは多かろう。
『聖騎士の飼い方』は、常に新たな執筆者を歓迎しておるぞ。
[ エディは、こんな半端者を敬ってくれるという。
天恵とまで称してくれたことには、身に余ると言いそうになったが、規範とすべきところだけを記憶に残してくれるならば、彼にとって悪いことではないだろうと思い直した。
さらに彼は、名を授けてほしいと頼んでくる。
それがどういう意味を持つかは承知していた。
それほど想われていることが嬉しくもあり、彼を手放すと決めた今は、虚しくもある。]
光栄だ。
[ 彼が求めるならば、できる限りのことはしてやりたい。]
[ これ以上は、長引かせても別れが辛くなるだけだ。
支度を促せば、エディは几帳面に畳んで木にかけていた服を着る。
魔王が執り行う叙任式だ、他の者たちは
私服とはいえないまでも、試験中のままの格好の二人は浮くかもしれない。
術で礼装を整えてやることもできたが、所詮は幻影だ。
エディが銀の羽根を胸に飾ってくれたのを認め、それで我々の絆は充分に伝わると思った。]
来なさい。
[ エディを従え、寂静の間に向かう。*]
あああれなあ、すれ違いなのかそうか。
まったく、ヒヨコの扱いを知らぬ天使よ。
自分も軍にいたのだからわかってもよかろうに。
一言、命令すればすむことだぞ。
わしの命令にすら小僧は従ったのだからな。
強いヤツがリードしてやってこそ、世の中、うまくゆくのよ。
おや、そちらは上手くいっていないのですか?
私に言ってくだされば、どんな子でもいっぺんに素直で可愛くなる薬を調合しますのに。
[話半分しか聞いていないけれど、なにかこじれている気配だ。
親切心を最大限に発揮して、言ってみた。]
[会話を続ければ続けるだけ、別れが辛くなるのはこちらも同じだった。
孤独のうちに彼を置き去りにする苦悩に、胸がかき乱される。
彼の願いを理由に、自分は逃げようとしているのではないか。
ふと落ちてきた疑念が、心に刺さった。
民のため、この身を捧げようと聖騎士を志した。
彼が願う通り、大願を成就させるべきだ。
……そう考えるのは、思考停止か?]
[悩めども、時は無い。]
ああ。 行こう。
[頷いて、彼の後に従って歩き出す。
魔王と対峙して、自分は何を為すべきか。
歩きながら、そんなことを考えていた。*]
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