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[オットーから同じ人物のと返事>>40を聞くと、やはりそうだったかと表情を引き締める。]
以前お前に、「人を殺すことに慣れるということは、己の命の価値すら見失うこと。生き残るために成るものじゃない。」>>4:40と告げられたことを思い出していた。それも”あの人”が言った話だったっけな。
あのときは気づけなかったが、確かに俺も自分の命の価値が想像していた以上に軽くなっていたようだ。
誰もが疑心暗鬼になる中で、他人にどう思われても良い・疑われても構わないと振舞うことは、即ち人狼と思われて殺されても仕方がないと諦めることとイコールだとようやく理解した。
[オットーの返答を期待していない口調で告げる。]
[だが”自覚がない。”との考えは想定外だったので、目を丸くした。]
一度も?あれだけ皆が、一体誰が人狼なのか、誰が疑わしいかとやりあっていた中でか?
まあ、確かにそれがオットーの素直な感じ方なのは理解できる。現にお前も、自覚がないから己がこうなのだという意識はあるみたいだしな。
とはいえ人狼への恐れがないように見える点や、全員殺していると簡単に言えてしまう態度からは、他の人との温度差を感じる。そこがお前が怪しく見える点だ。
[静かな口調ではあるが、ここまで一気に喋ると一旦言葉を切った。]
[微かに殺気を感じて>>48、一度意識から外したリゼットに対し、あくまで視線は戻すことなく、注意を向ける。]
……。
[この場にいる全員を手にかけてない以上は、己は命の危険は感じていないのだろう。しかし――
――この三人全員を相手にしなければならない可能性は十二分にある。
当然だ。己は誰かに信じたいと思わせるようなことなどしていないし、する気もなかった。
となると、多少の準備はしておきたい。]
――この殺意、この場で向けてくるようなことがあるならば、一人でこの場を離れる理由として利用させてもらおう。
[…は心の中で呟くと、リゼットに悟られないように、注意だけを彼女へ向ける。
もしリゼットが今この場で刃を向けてくるのであれば、少なくとも外れることはないだろう。]
[今しか――オットーがリゼットを取るに足りないものと見做している今しか、彼を斃す機会はない。
勿論、彼が少女の焦燥を察し、それすら利用しようとしていることなど知る由もなかった]
――……。
[いつの間にか、オットーが自分に注意を向けていたことにすら、気付けないまま。
彼の存在の威圧感の僅かな揺らぎに、緊張で張り詰めていた背を押されるようにして]
うああああっ!!
[叫び、山刀を抜きながら、弾かれたように駆け出して。
油断し――無防備の"はず"のオットーへと斬りつけた]
[理屈も何も無い。
リゼットの行動は捕食者の存在に中てられた獲物が、
恐怖に駆られたあまり、恐慌を来たして暴れたようなものだ。
もし、少女と贄との違いを探すとするならば、
それは彼女の持つ牙に、毒があるということだ。
だが、小さな牙が本当に怪物に通用するのかなど、最早、考える余裕などない]
……く…っ!
[リゼットが、山刀を抜きながら此方を斬りつけてくる>>53と、己はなるべく気付かれないように急所を外し、その山刀を身に受けた。]
これ……麻痺、毒…。
[しかし、実際に受けてみると、麻痺毒が仕込まれていることに気が付き、こればかりは流石に予想外だったと、リゼットの方へ振り向きながら考える。]
油断、してたよ……。
[…は即座にリゼットと距離を置くと、リゼットの視線と自身の視線を交差させるように瞳を動かす。そして、その視線を捕らえると、押し潰すような殺気を、鎖を巻きつけるように送り込んだ。]
……いや、治療が先だ。一旦、店へ戻る。
[しかし、数刻でそれを解くと、殺気は完全に蒸発させて、一人パン屋へと向かった。]
―パン屋―
[オットーのパン屋には、オットー自身も知らない“ある物”が隠されている。それは、一枚の手紙。かつて彼に呪いをかけた、“彼女”の遺した“解呪”の手紙である。]
『――拝啓。私から、貴方へ。
出会いを遂げてから時が経ち、貴方は私を、私は貴方を、いつしか依存対象として過ごすようになりました。
ところで――
――この手紙を、貴方は見つけるかしら。もしも見つけたのであれば、貴方は恐らく、この上なく、疲労している。何せ私の、この私の願いに逆らったということに相違ないのだから。
それと同時に、貴方がこの手紙を見つけるということは、私は貴方に「生き続けること」を望んだのでしょうね。貴方のことだから、貴方はきっと、私の願いに縛られると同時に解放されて、傀儡のような人生を過ごしてきたことでしょう。
いいかしら?今から私は、貴方の根幹に関わることを書く。それはあるいは、貴方を死へ導く死神のような言葉になるかもしれない。でも、それでも、私は貴方にこのことをどうしても告げたいと願うし、貴方は知るべきだと思う。
“貴方には、感情が在る。”
当たり前ね。感情が無い人間なんていないもの。本当に感情がない人間なんてものが存在するのなら、その人は動くことすらし得ないのだから。
確かに貴方は特異だし、感情が在ると言っても、殆ど無いに等しい。実際に、私は感情の存在を認めてもなお、貴方が空っぽであるという言葉を訂正する気はないわ。
貴方はね、感情が無感情のまま凝り固まって、まるで全方位から圧力をかけられているかのように動かないの。
当然よね。こうは言っても、貴方のそれは本当に感情が無い状態と言ってしまっても差し支えがない。だからこそ、貴方は様々な願いに応えて来たし、貴方自身を保つには様々な願いを受ける必要があった。
私がいる内は、貴方は私の願いで満たされていた。でも、私がいなくなってからは様々な願いが雑多として入り込んで、貴方の中身を滅茶苦茶にしてしまうことでしょう。
貴方自身は、何とも思っていないかもしれないわ。でも、貴方は決して感情が無いわけではないの。そんな多様な“もの”が自身の中に入り込んで無事なはずがないのよ。
もう一度言うわ。貴方は、疲れている。この上なく、疲労している。
どうか、考えて頂戴。貴方は本当に平気なのか。
ただ、もし貴方が自身で疲れていることを悟ったのだとしても、貴方はきっと私の“生き続けろ”という願いを裏切らない。
他ならぬ貴方のことだもの。私にはわかる。
だから、最後に遺す言葉はこれにしようと、決めていました。
ありがとう。心から。貴方様のおかげで、私は本当に救われていました。
この手紙を読んで、貴方様がどのような選択をしようとも、私は全て――
――赦します。』
―パン屋―
[思惑通り、パン屋へ戻ると己は店の奥へと向かった。治療を行うためだ。]
……っ!
[しかし、己は麻痺毒の所為か一瞬よろけると、かつて“彼女”が「決して開けるな。開けたとしても、中のものは見るな」と告げて寄越した箱を引っかけて落としてしまうのだった。]
……これは、手紙…?
[その中に入っているものを確認すると、己は何を思ったのか彼女の願いを破ってその手紙を開いてしまった。
その内容>>57>>58>>59を目に留めると、己は一瞬何が書いてあるのか理解できなかった。しかし、数秒も経ったならば内容が文字列から意味を持った文字群として昇華され、己の頭の中を侵して行っただろう。]
どう、して……。
[…は虫の息のような声量で呟くと、思い立って店の裏手の窓を破り、彼女の墓前へと向かうのだった。
それは、この村と外界を繋ぐ道の付近にあり、かなりわかり辛い箇所にあるが、己の足跡を追えば辿り着くこともできるだろう。]
["いきなさい――リゼット"
リゼットが駆け出した瞬間、耳をかすめる誰かの声を聞いていた。
けれど、そんな声は耳障りなリゼット自身の叫び声に塗り潰される。
滅茶苦茶に振り回す一撃。
その山刀の切っ先は違わず、オットーに届いた。
刃から伝わる肉を斬る感触。
人を傷つけるその感触に鳥肌が吹き出し、怖けそうになるが、
もう、行動に出てしまったのだ――後には引けない]
[思いもしない、仕込まれていた毒に驚いたのかも知れない。
オットーが何かを話しかけてくるが、恐怖に囚われた少女に理解することなど出来ずに]
まだ、……生きてる。
殺さなきゃ。――殺さ、なきゃ。
[振り上げる刃は、人狼のひと睨みに押し止められる。
鎖のように全身を絡め取る、押し潰すような殺気を受けてしまえば、
立つことすらもままならず、かくりと膝から力が抜けて、その場にへたり込んでしまうだろう]
―ある人の墓前―
これは、どういうこと……?
[…は麻痺毒のことも忘れてしまったかのように、返事のない相手へと疑問を投げつける。
しかし、己の言葉は体を成しているだけの空虚なもので、自身は既に手紙の内容を把握し――納得していた。]
そうだ……確かに、君がいなくなって、僕だけが傀儡のように遺されて。でも、日々抜けていく“君”という存在を埋めるために、様々な“もの”が僕の中へ入り込んできた。
君の純粋な願いだけで埋め尽くされていたのに、僕の中身には悪意も善意も区別なく、入り混じって叫びを上げ続けている。
そうだ、無事なわけがない。
[何ともないと、思っていた。でも、この手紙の所為で、自覚することによって、それはとてつもない矛盾として己の中を蹂躙し始めた。]
なら、どうして君は僕を置いて、命を絶ったんだ……っ!!
[それは、彼が生きてきて初めて上げる、叫び声だったかもしれない。もしも近くまで誰かが来ていたのなら、聞こえてしまうくらいに。]
……いや、違う。
[しかし、少し経つと、己はすぐに平静の声色を取り戻し、呟く。]
君の言うとおり、もし僕に感情があると認めるのであれば、僕はきっと、これまでずっと、君に――感謝していた。
そうだ。本当はずっと、お礼が言いたかったんだ。
[…は告げると、言葉とは矛盾するような普段通りの無表情を向ける。]
ありがとう。そして――
――赦してくれて、ありがとう。
[…は内容とは裏腹に、挨拶でもするかのように告げると、己の胸を自身の爪で貫いた。]
[世界が横転する。見える縦の楕円に映るのは、彼女からの手紙と墓だった。
――最期の月は、漸く白く雪色に見えた。]
[リゼットが振り上げた刃がオットーの体に届く>>60。
即座にオットーからの反撃があると思いきや、意外にも殺気を送り込んだだけで傷ついた青年は姿を消した。]
大丈夫か、リゼット!
[へたり込んだ少女>>62に駆け寄り、声をかける。
ヤコブはどうしているかと一瞬視線を向けたあと、傷がないことにほっと胸を撫で下ろす。]
行先は分かっている。オットーはパン屋に……自宅で怪我の治療をしようとしているんだ。あの様子ではすぐに動くこともできないだろう。
だから決して無理をしてはいけない。目的を果たすためには、慎重に行動しなくては。
[リゼットを安心させるよう、静かに声をかけた。]
[押し潰す殺気に囚われて、身動き一つ出来ない。
きっと、このままオットーに――人狼に殺されてしまうのだろう。
無力な小鳥のように、リゼットは恐怖に打ち震える。
嗚呼、自分は何て愚かなのだろう。
『何もしなければ殺さない』と、そう彼は言っていたではないか。
せめて苦しまないようで済むように、祈りながら見上げる本物の――殺意の眼。
けれど、そこには不思議と、あれほどに恐れた悪意を感じることはなく。
見つけたものは果てしのない虚無のような黒]
[訪れる避けようのない死を待つ、永遠に似た数瞬の後。
不意に小さな体は殺意から解放された。
呼びかけるシモンの声に、おそるおそる瞼を開けると、
そこにはもう、オットーの姿はなかった]
だめ、です。
今のうちに……毒がまだ、効いてるうちにいかない、と。
みんな、殺されちゃう。
[『慎重に行動しよう』というシモンに、へたりこんだまま、オットーを追うように頼む]
[リゼットが一体いつの間に、どうやって毒を手に入れたのか不思議に思ったけれど、今はそれを聞いている場合ではないと考え直す。]
嗚呼、そうだな。オットーがどれほどの能力を持っているか分からない以上、リゼットが言うように今が好機なのは間違いない。
だがお前は大丈夫か?
俺一人でオットーと対峙するのは心もとないので、ヤコブについてきて欲しいが、かといってリゼットを一人にすることは避けたい。
[しゃがんで視線を合わせると、立ち上がれるか?と心配そうに問いかけた。]
[このままオットーに姿を晦まされたら、もう手も足もでなくなる。
視線を合わせて問うシモンに手を借りて、何とか立ち上がり]
大丈夫、です。
もし遅れても、……すぐに追いつきますから、先に行ってください。
今、足手まといになるわけには、いかないですから。
[シモンとヤコブ二人の顔を見てから、まだ恐怖に震える足を引き摺り歩き出した]
さて。ヤコブ、行くぞ。
[表情を引き締めてもう一人の青年に視線を向けながら声をかける。オットーにどのくらいの心得があるかは不明なので、決して油断することのないよう気をつけなくてはと視線で伝えながら。
今朝起きたあとのヤコブの発言を、騒動が発生してからの行動をつぶさに思い返した結果、信頼できる人物であると思った。時折意見が食い違ったことはあったけれど、ヤコブの思考に矛盾は感じないし、いざというときは行動で示してくれると期待もしている。
だから同行して欲しいと頼んだのだ。
懐の拳銃を意識しながら、広場を後にした。]
― 広場→
―回想・約十年前D―
[その日の空は、溢れ出した彼女の願いを揶揄するかのように、涙を雨の雫として溢し、世界を覆い尽くしていた。]
[朝、彼女の姿は店から消えていた。]
――嫌な、予感がする。
[己に感情などありはしないが、どうしてか、何か異質なものが這いずり回っているかのように、胸に嫌な感触が走るのだった。
己はその感触を振り払うように首を左右に振ると、丁寧なことに足跡すら残していなかった彼女の向かう先を感覚で察知し、真っ直ぐに向かう。その先に、彼女がいた。
その姿に、どこか喪失感を覚えたことは、今でも覚えている。降り頻る雨は彼女の頬を、肌を滑り堕ち、或いは染み込むように絡み付く。目元は宙(そら)に奪われてしまったかの如く前髪に隠されて、その前髪は、その生命力の全てが奪われてしまったかのごとく萎びてしまっていた。]
――来ないで。
[彼女は、此方の姿を認めるまでもなく、呟くように拒絶の意思を向けてきた。そう、願われたら、従う他ない。]
――……女の子が来ないでと言うときは、来て欲しいということなのよ。覚えておきなさい。
[しかし、直後に彼女はいつものように理不尽な願いを向けてきて、己は当然のようにそれに応える。
間近で見る彼女は、しかし、そのいつも通りの姿からはかけ離れてしまっていた。彼女に望まれて、彼女の前髪をかき分け、その瞳を覗き込んでみたならば、その願いの溢れる様を表していたかのような輝きは失われ、矛盾する願いに引き裂かれる苦痛を帯びて濁っていた。]
――私ね、貴方に会わないと決めてから、ただひたすらに、毎日の日記をつけるかのように、人を喰らったわ。私自身の、貴方を喰らいたいという願いを、その血で塗りつぶそうとして。
――でも、ダメだった。貴方を喰らいたいという願いは日々強まり、それと同時に、喰らった人の数に比例するかのごとく、貴方を喰らいたくないという願いが強まっていった。
[語る彼女の口調は、その苦しさが色として見えてきそうなほどに痛々しく、その様子は、死期を悟った猫のようだった。]
昨日も言ったけれども、君が望むなら僕は――
[彼女の様子に誘われるように、己は昨日も告げた言葉を彼女へ向けようとする。しかし、その言葉は彼女の稲妻のような、張り詰めた怒号に遮られる。]
……嫌っ!!絶対に、そんなの……っ!!
――私は、貴方を失いたくないっ!!
――貴方がいないと、生きていけないのよ……。
[最後は弱弱しく、それでいて、語る彼女の瞳は此方に何かを訴えかけてきているかのようだった。]
――でも、私の願いは貴方を奪おうとする。どんなに上書きしようとも、その上から黒色として塗りつぶしにかかってくる。そのたび、私の心は引き裂かれ、心の隅々から壊死してしまうような感覚に陥る。
[彼女はそこまで言うと、その冬の月明かりのような爪を、彼女自身の胸へと向けるのだった。]
――ごめんね。もう、限界なの。
[そう告げながらも、彼女は死の間際まで此方のことを心配した様子で]
――どうか、貴方はずっと生き続けて頂戴。そして、私のお墓を作りなさい。
[こんなときにまで我儘だった。必要としてくれる人を失う此方を、生かし続けるための呪いの言葉だった。更には「そして、そうね――」と付け加えると、]
――毎年、初めて出会った日。この村が外界と断絶される日には墓参りに来なさい。
[「生き続けろ」という呪いに更に効果を上乗せしてくるのだった。
そうして最後に、彼女は普段通りの太陽のような笑顔を見せると、その胸に爪を突き立てて、命という名の願いの水源を断絶させるのだった。
その後、己は彼女の墓を彼女と出会った場所の近くに作り、最期の願い通り、毎年外界と断絶された最初の日には墓参りをした。とは言っても、その墓参りの内容は指定されなかったため、挨拶する程度であったが。
彼女の呪いは彼女の目論見通り、己を生かし続けることとなる。それを迷惑ともありがたいとも思うことなく、ただ、それだけを己の中心に据えて、生き延びた。]
[何度も主張するようだが、これは悲劇的な話ではない。彼女は多くの人を殺したし、多くの人の人生を滅茶苦茶にした。台風のような人だった。
そんな彼女が、自分自身の願いに耐え切れずに、自らの命を絶った。全ては彼女の願いがもたらした結果であるし、そこに同情の余地など、或いはないのかもしれない。
ただ、彼女が命を散らしてから一つ、気が付いたことがある。
――この世には、彼女の生きた痕跡が驚くほどに存在しない。
そう、探せば探すほど、彼女の生きた証が残っていなかったのだ。この村に限らず、彼女は姿を見せることを嫌っていたのだから]
だから、僕は――
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