情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
― 開戦の後 ―
[遠く、馬蹄の轟きと具足の響きが空気を揺らして伝わってくる。
王国野営地の緊張がにわかに高まり、様々に呼び交わす声が聞こえた。
やがて、どよめきが怒号と悲鳴に変わり、金属を打ち合わせる音が入り乱れる頃になって、小集団は静かに動き出す。
戦闘中の隙を突く、と言っても別方角からの奇襲は無論警戒されているだろうから、迂闊には近づけない。
だが、海の方は比較的警戒は少ないと思われた。
なにしろ、ゼファーの水上兵力は王国に頭を抑えられている。
馬を降りて解き放ち、若者らと共に港の側から侵入する。
ここまでは、ひとまず上出来だ。]
[ゼファー兵の象徴ともいうべき剣も盾も持たず、たいした鎧も着けずに平服で行ったのが功を奏したか、慌ただしい空気の野営地の中をさほど気にかけられもせずに進めた。
一度見とがめられたが、「義勇兵の持ち場は向こうだぞ!」と言われただけだ。
槍の穂先が鉄だと気づかれれば偽装もバレるだろうが、今は袋を掛けて隠してある。
そうして、物見台の下までたどり着けば、適当な小石を拾って書き付けを結び付け、上に向かって放り投げた。
書き付けには『来た』とひとこと書かれている。*]
― 開戦前 ―
[ 男が騎馬から
先鋒に配された将軍が全軍の指揮を執ろうというのだから、並みのやり方では務まる筈もない。 ]
旗と鏡で合図を出します。クレメンス殿は、それに従って、「元首殿」と「共に」号を発して下さい。
[ 事前にクレメンスと打ち合わせして、合図を決める。鏡を使うことにしたのは、ギデオンとの海戦を経て、王国軍の連絡方法を取り入れた成果だ。おかげで、旗だけでの連絡よりも複雑なやりとりが出来る。 ]
― 開戦 ―
[ ゼファーの兵士は、常に決死の覚悟で戦に臨む。そうでなければ、倍する以上の敵と互角に戦うことなどできるはずもないからだ。
けれど、彼らとて死にたいわけではない。生きるために命を捨てる、その覚悟を持て、と、幼い頃から教えられ、育てられた結実が、男の目の前の軍勢だった。 ]
我らは生来の戦士である!
戦神は、我らが剣と槍に宿っている!
戦場が我らの日常だ。進め!
[ クレメンスの合図に従って無言で立ち上がり、前を示して腕を伸ばした「元首」の動きに合わせ、男が号令を発すると、全軍が前進を始める。
号令までの流れの自然さの「不自然さ」については、深く考える兵もいなかった。* ]
[頭上で赤が揺れた。
白い指が差し招く。
若者たちのうち、機転の利く者を選んで合図し、共に物見台へ上がる。
他の者は、護衛のふりをして下に立っている手筈だ。
物見台を上り切れば視界が開けた。
足下に、軍勢同士がぶつかり争う光景が見えている。
戦塵と喊声を背に立つ王弟の姿は、逆光に縁どられていた。]
女神と言っても、月の女神ではなく戦神の方だったか。
[感想を声に出して言った後、ゼファー式の敬礼をする。*]
久しぶりだな。
お招きを受け参上したぞ。
─ 開戦 ─
[ゼファーの軍勢が押し上げる前線の勢いは速く、前もっての予測が無ければ碌に対峙すらできなかった事だろう。
幸いにして戦備は整っていたから、その報せが届いても焦る事はなく布陣を指揮することが叶った]
歩兵は両翼に広がる形で、盾兵を正面に据えて下さい。
ゼファーに休む間は取れていないでしょうが、彼らの勢いは劣る事は無い。
できる限り多対一の態勢を作り戦うように。
けして一対一、まして一対多数にはならぬようにして下さい。
それと、あちらの騎兵は特に熟練の者が揃っている様だ。
騎兵に対してはこちらも騎兵で迎え討つように、馬から落ちた相手がいればその時は歩兵も加勢に入って下さい。
[本拠の防衛には500程を残すのみとして。
歩兵を主とした部隊を先鋒に、盾・槍・騎兵の部隊に指示を飛ばす。
>>98一兵卒すらも一騎当千のゼファーの軍勢、一合切り結べばそれが開戦の合図となろう*]
豊穣を司るようには見えないかい。
[ 性別を過たれても怒りもせず、敬礼には、武人のそれではなく、神官の儀礼をもって応えた。]
実に卓越した行動力だ。
では戦場にいるのは影武者か?
常に最前列にいれば、ゼファー兵が見るのは背中だけになるわけか。
…それは、いずれバレるな。
貴殿のような男は、背中でも人を惹きつける。
[ カナンひとりを近くにと招く。]
貴殿が来てくれたことを喜んでいる。
書状に書いたとおりだ。
ザール将軍からも聞いているかな。
物資を積んだ船を用意できる。
カーマルグから兵を引き上げる潮時だというのは、わかっているだろう。
貴殿の「物語」は何を望む?
[ ごく簡潔に、話を切り出した。*]
― 最前線 ―
[ 男の率いる騎兵と軽歩兵から成る一隊は、只管に前進を敢行していた。
陣容は騎兵300を配し、中衛に軽歩兵300、最後尾に騎兵100という配置だ。指揮官たる男自身は
前の騎兵、縦陣とって右翼寄りに走れ、軽歩、少し下がれ。
後衛はそのまま。
[ やがて前方より、押し出してくる王国軍の威容が迫る。>>100 ]
盾兵に正面から当たる愚は犯すな。アレは後方の重装歩兵に任せればいい。
敵騎兵を確実に潰す。
[ そう指示を出す頃には、王国軍からも動きがあったろうか。* ]
豊穣の女神に気に入られるのは、もっとガタイのいい奴だろう。
[当人の性別ではなく恩寵を降らせているもののことを口にしたのだが、些細な行き違いだろう。
嫋やかな仕草はやはり、戦場には似つかわしくないと思える。
あるいはやはり、天上の生き物なのだろうか。
招かれれば、連れてきたものを登り口に残し、彼に歩み寄った。
前を通り過ぎて横に並び、戦場を見下ろす。
ゼファー軍を率いて駆ける戦車の姿に、目を細めた。]
これが、渡せと頼まれたものだ。
[問いには答えず、まずは皮袋を差し出した。
中には素晴らしく染みる薬草と、解毒の薬酒の製法が収められている。
特に説明はしないが。]
……ゼファーは施しは受けない。
戦って勝ち取るか、
敗北して死ぬかだ。
だが、偉大な敵手に敬意を表すことはできる。
単刀直入に言おう。
カーマルグを今後、領有する気は無い。
だが単に手を引いたとなれば、民が納得しない。
ひとつ、折れてもらえないか?
勝ちを譲れ、というわけではないが。
[改めて対手に向き直り、試すように問うた。*]
─ 前線 ─
[>>103ゼファーの軍勢を、ベリアンの指揮通り盾兵を正面に据え鳥が翼を広げた形の布陣を敷いた王国兵が迎え撃つ。
総勢5000を越える軍勢は、けれど数に驕る愚はとうに捨て多対一の陣形を心掛けた動きでゼファーの兵士と対峙して。
走る騎兵に気付けば、その手の槍を警戒した動きで盾を掲げはするが盾兵がその騎兵を追う事はない。
それにゼファーが気付かぬ訳は無かろうが、こちらが意図を明かすよりも部隊の動きで伝わろう]
『敵騎兵確認、前方を開けこちらに誘導せよ!
近付くまでは後方から弓の支援を乞う、接敵の後は騎兵のみで応じる!
落馬した際は速やかに後退、敵の落馬者は歩兵に任せるように!』
[騎兵隊を纏める長の指揮する声がこちらにまで届く。
騎馬を落とすことが出来れば戦況は一気にこちらに傾くことだろう。
だが、それはあちらも同じことだ。
言葉を交わしたあの将とてそれを狙ってくるだろうが、彼は何処で剣を振るっているだろうか。
そんな思いと共に視線を向けた戦場、あえて衆目を引くような戦車に目を細めた*]
[ 革袋を受け取り、重さで中身と送り人を把握して微笑む。]
律儀な将だ。
[ 続けて語られた単刀直入な話に、驚きは示さない。おおむね予想どおりだ。 ]
…何があれば、ゼファーに新たな風を吹かせられる?
自分は、両国が戦ったこと自体、正史に残すのは避けたいとすら考えている。
"王国とゼファーそれぞれが「海賊の残党」と戦う中で、共闘についての合意がなされた。"
"ゼファーがカーマルグを襲撃した海賊を討伐したことに対し、プラメージは感謝してカーマルグの富を贈る。"
[ 自分が作った「物語」を語ってみせた。]
それと、かの将から問いの答えを聞くよう、言われているか?
[ 革袋を掌で転がして訊く。*]
詭弁だな。
[ギデオンが語った「物語」を笑う。
否定的な笑いではなかった。]
そちらの正史はそれで構わないが、こちらの史書には好きに書くぞ?
"我が軍は多大な犠牲を払いながらも敢闘した。"
"王国は我が軍に恐れを為し、富を差し出した…"
……いや、こうか。
"王国の無尽の兵力の前に押しきれずとも、講和を引き出した。"
[どちらかと言えば、そちらの方が事実に近い。
長老連中あたりには、それで通じるだろう、とひとり頷く。]
ああ。富があれば、変えられるな。
一時的なものではなく、継続的なものだ。
それと、人と、技術。
[戦場から吹く風を、目を細めて受ける。
新たな風、というのにも否定しなかった。
が、問いの答え、と聞いて首を傾ける。]
さあ?何のことだ?
聞かされていないな。
[きょとん、という音がしそうな反応である。*]
なるほど、誘い込んで数で押し包もうという策か。
[ 縦列に組んだ騎兵の戦闘が近づいても王国の盾兵は足を動かさず、ただ生きる壁となったように背後を守る。
敵騎兵の姿が見える手前、あからさまに誘い込むような隙が開くのを見ると男は口の端を上げた。 ]
弓兵も背後に控えているだろうな。さすがは王国の将、隙一つない布陣だ。
[ 浮かべる笑みは今は女神の寵児との会見に臨む元首のそれに、どこか似る ]
だが、我らを誘い込むということは獣を家に招き入れるに等しい。
前騎兵!盾構え、楔型をとって駆けろ!せっかく敵の作ってくれた入り口だ。こじ開けろ!!
軽歩は、落馬したものの援護を。
[ 号に応じて騎兵は駆け、誘い込まれたと見せて一部が左右に別れ、周囲の王国兵を蹂躙しようと槍を揮う。
当然王国から降りかかる矢の雨によって落馬するものも居たが、致命傷でない限り、そのまま歩兵として周囲の兵をなぎ倒さんと剣を抜くのもこれまで通り。
ただひとつ、先の会戦と違っていたのは、彼らが長を失い、失ったが故に、その存在を深く心に抱いて戦っていたことだろう。 ]
『
[ 老練の兵が、鉄の盾で振る矢を弾き飛ばしながら槍を大きく振り回す。
その姿と声から伝わる慟哭に似た熱は、若き兵にも伝播して、力を与えていた。*]
そうだな、あまり勇ましい物語を作られると、ゼファー兵が図に乗って、王国人を蔑視しないとも限らない。
そうなっては、今後の交流に差し支えようから。
最後のあたりで妥協してもらえるとありがたい。
ゼファーは海賊に勝利した。
王国はカーマルグとその民を守った。
その点において、互いに勝利宣言をすることは可能だと思っている。
どのみち、貴殿に与えられたのは「ゼファーの交易船を襲った海賊への報復のための軍勢指揮権」であって、カーマルグのことは貴殿の独断、違うか?
王国は、「海賊討伐」で死んだ兵らのために慰霊碑を建てよう。
毎年、この時期に遺族を招いて祭祀を執り行い、遺族には年金も支払う。王国からの感謝の気持ちだ。
人と技術は、ゼファーに送るわけにはいかない。少なくとも、そちらの奴隷制度がなくなるまでは。
だから、ゼファーの方から来てもらおう。
海賊戦のノウハウ等を教練してくれる者を派遣してくれれば、むろん報酬を払う。継続的に。
[ 問いの答えについては、]
そうか。ならばやはりもう一度、会わねば。
[ 嬉しそうに言った。*]
[あからさまに開けた空間は、ゼファーにも誘いが分かるものだろう。
そして、その利も不利も互いに分かっていることも。
その上でゼファーが乗らぬという手は選ばないのも、最初から分かり切っていた]
『盾兵、槍は斜めに受け流せ!
正面で構えればそのまま貫かれるぞ!』
『歩兵は味方の弓にも注意を払え!』
『騎馬兵構え、何時でも駆け出せる態勢を整えよ!』
[それぞれの長が配下に号を飛ばす、その中にゼファーの兵の檄も交ざりあって鉄と青銅がかち合う音、木が砕け人の倒れる音、様々な声が戦場の空気を作り出す。
そんな中、>>113一際大きな熱を発するその声は後方指揮を執るベリアンの元までも届く程の鋭さをもっていて]
…あぁ。
[こちらの耳まで届いたのは一人の声。
だが、その嘴はきっとまだ何羽もいるはずだ。
少なくとも、あの時彼の後ろに控えていた彼らの分は]
…悩ましいな。
[指揮を離れその前に出ることを許せない我が身の歯がゆさに、目を伏せた**]
我々は、王国に勝たねばならない。
[明白に、そうと示す。]
でなければ、ここまで戦った者たちが納得しない。
海賊などは過ぎた話だ。
彼らは今も『王国と』戦っている。
我が国の政治制度は、貴殿も知っているだろう?
私は、彼らの支持を失うわけにはいかない。
海賊への勝利などという卑小な結果で、彼らを納得はさせられまい。
[改めて、ギデオンへと体を向ける。
正面から、彼の目を見据える。]
彼らは、私が止めろというまでは戦闘を止めるないだろう。
それこそ最後の一人になってもだ。
だが私も、これ以上お互いの血を流すのは忍びない。
剣を置くと、宣言してはもらえないか?
今、ここで、彼らに向けて。
私と、私の信じる者が国の上に立った時には、必ず国を変える。
個が個として、相応しい生き方を選べるように。
それが、───俺たちの望みであり、誓いだ。
実現のために貴殿の協力が欲しい。
史書になんと残そうと構わない。
負けと認めずとも構わない。
ただ、今は戦いを止めると宣言してはもらえないか?
[それは脅しでもあり、懇願でもあった。
聞き届けられないのならば、実力を持って成し遂げる。
その意志を視線に込めた。*]
[ 最初の会戦では、倒れても戦い続けるゼファーの兵に、恐ろしさを感じる王国兵も多かったろう。
しかし、千人将をベリアンが倒したことで、その恐ろしさも軽減しているのは確からしく、冷静に連携をとり、的確に急所を狙ってくる兵の数が格段に多い。>>116 ]
気合いと数...ではないな、死を恐れぬ力と、生きようとする力の戦い、か。
[ どちらが正しいとも、強いとも言えぬ。だが、どちらも負けるわけにはいかぬ戦いだ。 ]
[ この場所ばかりではなく、戦場全体を見渡しても、戦況は、ほぼ拮抗していた。クレメンスが直接指揮している一隊など、一部押し込めている場所もあるが、びくともしない盾の壁に跳ね返され続けている場所もある。 ]
押し負けるな!
[ そんな中、男は率いる兵達を励ましながら、指揮を執り続ける。
目立つ
諦めず道を開け!
[ 道を開くのは元首を敵の要まで押し通すため、の筈だった。と、知る者は少なく。故にその号令に疑問を抱く者は皆無** ]
[1] [2] [3] [4] [5] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新