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[鎌を右手に分銅の側を左手に、間の鎖を極力弛ませ長く持つ。
そしてまず投じたのは右手の鎌。
傷により狙いが外れたかのように、それはオズワルドを掠りもせずあらぬ方向へ飛ぶ。
しかし、目的は別にあった]
[研究塔の、翼ある者たちのため開け放したままの窓の一つに、鎌の刃が引っ掛かる。
後翅の加速を止め、無事な左手で、次いで鎌を投じた手負いの右手で、鎖を握り締める]
あああああああっ!!
[気合いの声と共に行うのは、鎖を利用した強引な方向転換。
加速を止めても慣性力により上昇は続き、鎖は張り詰めてぎちぎちと音を立てる。
掌もまた紅を滲ませるが、巻き付けた布の摩擦がどうにか滑りを抑えていた]
[頭が真下を向いた瞬間、蟷螂は再び加速をかける。
高さと、速度による力を借りて、上下に擦れ違いながら分銅を振り下ろす*]
― 都市中心部 ―
[こちらの動きを読んだ上で、オズワルドが選択した行動に息を呑む。
重さに速度を足した分銅による打撃は、硬質化した皮膚をも通すだろうとの目論見はあったが。
オズワルドはそれを、敢えて受けてみせた>>49]
[硬質化した肩に減り込み、その奥の骨へも達する一撃。
それに耐えるオズワルドの眼前を通り過ぎ、勢いのまま更に落下する。
その動きがガクンと、引っ張られたように一瞬止まった。
――比喩ではない、と理解したと同時、衝撃が走る]
かはっ!
[回避を意識から抜いた攻撃の直後、防御も間に合わず、石突による一撃をまともに背中へ受けた。
体が大きく仰け反り、後翅の光が弾けるように消える。
意識が一瞬飛んだのは、今度は演技ではなかった]
(だめだ……墜ちたら……)
[塔の窓が、真横を幾つも通り過ぎていく。
いつの間にか、両手は鎖を手放していた]
(目指すべき場所は、……どこ?)
[通り過ぎる風を掴むように翅を震わせ。
顔を、体を、持ち上げる。
見上げた先、鎖は漂っていただろうか?]
――――はっ!
[全身に痛みと軋みを感じながら、上方へ急加速する。
左手を、鎖を手にとるべく伸ばして*]
[鎖のある場所はオズワルドよりも向こう、その間身を守るものは何もない。
そして手が届いても――恐らく体をまともに動かせるのは、この一撃が最後だろう]
[だから後翅の力を全開に加速し。
鎖に手が届いたなら、傷付いた右手に構うことなく全力で振るう。
そのための力を]
『運命の輪』よ――手を届かせて!
都市中心部
[オズワルドの意志に
意志を力へと変え、その一時だけ、負傷した右腕さえも揮える力を与え。
真っ向から向かって来るグレートヒェンを降さんと大上段から三日月斧を振り下ろした*]
― 都市中心部 ―
[オズワルドの意志を示すように、負傷した右腕が力を取り戻す>>57。
そして大上段から降る攻撃へ、空中で掴んだ鎖鎌を手に向かい合う。
回復せぬままの両腕では、力ある一撃は到底受け止められはしまい。
それでもカードの力を信じ、敢えて真正面から突っ込んでいく]
[前髪を散らし、眼前を通り抜けていく三日月斧の刃を、見開いた両目で眺めていた。
体すれすれを通り抜ける一撃に、心臓が痛いほどに早鐘を打つ。
しかし――当たらなかった。
両腕を振り上げつつ、急制動により半身となって、振り下ろされる一撃を回避する。
不可能とも思えたそれを、
[緊張の余り引き伸ばされた一瞬から、現実へ意識を戻す。
オズワルドの渾身の一撃を潜り抜け、鎌は未だ手元にある。
両手で握ったそれを、今は目線より下にあるオズワルドの肩目掛け、ただ、振り下ろす*]
――これで、終わりだ!
っ 、 くぁ……!!
[鎌が振り下ろされたのは左肩。
硬質化も施していないそこに、刃が深く突き刺さった。
耐え切れず、手から三日月斧が零れ落ちて行く]
……っ……
[カードの力の影響を離れたために右腕も垂れ下がり、羽ばたく力も弱まっていく。
ずるりと鎌から抜けるように身体が落下し始めた。
それでも尚、意地を通すように翼だけは広げ、緩やかに旋回しながら地面へと落ちて行く]
― 都市上空 ―
……ふむ。
[言葉を発する事も、『檻』へ言葉を落とす事もなく。
交差を見続けていた『紡ぎ手』は、小さく息を吐く]
……制したのは、『運命の輪』か。
[地に落ち、倒れ込む『力』の主の姿に>>62に小さく呟いて]
……さて。
選ばれしは、如何なる道か。
[薄く笑みを浮かべて小さく紡ぐ。
緩く動いた霞色の翼から、光が零れて風に散った。*]
― 都市中心部 ―
[左肩に鎌の刃が落ちる。
硬質化されていないその場所に、刃は予想外に深く突き刺さり。
オズワルドの手から、三日月斧が滑り落ちるのが見えた>>61]
オズワルド!
[鎌から抜け落下を始めたオズワルドを、加速を止め翅の動きだけで速度を制御しながら追い掛ける。
意地を示すよう広げられた翼に、こちらも無闇に手を貸すことは出来ず。
やや高い場所から見守るかのように降りていく形となる]
ちょっと、大丈夫……?
[地に足を着いた途端、倒れ込むオズワルド>>62。
揺さ振りかけた手を止めて、せめて深い傷だけは止血をと、服を裂いて脇下を通すような形で左肩に縛り付ける。
それ以上は専門家ではない自分に出来ることもなく。
おろおろと助け求めるように周囲を見た*]
………これ以上は動けねぇ。
[観念したように言って、緩やかな動きでこれまで集めたカードを取り出す。
『力』のカードだけは少し離れた場所に落ちていて、取りに行けそうに無かった]
ほらよ。
後一枚は、あっちな。
[カードを差し出しながら、残りの一枚を顎で示す*]
― 都市中心部 ―
う、……うん。
[薄目を開けたオズワルドに窘められ、大人しく頷く。
両腕で起き上がり座り直そうとするのを見れば、手を貸そうとはするが、不要ならば手を引っ込めてただ心配げに見守った]
そ、……っか。
[差し出されたカードの枚数は多く、纏めて受け取れば重みすら感じる気がした。
そして顎で示されたのは、残りの一枚――『力』のカード>>68。
飛ぶ程の距離ではないから、歩いて取りに行き]
確かに受け取ったよ、オズワルド。
……他の人たちの分も一緒に。
[振り返り、先に受け取った分に重ねて示す。
パメラに、ロヴィンに――他、多くの者の願いの籠められたカードが、今、手元にある]
オズワルド。
――あんたはどうして、空を目指したの?
[ふと思い立って訊ねたのはそんなこと。
カードを奪う引き換えには、到底ならないだろうけれど。
せめて、彼の願いの一端でも背負っていきたいと*]
……俺の未来はここには無ぇと思ったからさ。
ここで無為に過ごすだけの未来じゃなく、もっと、色んな可能性を秘めた未来が外にあると、そう思った。
未来や可能性は自ら掴み取るもんだって言った奴が居やがったんでな。
[その切欠になり得るから、カードを手に取り空を目指したのだと。
その意図は恐らく伝わることだろう]
…言っとくが、俺はまだ諦めてねぇぜ。
俺の願いは俺のもんだ。
お前ぇが背負ってく必要は無ぇ。
[己の願いは己のものだ、と。
そう言わんばかりの表情で笑った*]
― 都市中心部 ―
[こちらの問いに、口端持ち上げるオズワルドの表情>>71が見えた]
そう。
[彼の話>>72に耳を傾けた後、ぽつりと呟く]
未来や、可能性……。
あたし、この戦いが始まった時は、そんなこと考えていなかったわ。
[未来に背を向け可能性を閉ざしたことで手にした
導かれた結果が現在だった]
良かった。そう言ってくれて。
[諦めない。
幾度か交わしたその言葉をオズワルドも口にしたことに、自然、笑みが零れ]
――きっと、その分は高く飛べる気がするの。
[見上げるのは、籠に閉ざされた空の向こう*]
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