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そう、ですか……
[地上の様子を聞き>>12、上へ行く、との言葉>>14に、一瞬目を見開き、そして頷く。]
叔父様……私も行きます……。
いいですよね?
[手に出来る薬は多いほど、生き残れる確率は上がるだろう。
そんな単純な計算。
どこか胸の奥がワクワクしている。
何か小さな冒険にでも出るような───其処へ降ってきた質問>>15に、キョトンとした。]
何………って……
それは……………
[凡ゆることが浮かび、何一つ言葉にはならない。
困ったように首を傾げて、クロイツを見上げる。
それは無邪気な子どもの表情。]
[物心ついた頃には、身体中に痣を作っていた。
決められたレール、決められた生活、決められた人生───
やりたいことは沢山あった。
お姫様みたいになりたい。
いっぱいお勉強したい。
絵を描きたい。
歌を歌いたい。
お友達と遊びたい。
いっぱいいっぱい………。
それを口にすれば痛みが増えた。
それは間違っている、と。
いい学校に入り、いい家柄の人と結婚し、子どもを産め、と。
私が叶えられなかった夢を叶えて頂戴、と母は私を殴ったその手で髪を撫でるのだ。
私は母のお人形───。
母の思うように動き、母の夢を見て、母の夢を叶えるお人形。
14年間、ずっと。]
[ 母が死んだ
その事実を手にした時、私の中に生まれた感情は何だったんだろう。
悲しかったのだ。
辛かったのだ。
それは親を亡くした時にはそういう感情になるのだと教え込まれたものだったのか、心の奥底から湧き出したものだったのか分からない。
嬉しかったのだ。
やっと解放される。
嬉しかったのだ。
此処カラガ私ノ人生ナンダ
私はやっとその瞬間から、"生き"始めたのだから。]
[>>16>>17質問の意図が掴めず不思議そうな表情の姪。]
君を愛し守っていた父はもういない。
君を傷付けていた母も。
君を支えてくれていた薬剤師の娘ももういないかもしれぬ。
[男にとって、このまだ大人になっていない姪はいつも泣いているか弱い存在だった。そんな娘が保護者をなくし、一人でどのように生きていくのか思い付かなかった。
自分の庇護下にいれることも考えた。だが、姉を見捨てたこの娘を、妻はきっと許さないだろう。
この娘はこの先どうやって生きるのか。
傷付き泣きながら生きるのか、身を汚し人を貶めながら生きるのか。
このまま変わらずに一人で生きられるほど、世界は優しいとは思っていなかった。
生き方を決められないなら、心を汚し傷ついて生かすくらいなら、いっそここで......殺してやる方が良いのかも知れない。
男はそう考えていた。]
[この世界で1人で……
その言葉>>21に一瞬、酷く傷付いた表情を浮かべる。]
叔父様………
叔父様も………
[そう言葉にしかけて、口を噤む。
そうして、ニコリと微笑んで見せた。]
どうとでも生きていけますわ。
コンスタンツェもそうだったように。
[教会の拾われ子の名を口にする。
ただその表情は、此処にきた頃よりもずっと晴れやかなものだった。]
そんなことよりも、お薬を探しに行きませんか?
随分寒くなってきたような気がします。
[コテリと首を傾げて、クロイツの顔を覗き込む。]
[クロイツからの返答>>24にニコリと微笑む。
その胸の内を察することはない。
そうして、上へ行こう、という言葉に素直に従い、毛布にくるりと包まった。]
叔父様、右腕、大丈夫ですか?
[此処に降りてきた時に巻いた、白のスカーフが黒の軍服に映える。
それがほんのりと赤く染まっていた。
駆け抜けなければならない、という言葉にこくりと頷けば、毛布を引き摺るようにクロイツの後に続く。
階段に続く共用スペースに転がるマレンマの遺体を一瞥し、何の感慨も持てないままに、クロイツの後を追う。]
それなら良いのですが…
[スカーフのその下の血は止まっているのだろうか、そこに滲む赤に少し心配そうな表情を浮かべる。
ついてくるんだ、と言われれば>>26、毛布をぎゅっと握り締めて、その背中を追う。]
…………けほ………
[煙はまだ立ち込めていて、視界は悪い。
上を見上げるのが辛く、顔の半分まで毛布を引き上げる。
取り巻く煙が目に沁みた。]
………………
[その距離か開きそうになり、相手の毛布の端を掴む。
ほんの少し、クロイツに重さが掛かっただろうか。]
[クロイツの後ろをついて行けば、階段は終わりを迎える。
一気に風と冷気の流れを感じ、身体を震わせる。]
やっぱり地上にはいられませんね……
[ぽつりと呟けば、クロイツは何かを見つけたように声を上げた>>28]
エレ……ちゃん……?
[その小さな身体は大きなカークに護られるように地に伏している。
掴んでいた毛布を離せば、そっとエレオノーレに近付いた。]
エレちゃん?エレ、ちゃん!!
[応える声はない。
そっとその身体に触れると、驚くほどに冷たかった。
握り締めた小さな手を包み込む。]
すまない、シュテルン。
[そのまま銃を撃つ。
だが銃の衝撃に右手が耐え切れず、射線をぶらせて外してしまう。
かすっただけとはいえ、放置していた右腕の調子は良いものではなかった。]
───パァンッ
[銃声が響く。
驚きはしない。
思っていた通り、痛みもない。
小さく溜息を吐き、誰にともなく呟く。]
叔父様…………
叔父様も…………
[その声は風に流される。]
[ゆっくりと立ち上がり、振り返り様に、左足のホルダーから「お守り」を抜き手に収めれば、躊躇なくトリガーを引く。]
叔父様なら、分かってくれると思ったのに……
[銃弾は傷を負った右腕を狙う。
それは正確に右腕に突き刺さる。]
叔父様……
私、自分に危害を加えようとする気配には……
敏感なんです……
[それは図らずとも身についた自らの防衛能力。
浮かべるのはほんの少し悲しげな、残念そうな表情。]
[此処に来て人形であることを辞めた。
"生きる"為に何が必要なのかを
どうすればいいのかを"自分で"考えた。
ヴェルザンディさんを見限った。
地下通路は危険だと思いながらも本気で止めなかった。
一人でも薬を狙う人が減ればいいと思った。
ヴェルザンディさんが扉の向こうへ行った後、待ちもせずにすぐ様扉を閉めた。
優しく看病してくれたのに。
ディルドレおばさまを騙した。
本当は本物を騙し取るつもりだったけど
おばさまは薬を持っていらっしゃらなかった。
けれどそれで薬を求められることはなくなった。
エレちゃんが作れる薬の数が2個だと知って
エレちゃんを守る、と言いながらエレちゃんから離れなかった。
少し強く言えばエレちゃんはすぐに薬をくれたんだもの。]
[ フランツさんを見捨てた。
目の前で冷えていくフランツさんを見ていた。
私はただ見ていたのだ。
薬はまだあったのに。
目の前にエレちゃんがいたのに。
フランツさんに薬を飲ませようとはしなかった。
マレンマさんを閉めだした。
地下に来た時にマレンマさんが居ないことに気付いてた。
そのまま地上で焼け死んでくれたら手間が省けるって思ったの。
だから、すぐに扉を閉めた。
コンスタンツェを無視した。
手を下すなら彼女かしら、と思っていた。
男の人を相手にするのは分が悪いし、私にはお守りもあったから。
だから、暗闇で答えなかった。
叔父様に敢えて『危険だ』と告げた。
叔父様が始末してくれたらそれはそれで助かると思ったし。]
[考え慣れて居ない頭はパンクしそうだったけれど、
いつかの切り取られた空が私を呼んでいた。
籠の中から見る空は
もう目の前にあった
掴んだ世界はまだ地獄みたいだけど
この先にきっと
────きっと。 ]
[一歩、また一歩とクロイツに近付く。
14年間を取り戻せる。
やっと手に入れた自分。]
叔父様なら、分かってくれると、
思ったのに………
[もう一度狙いを定め、トリガーを引いた。]
[右腕に激痛が走る。昨日マレンマに味あわせた痛みを自分も味わうことになるとは皮肉なことか・・・
そんな馬鹿げたことを考えられる暗いには冷静だったのは、空気が冷えていたからかもしれない。
近づいてくる彼女を見つつ、冷静に銃を両手で構えると、再度撃つ。]
[クロイツの前に大輪の赤い花が咲く。
それに戸惑うこともなく、更に一歩、一歩男に近付く。]
叔父様………
叔父様は……お優しい方……
フリッツとヒルデのご自慢のお父上だったでしょうね………
[カチャリ。
そうクスリと笑みを零せば、銃口を眉間に突きつける。]
せめて、苦しまないように。
[さようなら、という言葉と銃声が重なった。]
[何が起きたのかはわからなかった。
目の前の少女は、簡単に組み伏せることができるだろう、と高を括っていた。
薬を手に入れられさえすれば、生き残りさえすれば・・・
子供達に会えるはずだった。愛すべき息子と娘。
指揮官を・・・一度は手を組んだ協力者を・・・守るべき姪を撃ったことなど忘れ、子供達といつまでも幸せに過ごせるはず、だった。
だが、その幻は、その組みしやすいと思っていた少女によって打ち砕かれた。
遠ざかる意識は、眉間に当たる銃口の冷たさを感じ、続く轟音を最後に、二度と戻ることはなかった。]
[煙の上がる銃を下げたまま、一つ大きく伸びをする。]
疲れちゃったな……
[周りに転がる死体に目もくれず、薬を一つ口へと入れれば、毛布に包まって地下へと降りる。
地下の扉をキチンと閉めれば、何事も無かったかのように、仮眠室の布団へと潜り込んだ。
今まで見ていた幸せな夢は、現実として目の前にあるのだから。
そう信じた14歳は幸せな眠りについた。]
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