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次の日の朝、薔薇園芸家 ローゼンハイム が無残な姿で発見された。
夜が明け、悪夢は現実のものとなった。
人狼は確かに存在するのだ。そしてその血腥い牙で我々を狙っている…。
人々は苦悩の末、最終手段を取る事にした。
投票により、1日に1人ずつ疑わしい者を処刑する。
例え無辜の犠牲者を出すことになろうとも…。
現在の生存者は、始祖 、呪われし隻腕 ジェフロイ、 ギィ、放浪者 クレステッド、海の魔物 シメオンの5名。
[ 相手の接近は視覚より気配で察する。
腕がメタモルフォーゼすると同時に飛来する鋭利な欠片。
避ければ待っているのは相手の追撃であろう。
急所さえやられなければ良いとの判断で受け入れ、相手が飛び込んでくるだろう空間に長剣を旋舞させた。*]
[ 相手は逃げずに漂いながら腕を伸ばしてきた。
溺れているのかもしれない。
ためらうことなく四肢を絡めて引き寄せれば、不意に顔が近くなった。]
んっん、
[ 積極的な接吻けに思い出す。
自分をここにつれてきたアレ、そういえば吸血鬼だったような。
吸うの? 吸われるの?
せっかくなので、飲み込んだ粘液でも口移ししようか。*]
[伸ばした腕が引き寄せられ身体が密着する。
四肢を絡められ、身動きが取れなくなったが、拘束されているという感じはしない。これはむしろ、抱きつかれているというのが正しい。
先ほどから感じる敵意のなさはなんだろうか。
仕掛けられているのも、攻撃というよりはじゃれつかれているような感覚だ。ただし、対処を誤れば危険であるあたり、猛獣を相手にしているような気分だ。
そんな思考を巡らせていると、服の袖先がほつれているのが目についた。
袖先だけではない。先端や縫い目などの弱い部分から綻びはじめている。
疑問が理解に至った後、暫時、このフィールドを作った者の趣味についてもの言いたげな顔になった。]
[この身体の熱さも、そういうことだろう。
相手と唇を合わせ、舌差し入れながら思う。
動きを封じられれば良いと思ったが、それなら他の手段はいくらでもある。
したいから。
理由はおそらく、そこに収束する。]
……ん、
[舌伝いに何かが喉奥へ流し込まれた。
生温く、滑らかで、粘度のある半液体のようなもの。
正体に思い至るより先に、身体の奥が疼いた。]
ほ、う 。
[感嘆の一音節目で相手の眼前に接近し、二音節目で身体の向きを変え両腕の刃を十字に重ねた。直後に金属音が響く。
双刃の間で受け止めた長剣を押し返すように力を入れつつ、横へと跳ぶ。]
なかなか。
[良い。と唇が上がった。]
[判断力、対応力、思い切り。どれをとっても一級の剣士だ。
痛手を厭わない辺りは、相応の修羅場をくぐっているともみえる。
闘技宴と言うからにはこのような相手でなければ、わざわざ旅先から戻ってきた甲斐が無い。
楽しめそうだ、と目が笑う。]
[ ガツ、と刃が受け止められた位置は、想定よりも手元に近かった。
それだけ相手の動きが早い。
交差した刃の切っ先が圧してくるのを、わずかにスウェーバックして躱す。
撫でる風に前髪が散った。
切片が抉った肌の傷から溢れた緋色は重力を無視して闇色の刃に吸い込まれる。]
[ 横に飛び退った相手に、最小限の足さばきで正対する。
このひと時、愛顧者のことを意識の外に置くほどに集中していた。*]
[ 水鏡が映す姿。それは<<呪われし隻腕 ジェフロイ>>であった。]
/*
↑離脱者決定ランダムですが、
投票は「始祖」にセットしてください。
[こちらへ向き直る動きも最小限で無駄がない。
完成されたひとつの演武のようだ。]
これほどの剣士が生き残っていたとはな。
吸血鬼もまだ捨てたものではない。
[唇を湿らせ、攻め手を考える。
腕を欠いているが我が死角足り得るか。
いや、彼の挙止を見るに、既に克服しているだろう。]
[ここは正面から押すことにした。
右、左、右、と矢継ぎ早に斬撃を繰り出していく。
一連の斬撃の最後、肩から新たに二編の刃が飛び出した。
蟷螂の鎌に似たその刃をまっすぐに振り下ろす。*]
[ 笑む余裕さえある相手の言葉に、彼が"外"の世界から来たであろうことを思う。
評議会で見かけたことのない顔だ。
こいつは 自由 なのだろうか。]
──…、
[ 自ら風を生むかの連撃を、血を求める己の剣を制御しながら弾き、流す。
腕の先が武器と化している相手の間合いは読みづらく、いくつかの新しい傷が増えたが、再生力が追いつかないほどではない。]
[ 素早い攻撃が彼の得手なのだろうが、まだ次があるだろうとは予測していた。
身体から刃を生やしてくるというのは、なかなかに斬新である。
闇の触手の類か。
一編は剣でいなしたが、もう一方が間に合わない。
袈裟懸けの傷が走る。
普通の人間ならとうに絶命しているところだが、あいにくと魔物だ。顔を歪めつつもまだ動けた。
膝を折りそうになったところから、突きを繰り出す。
今度は、飛んでいきたがる剣を抑えることはしなかった。
むしろその力を借りて前に出て、身に備わった双つの武器──牙を剥く。*]
[両腕の連撃は凌がれ、捌かれ、有効打を与えるには至らない。
だが新たに生やした刃は予想外だったか、肉を断つ感触が伝わった。
肩口の刃はそのまま切り離して捨てる。
本来の身体から逸脱する部分を動かすのは、なかなか難しいのだ。
噴き出した血が互いを染める。
飛び散った雫を舌先で舐めた。甘い。
相手の血が剣の方へ流れていくことに目が留まる。]
[両断とはいかなかったが、倒れるか、と思えた。
揺らいだ相手の動きが攻撃の前動作と気づいたのは直後だ。
あの体勢から、と驚くほどに鋭く速い突きだった。
胸の中心を指す長剣を、外側へと跳ね上げるように払いのける。
浅く薙がれた胸元から血が連珠のように弾けた。
赤い連なりを突き抜けて相手がなおも迫る。
両腕を元の形に戻しながら身体をずらし、剣払った方の腕の付け根で牙を受けた。
もう一方の腕を抱き寄せるかのような形で相手の背に伸ばす。
そうして、膝蹴りを繰り出した。*]
[ 手応えはあった。
破格の敵の血を啜った剣が歓喜を伝えてくる。
畳み掛けた牙は相手の腕を捉えた。
それを許したのは、急所に至るのを防ぐための判断だったのだろう。
鮮烈な脈動が口内を灼く。
血を享ける瞬間には、敵だの同性だのという認識は消し飛ぶ。
供給主をほとんど愛おしいとすら思う。]
[ ぶつかっていった勢いを弾くことなく、相手の手が背に回る。
払いのけられた右手と剣を後ろ手に差し向けたが、至近からの膝蹴りが胴を襲う。
相手が膝頭から刃を生成したならば串刺しは免れないところ。
それでも、牙を引き抜きはしなかった。
ダメージを吸血の快感で相殺しようと吸い上げる。*]
[相手の牙が性急なほどに強く血を吸い上げる。
一心不乱な様は、可愛いなとすら思えた。
少し子供のことを思い出す。似ていないけれど。
腹を蹴り上げても牙を離さないので、後ろ髪ごと首を掴んでやった。
噛まれている方の腕で、相手の手首を捕えにいく。]
美味いのは分かるが、そう夢中になってはいかんな。
特に、我のようなもの相手には。
[己の腕が裂けても構わないという力で、相手を引きはがしにかかる。
同時に、腕の中央から新たな腕を生じさせた。
鋭いかぎづめを備えた腕が、相手の胸板を突き破らんと勢いよく伸びる。*]
[ 自覚よりも長く没頭していたらしい。
後ろ首と手首を掴まれ、引き剥がされる。
血を奪われてなお、その膂力は確かなものだった。
我のようなもの、と見知らぬ吸血鬼は言った。]
おまえは──
[ 血の味から正体を推し量ろうとする。
だが、胸を貫く痛撃が、別種の虚無へと意識を運び去った。*]
[相手を貫いた獣の腕から血が滴る。
腕に伝わるのは死に至る痙攣か。
惜しいと思う。
もう少し戦ってみたい。万全の状態の彼と。
そう思えども、腕の中で彼の存在が少しずつ軽くなっていく。
死んだ者は別の場所で再生されるという話だったか。
そちらへ出向けば、また会えるだろうか。]
我は、 ……ただの流れものだ。
[問いに応えるともなく告げて、掴んだ首を持ち上げる。
喉笛に深く牙を埋めて溢れる血潮を味わい、
獰猛に噛み裂いた。*]
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