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………だから、早く。
魔力を私に、
[ 強請らなければ、自分は何一つ出来やしない。
魔物を降魔し、退ける退魔士だというのに、あまりにも虚弱に生まれた自分は、使役させる魔物に首を垂れる。
代々がそうして来たことだ。
割り切らねばならないことは分かっているけれど、これじゃあどちらが主人なのか、分かりゃしない。]**
ピイィィィィィィ!
[視界の端で動いた影に反射的に顔を上げると、その瞬間痛みに襲われ絶叫した。
視界は未だはっきりとしておらず、霞んでいる。しかし、自分を貫いた光の矢の、その向こうに見えた気がした。
いつも後ろから眺めていた神々しく気高いあの姿ー]
[まさか敵として向かい合うことになろうとは思いも寄らなかった。
何で?と疑問が溢れてきて、頭の中か混乱する。冷静になろうとしても、謎の力が邪魔をする。
やがて考えることが出来なくなって、翼を叩きつけるようにして飛び立った。
一直線に主人の元へ、飛んでいく。それはいつものように主人を迎えるものではなくて、破壊のための攻撃だ。]
…っ守護神よ!汝が盾で悪しき者から我を守りたまえ!!
リュミエール・ブークリエ!!
[大弓が瞬時に散開し、少女の目の前に大きなバリアを展開する。
だが―咄嗟に張った壁は薄い。
彼の突撃を防ぎ切れるかどうか、わからなかった。]
[不機嫌そうに歪む顔。
怒られる、と思った。嫌われる、とも。
案の定「触るな」などと言われて、泣きそうな顔をキュッと引き結んだけれど。
それでも抱きしめたくなる衝動のままに、暫く肩を掻き抱いていただろう。
息も途切れ途切れの相手に気づけばそっと身体を話して、不甲斐なさそうに首を垂れる相手の頬に片手を添えた。]
いいよ。
[ここ最近、無愛想であった顔がようやく笑う。少し躊躇いがちな笑みではあるけれど。
昔に見た子供に向けていたものと、同じ顔。]
コンスタンツェはリヒャルトの物だから、何をしても、何をさせてもいいんだよ。
[そうして、もう一度相手を抱きしめた。
もうコンスタンツェよりも大きくなった肩を抱き締める。
自身の服のボタンを、一つ、二つ、丁寧に外して首筋を露わにする。]
飲めば、魔力をリヒャルトにあげられる。
[自身の血を飲め、と。
コンスタンツェは貴方の「力」なのだから躊躇うことはない、と。
並べた言葉は、自ら相手に服従したいというもの。
飲むか飲まないか、その選択すらも相手に委ねた。
やんわりと頬を緩ませながら。]
[ 強情な態度>>199に眉間の皺は深くなる。
だが散々痛めた身体では碌な抵抗すら出来やしない。
ひんやりと冷えた掌。
最近は煩わしく思っていたそれが心地よく、目を細めたのは無意識。
上擦る声が湿っぽい息を吐いたのも、自覚などせぬまま、相手の言葉>>200に、呆気にとられてしまった。]
な、にして………
[ 腕を伸ばそうとしたけれど、つきりと痛むのは掌の甲。
指先も力み過ぎたのか擦り傷がいくつも出来ていた。
そのことに眉を寄せつつも、顔を背ける。
徐々に露わになる日に焼けることを知らないような透き通った首筋。
相手の笑みの理由が分からない。
表情は、──────知っているものの筈なのに。]
…いらない。血を、吸うなんて。
それこそ、魔物だ。
[ようやっと、捻り出した声は掠れていた。
それは怒りからくるようにも、怯えているようにも、聞こえたかもしれない。
表情を見れば、後者であることは一目瞭然なのだが。]
魔力なんか、なくたって。
…どうせ、その内尽きる命だ。
ちょっとくらい早まったって構わない。
僕でなくとも代わりは沢山いるんだから。
[ だから見られないよう顔を背けようとしつつ、落とす言葉は後ろ暗い。
自虐的な笑みを添えると殊更に。
彼女の反応はどういったものだろう。
後頭部にあたる膝の感触に懐かしさを覚えど、振り切るばかりに肩を抱く彼女から逃げようと、身体を捩ってはつま先に力を籠めた。]**
[向けられる眼差しガ心地良い――ト。先程迄は、確カにそう思っテいた筈ナのに。
ダけれど今、她カら向けられる眼差シ>>163は、酷く心地ガ悪いもので。
普段ナらば、そうも少シ思考ガまトもに働く時ナらば。她の言う、僕にダけ影響ガあるトいうその不自然さにも、思い至ったのだロうけれど。自分の汗を拭い、心配そうナ眼差シを向ける她に向けテ、心配するナと笑いカける位はきっト出来たのだロうけれど。
例え、過保護ト思われようと。脚を痛める事への心配ト、この腕に她を抱いテおきたいトいう欲望カら、その身体を抱き上げる事も出来たのだロうけれど。
しカし今は、其のどれもガ果たせずに。
緩く頭を撫でる手>>164に、吐く息は酷く熱いもの。肩を掴む手は她に何を与えただロう。痛みカ、不安カ――或いは、その両方カ。
ダけれどそれガ解っテいようトも、渦巻く情動は鎮まらナい。
目の前に見えるのは、細く、シカし柔らカい肉の付いた幼子の首。
今ここで、この首に歯を立テテしまえば。柔い肌の奥にある、血潮の流れる脈へと噛み付いテシまえたのナら。その首を捻り切り、芳シいその生き血を啜っテしまえたのナら。]
――………、
[だけれど。ふト、制するように差シ出された手>>165に、肌に触れそうにナった歯ガ止まる。
それは、意図しテした事では無い。她ト出会っテカら今迄の間に、僕ガ自らこの身体に刻み込んで来た事。
僕では無く、別の場所を――この部屋の入り口の扉に向けられた視線は、酷く不愉快ダったけれど。シカしその苛立ちは、少ナくトも女神の喉を噛み切るトいう愚行を止めるのには、大層役には立っテくれた。]
……ぁ、…いイ、や。
何でも……、無イ。何で、モ。
[傾げられた首>>166に、僅カに思考の靄ガ晴れる。
……そうしテ、今シ方犯しカけた過ちに。熱を持った頭ガ瞬時に冷えるのを感じる。
噫。今、僕は一体何をシようとシたのだロう。まさカ、まさカ。穢れ無き女神を僕のこの穢らわシい牙でもっテ、僕と同じ不浄ナ存在へと貶めようとシたトでも言うのだロうカ。
駄目ダ――駄目だ。そんナ事は、赦されテ良い訳ガ無い。
她は女神。僕の女神。穢れ無く純粋で、美シい存在であらナければならナいのに。]
……、いいダロ、そんナの。
何も聞こえテナい。
……悪イ。
少シ気分ガ……悪くテ。暫く休憩させテくれナいカ。
[問い返すように首を傾げる她>>166に向けテ、憮然とシた表情でそう呟き。辛くナっテきた身体カら力を抜けば、她の身体ごト床に倒れこんダ事だロう――僕ガ蘇った、あの日のように。
無論、她の身体ガ傷付カナいように気は付けテいたけれど――噫。今日の僕は、一体どうしテシまったんダ。
先程の"おにいさま"の話>>162ダっテ。普段もあまり気分は良くは無カったガ、ここまで苛立つ事も無カったのに。
父ト、母と、そしテ僕。それ以外の存在に向けテ女神ガああも嬉シげにするのガ――苛立っテ苛立っテ、堪らナい。
そんナ内心の苛立ちに、奥歯を噛み。ダけれど女神の暖カさを感じナガら床に寝そべれば、心も身体も幾分カ軽くナっテくれた。
だカら、もう少し。腕に力を込めるようにシテ横向きに女神を抱き締めテ、良い香りのするその髪へと擦り寄る。
そうしテいれば、きっト。この耐え難い熱も、収まっテくれるト信じなガら。]
[ 困惑顔のリヒャルト。
笑っている理由が分からないから、だなんて想像もしていない。
もし「なぜ」と聞かれても、たぶんコンスタンツェは笑って誤魔化すだろうけど。]
吸う……じゃないね。舐めるだけでもいい。
どうしてそんなに死にたがりなのさ。
[腕の中で動く身体を、少し強い力で抱き締め直す。
"どうして"と、問う口調の最後が震えた。
理由はわかっていた。]
コンスタンツェの主はリヒャルトしかいないのに、代わりはたくさんいるだなんて。
………リヒャルトは頭はいいのにばかだなぁ。ほんとに、馬鹿だよ。
[今日、リヒャルトがこんなにも弱々しいのはどうしてだろう。
否理由はわかっていた。
明日はリヒャルトの、20歳の誕生日。アインパール家の呪われた吉日。
それが苦しくて、相手の背中越しに表情を暗くするのだ。
抱きしめて、柔く細い髪に指を通しながら。
リヒャルトが首筋に歯を立てるのを待つ。
もし血を摂ってくれたならば、素直に腕は離すつもりで。]**
[なんでもない>>204と言われてしまえば、それ以上追及できるわけもありません。
ついで投げられたそっけない言葉と、憮然とした表情には キツく眉を寄せ。
――けれど。彼が倒れこんできたのなら、心配するしかないじゃありませんか]
……だいじょうぶですか?
こんなところでなく、ベッドをさがしたほうが……、
[ああ、彼とはじめて会ったときも、こんなふうだったかしら。
ドロシーは抱きしめてくる彼の背を撫でながら、そんなことを考えます。
あの時はまだ、お屋敷の床だったからいいですが。
ほんとうなら、こんなほこりっぽい場所にねそべるなんて、いやなんですよ?
とはいえ つらそうな従者を、ほうってなんておけませんから。
多少のことは、我慢してさしあげましょうね]
[魔力の配給は終わった。
だが、完全に使役する程の力が循環していると思えなかった。]
コンスタンツェ、離せ。
[要件は終わったのだから、と肩を押す。
先程よりは力が入っていることは、それだけで分かるはずだ。
礼を言う素振りなど片隅も見せず、横暴に我がままに、振る舞う。]
………時間は、あまりないんだ。
だから、早く。
[抜け出せたのなら剣を探して。
どちらにせよ相手を見据えたのなら休憩する素振りも見せずに促しただろう。]**
グ…
[自分と主人とを別つようにバリアが現れる。この勢いのまま、ぶつかればウェルシュだってタダでは済まない筈。だがそれで攻撃をやめようと思える程の理性は残っていなかった。
ガラスの割れる音がして、バリアが消える。
全体重を乗せた突撃はバリアによって弾かれたが、薄い障壁から少女の元へいくらか衝撃は伝わっただろう。]
[崩れた体制を空中で立て直して、再び主人に向き直る。
翼を大きく羽ばたかせると、砂埃や羽が飛び散って渦を作った。
渦の大きくなるにつれて、巻き上げられる物質が硬化していくのが分かる。
ある程度まで渦が大きくなると、硬化させた自身の羽と共に打ち出す。
巻き上げられた物体がぶつかり合ってバチバチと電気の音を響かせながら、暴風が少女を襲う。]
[ 先より強い力で押し返す腕に合わせて、首がぐらんと揺れる。
切られた傷口はみるみる塞がっていくのに、胡乱な眼は地面を見つめていた。
不可抗力で腕を離せば、抜け殻のような人間の身体がそこに座り込んだまま。
剣を抜いて先を急ごうとする相手の声で、ようやく我に返った。]
ぁ、うん……早く行こう。
[剣を持てるようになるまでに回復した相手に笑みを浮かべる。
それは、少しぎこちないようにも見えるだろうけれど。
立ち上がって先行く相手の背中を追う。
落ち葉がリヒャルトの着物に付いているのに気がつけば、くすりと笑って払う為に手を伸ばし、]
[夢を、見ていた]
[ただ、シェットラント様と共に旅をする夢]
[首輪はなく、鎖もなく]
[泣いたり、笑ったり、喧嘩したりしながら]
[長い長い旅を続ける]
[それはそんなに強欲な夢なのか]
[それとも、奥底の願望を見透かされていたのか]
[一瞬、受け止められた、と勘違いした。]
っうわぁ!!
[だが元々光の翼を出現させ、飛ぶのに力を割いてしまっていたのがまずかった。
ガラスが割れる硬質な音と共に衝撃波を喰らい、後方へ大きく吹き飛ぶ。]
くっうう…!!
[彼とは違い、緊急時用にと考案したが実行に移したことはなかった飛行術だ。
彼が体制を立て直す間も翼はもがき、ぐるぐると無様なダンスを踊ってしまっていただろう。]
うぇる、――……っ
[最後に見たのは。
物量のある嵐と、散る火花と、その向こうに居る親しき従者の―]
――――
[正面からまともに暗い、上空へ打ち上げられた。
同時に光の翼は形を失い、甲冑も粉々に砕け散る。
意識は闇の彼方へ飛んでしまった。
堕ちて行くのは、ボロボロのドレスを身に纏う、非力な少女の躰、だけ。*]
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