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だから、
… また会おう、
いつか、海風が誘う先で。
今度はタクマもシロウも、みな… *一緒に、な*
―いつか・帝国のある部屋―
[“代”の文字が外れて、准将と呼ばれるようになり。
…抱えざるを得ない仕事が、その分増えた。
部屋に戻り、慣れない書類仕事の山に手を伸ばす。
いつものことだ。
こういう仕事が得意だった部下兼同僚は、
…――もう、 いないから。]
[いつの間にか…転寝>>411してしまったらしい。
机に伏したまま、意識がすぅっと遠くなる。]
[なにかを。
追いかけるように、無意識が手を伸ばし―――]
…… ズ …
[空っぽのまま、 …ぱたん。
掴めずに机へ落ちる。]
… … ――――さて。 やるか、続きを。
[あまい夢の名残は、そっと仕舞って。
ロー・シェンは書類との格闘を再開*した*]
―フリカデル島/奔る海馬亭―
[教訓を得た>>475――という言葉に、
ロー・シェンはそっと胸に手を当てる。
故郷の滅びが、しかし今…誰かの糧になっているのならば。
あの悔しさも、あの切なさも。
…。決して、無駄なものではなかったと―――
そう思っても、いいだろうか。]
[国滅びてもなお、生きるもの。
人。想い。誇り。誓い。
命失ってもなお、結ばれるもの。]
[今日までの多くの犠牲。
そのひとつひとつが、たしかに…糧になったのだと。
おまえたちの覚悟が繋げたものが、“今”なのだと。
命賭した者の顔を、ひとつひとつ。…浮かべては想う。]
[ゲオルグ。我が
其処に ―― 信 ―― を置く。
力強い言葉が重ねられる。
再会の約束は、未来のしるし。だから、]
…ああ。
また会おう。
[みんな一緒に。みんな笑顔で。
自由と平和を愛でながら。
今度会う時は。楽しく宴会でも、すればいい――――*と*]
-しばしの後、海上にて-
[その日、ナハティガルの姿は海上にあった。]
――やっぱり此処は落ち着くわ。
[ぐ、と。
艦橋の露天部分にて、男は大きく身体を伸ばした。
ナハティガルは悠々と海上を走る。
速度は抑え気味ではあるが、とても心地よさそうだ。
状況を伝える乗員たちの声も弾んでいるように思える。]
[沈まなかったのが不思議と、修理にあたった技師の言葉だ。
よく帰って来てくれた、と言う言葉も向けられた。
絶対にまた海に返してみせる、と、言ってくれた人もいた。
その言葉と感情に応えるように、この艦は今再び、海の上にあった。
修理後の試験航行。
のんびりとしたものだ。
そして、喜びに溢れたものでも、ある。]
[空の青と海の青。
その狭間にて。
ナハティガルは走る。
男は目を閉じ、風を味わう。
息を吐き――瞳を開く。
ただ、蒼を瞳に映す。]
[蒼い風景の中、いくつかの事を思い出す。
男が見たもの、聞いたもの。
男が知らずに、すべてが終わった後に知った物語。
守れたもの、守れなかったもの。
得られたもの、失ったもの。
変わってしまったもの、変わらなかったもの。
知ることすら、できなかったもの。
そのすべてを、思い浮かべる。
そして、これから続くだろう、いくつもの物語へと思いを馳せる。
まだ見ぬ、そして想像もできない先を思うのだ。]
楽しみ、だなぁ。
[やがて男は小さく笑った。]
なぁ?
[呼びかける先は、誰ともなしに。
不意に、「先生」と呼ぶ声に、男は蒼から視線を外す。]
おう、もう戻るよ。
[最後。もう一度だけ空と海を瞳に映す。
変わらず蒼いままのそこに満足そうに微笑むと、男は背を向けた。
その場を、去っていく。]
[高く高く海鳥が鳴いた。
それに応え、ナハティガルが歌うかのように“心臓”を鳴らす。
速度を上げたナハティガルは、蒼い世界を、走り出した。**]
不沈艦と呼ばれ、死神を追い払うと称された艦がある。
激しい戦いへと幾度も加わり、幾度も多大な損傷を受けながら遂に沈まなかった艦は、今は海洋史博物館のすぐ側で静かに余生を過ごしている。
この艦には艦長が舵を握り、副艦長が指揮を執るという、一風変わった伝統があった。
最初の艦長が舵を取って船を救って以来脈々と受け継がれた伝統は、この艦を幾度も救うこととなる。
特に、当艦が参加した中でも最も激しい戦闘では艦長の卓越した操舵と"人も艦も救う"と言われた副艦長の差配により、十数発とも言われる砲弾と水雷攻撃を受けながらも、ついに沈むことがなかったのである。
── 『蒸気船の歴史』 第二集:戦闘艦
帝国がこのころ、出自を問わずに才を取り立てていたことを示す例がある。
二代皇帝の時に滅亡し、帝国に併合されたオルヴァルという国出身の男が、四代皇帝の頃には将にまで位を進めていた。
彼が率いていた艦隊自体もまた、"本来の帝国以外の民"が多く所属していた。そのため、彼らをまとめる将にも同様の属性が必要だったのだろう。だが、帝国を相手に最後まで抵抗した兵を将にまで登用するのは、やはり異例である。
彼が祖国を語ることは多くなかったが、彼を知る者はみな、"不羈"を体現したような人物だと語っている。
── 『帝国に見る国家運営術』
"宵鳥が囀ると船が沈む"
これは船乗りたちの間で信じられているタブーを表す成句ですが、実はこのタブーの成り立ちにはいくつもの説があります。
もっとも面白い説が、この言葉はもともと"酔いどれが歌うと船が沈む"というものだったという説です。
この言葉にはモデルとなる人物がいることが知られています。とある国に酔うと鼻歌を歌い出す人がいたのですが、その鼻歌が"戦艦も沈む"と言われるほど強力?なものだったとか。
もちろんこれはただの伝説ですが、この人物が優秀な将軍であったことは歴史書を紐解けばわかるでしょう。
優秀で、かつ愛される将であったからこそ、こんなユーモラスな噂が生まれたのかもしれません。
── 『ことわざ・成句の読み解き事典』
帝国の歴史上、ただ一度だけ制定された官職が存在する。
扶翼官、という官職は、モルトガット帝国第4代皇帝の時代に当代限りの役職として制定され、たった一人が任に就いたのみで、以後任官の記録はない。
それもそのはずで、この扶翼官という官職には過大な権力が与えられていたと記録に残っている。
皇帝の全権代行者という強大な権力は、普通であれば権力争いやクーデターの種にもなり得る危険なものである。
これだけの権力を預けられるのは、人をして"一対の生き物"と言わしめた当代の皇帝と扶翼官ただ一組だけだったということだろう。
なお彼に関しては、「釣りをよく好んだが、生涯にただの一度も釣れたことはない」と正史に付記されている。
── 『官位・役職・階級の事典』
ウルケルの戦斧と呼ばれた人物がいる。
ウルケルの長い歴史の中でも、有数の危機を迎えた時代に海軍総司令官という職にあり、戦乱終結時には執政としてウルケルの将来を決める舵取り役を担った。
彼を称するに、戦斧と盾、という表現を用いることが多いが、ここでは"大海"という言葉を採ろうと思う。
部下に対しても敵に対しても、彼は等しく大きな懐で呑みこみ、自分の側に取り込んでしまうような大きさと深さを備えた男であった。
常に側にあって見守り、必要な時には確かに支え、怒るべき時には烈火と化す。
海に抱かれたウルケルにとって、彼こそがウルケルの海そのものであったと言えよう。
── 『ウルケル人物列伝』
彼はまさに太陽であった。
陽の沈まぬ国を目指し、海を駆けたそのひとこそが、天高く輝き続ける太陽だったのだ。
モルトガット帝国の皇帝となるべく生まれた彼は、幼少の頃よりその輝きで多くの人物を惹きつけた。
長じてからはなお高く、威光を掲げて国を導いた。
彼の姿は、彼を見上げる多くの者に希望を与え未来の予感を感じさせた。また彼と視線を同じくして地平を望みたいと心から望み、努力する者には、彼は惜しみなく手を差し伸べた。
彼を仰ぎ見ることで国も人々も前へと進み、より良い未来が訪れることを信じたのである。
彼の治世こそ、帝国が大きく輝きを増した時代であった。
── 『モルトガット帝国正史』
ーいつか:船出ー
うんっ、良い天気だ……!
[雲一つない群青色の空がストンプの街を染めている。
一羽の鴎がウェルシュの脇を抜け、その群青色のなかへと走っていった。
ウェルシュはヘーゼルの双眸を嬉しそうに細め、港を眺めた。]
燃料は多めに載せておいてね。長旅になるから。
[港を歩き、手際良く乗組員に声を掛けていく。ルシエルナガは相変わらず不安そうな顔をして、此方を見やる。『また怪我なんて絶対にしないで下さいね』]
あはは、大丈夫だよ。
今度は戦争に行く訳じゃないんだから。
姉さんの
[あれからウェルシュはカルボナードとストンプを往復したり、各地の有力諸侯に掛け合ったりと忙しない日々を過ごした。……姉の葬儀も執り行ったけれども、悼むだけの充分な時間は無かった。
一方ウルケルは、アンディーヴ卿やゲオルグの協力もあり、漸く海峡が開かれた。帝国からの船も多くウルケルにやってきて、港は一層活気に満ち溢れている。ストンプも少しずつだが、帝国から船の発注を受けている。
ウェルシュは寝る間も惜しんで、船の製造に取り掛かった。それは忙しくも、楽しい日々だった。
その作業がひと段落ついた頃、ウェルシュは帝国へと旅立つことを決めたのだ。]
留守ばかりさせてしまってごめんね、ルシエルナガ。頼んだよ。
……ああ、そろそろヴィクトリアさんとも仲良くした方がいいと思うよ。もう良い年なんだしさ。
[そんなお節介をしつつも、軽快な足取りでウェルシュはタラップを踏む。]
帝国、楽しみだなぁ。
ルートヴィヒさんやローさんとも会えるといいけどな。
……色んな船を作るんだ。
[まだ見ぬ水平線の先。海峡の先。
あの海の向こうに、未知なる大国が広がる。]
− 帝都 −
[戦没者を祖霊廟に祀り、巡幸から持ち帰った各地の産物を市民に供する。]
いまや、海はひとつ。
遠く離れた者たちにも手が届く。
大きな海が、すべての人が世界の中心となろう。
翼持つ者も、これから見出す者も、
勇敢なれ、優しくあれ、誇り高くあれ。
海と太陽がおまえたちを見守るだろう。
グロル海峡を巡る二国の争いは、双方が相互不可侵条約、友好条約、通商条約という3つの条約を取り交わす強い結びつきを得る形で終息した。
戦乱に始まった二国の関係がこれほどまでに良いものへと至ったのは、帝国皇帝と、ウルケルの海軍総司令、後の執政が戦いの中で互いを認め合い信頼し合ったからだとも言われている。
誇りには誇りを。誓いには誠意を。
3つの条文の頭に掲げられている言葉が、二国の関係を端的に表していると言えよう。
こうして手を取り合った二国は、こののち───
── Rikhard Hannu Nigel 『グロル海峡戦役』 〜 終 〜
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