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[は。と深い息が落ちる。
彼女の言葉>>55は止まらない。続く言葉、生を諦めるかの言葉にウェルシュは一度視線を落とした。
自分は好き勝手をしてその癖に。ウェルシュは無言のうちに、自らの手で手を胸の前に握った。その感触を確かめるかの間を、僅かに置いて、
───── ぱしん。
左の掌が彼女の頬に鳴る。
頬が赤くなる程の強さでも痛むほどの強さでもない。
けれど視線を逸らした彼女の頬に、小さな音を鳴らしたなら]
──── ふざけるな!!!
[怒鳴り声は、扉の外にまで響いたか。構うことはない。
怒りの矛先は己自身にか、彼女へか。怒りなのか哀しみなのか、もやは綯交ぜになった激情のままに叩きつける。
ウェルシュは両の腕を彼女の肩へ伸ばした。逃れようとしても構わない、掴む。半ば強引に肩を押さえて、睨みつけるように間近に彼女の顔を覗き込んで。]
………何?
それで勝手に死ぬって?
死んでも気にするなって言うのかい?
君は、私からまだこれ以上に大切な人を奪うというのか。
兄上をその手で奪っておいて、
…………… ふざけないでくれ!!
君に頼まれなくても、私は生きるさ。
……知っているかい?
王はなくとも民はあり、王がなくとも国はある。
逆に民がなくば王はなく、…国なくしても王はない。
生きるよ。……生きて、ある限りは。
[誰かにとっての利用価値がある限りは。音にしない響きは、伝わっても伝わらなくてもどうでも良かった。
南の国の王は、無意味に人の命を奪わぬという>>53
ならばラメール最後の王族であるウェルシュは、傀儡か幽閉か人質か、いずれ明るい未来ではないにせよ、暫し生かされてはおくだろう。
ウェルシュの頬に苦い笑みが上った。それを自覚することなく、言葉を続ける。]
[最後の声は、細く。殆ど音にならない声は届いたか。
痛いほどに強く。両肩掴んでいた指先から、緩々と力は抜けて行き。]
…─── 約束を、
[誓った約束、彼女は覚えているだろうか。数日前にも繰り返した>>2:165、それは今となっては空しいばかりのものだれど。]
君を守ると言った約束を、
……もう、果たすことは出来ないけど。
[言いながら、ウェルシュはある物を懐から取り出した。
それは銀のイトスギの枝葉の繊細な装飾品、今は行方知れずの古い友の忘れ形見で。]
これを持っていって。
そして白鷹連れた人を見つけたら渡して欲しい。
知らず、私が傷つけていた人なんだ。
[君と同じく、と。そう心の中にだけ続けて、押し付けるようにしたそれは受け取られたか。受け取られずともそれは、傍らの机の上に置かれて。]
……。だから、行くんだ。いいね?
[やって来る南の隣国、それが彼女を狙うというなら守る術はウェルシュにはない。だから行けと、間に合わなくなる前に行ってしまえとその背を押す。
願うこと。それだけが、最後に自分が彼女にしてやれる最後のことだから。]
[淡い色の双眸と視線が絡んだ。音はない。
彼女から贈られる餞の言葉、それには僅かに頷きが返る>>57
一歩、離れればその距離が再び埋まることは二度となく。
名残り惜しむように止まったのは僅かの間、やがてウェルシュは促しに従うように踵を返した。]
……いや。見張りは不要だ。
ああ、鍵も要らない。彼女の自由に、しておいてくれ。
[兄を手に掛けた彼女の罪の告白を聞いたのは、この耳のみ。
だからウェルシュがそう言ってしまえば、王宮の者らは戸惑いながらもその命に従った。声は扉の向こう、彼女の耳にもそれは響くだろう。
開けたままの扉、それが閉まる前にウェルシュはもう一度だけ振り返った。]
……─────、
[最後に向けたのは淡い微笑み。それと共に微かに動いた唇の動きは、音にされることはなく。そのまま静かに扉は再び閉ざされる。]
[暗い雨音の中、軍馬の嘶きが遠く響く。ざあざあと落ちる雨の雫は、路地に流れた血>>5:102を洗い流してゆく。王都の人々は不安に慄き、雨の中で眠れぬ朝を迎えようとしていた。
夜半に勢いを増した雨は朝方にかけ、次第に小雨に落ち着く風であった。
───ぽつん、と。軒先から大きな雫が滴って、地面に落ちた白い羽根>>61の上に飛び跳ねた。どんよりと雨雲の垂れた空が、次第にほの明るさを増していく。
長い夜が、次第に* 明けようとし始めている *]
[懐かしい夢から覚めて起き上がる。
身体がずっと軽い感じがすると、今までが疲れていたのだろうか、ずっと感じてた重みは無く。
渦巻く激情が収まり、今は心が凪いでいる様に静けさを取り戻せていた。
身体を起こせば、見えるのは自分が寝台の上に身体を乗せ眠っている姿。
医務官や侍女が己を囲いながら、此方の名前を呼び悲しみに更けていた。]
……なっ。
[己が死んだ、なんて知らずに眠っていたのだから、今の状況を理解するには驚きが邪魔をする。
一人の給仕が部屋を飛び出し何処かへ向かうみたいだ>>25。
漸く自分の死に気付き、その現実を心が受け入れつつある。
永遠の眠りに就いている己と、己の死を悼む者達を翠は何を思って眺めているか。
暫くすると、随分軽くなった身体を動かし己の私室から後にする。]
[何処かで一人嘆き哀しむ者が居る>>+0。
己が蒔いた災厄により、ゾネス要塞は崩壊し、気高い女騎士達は、無慈悲な蹂躙により辱められ悲惨な死を迎え、筆舌に耐え難い惨状を繰り広げてる。
その様子を見る事しか出来ずにいる嘗ての総督は哀しみに耐え切れず、その魂が消えていくのだろうか。
方やもう一人の女軍人は凄惨な場面を目にし、怒りと憎悪に満ち拳を震わせていた>>+2。
消え去りそうな魂に哀しみを向けてそうな女軍人が傍らにおり>>+3。
人目も憚らず一人で男泣きをし哀しみに耽る青年が居る>>+6。
自分が引き起こした災厄に、哀しみや怒りを抱く彼らに目を背ける事は無く、一人何も言わず翠の瞳を向けていた。
そんな彼らを慰める手段も資格も無い己は、一度彼らから背を向けその場から立ち去る。]
[弟の声に導かれ、とある一室に足を運べば。
以前見かけた娘と弟が同じ部屋で話をしていた>>16。
何かに堪える様に紙の上に指を引く様子に、その翳りのある面持ちを見れば何かが悟れる物がある。
そんな彼女が告げるのは己に毒を盛った事>>17。
漸く知った自分の死の真相、瞼を閉じその状況を受け入れる。
“裏切り者は軈て裏切られる”、それは当然の報いであり必然なのだ。
故に己の命を毒で殺めた娘に怒りも憎しみも持たない。
弟が兄の死を、此方の命を奪った真実を知り>>20。
激情に駆られた弟は娘に掴み掛かる様子を>>21、此方は声を掛ける事も弟を止める事も出来ず、拳を震わせながら悲痛な面持ちで二人の成り行きを見守っていた。]
[ 長い長い話を終えた後、
返ってきたのは一言の言葉だった。>>65
…違う、とも、そうだ、とも答えない。
沈黙が暫し娘と彼の間に横たわる。
確かに、一助になっていた。
世継ぎを巡る争いも――王が殺された事実も。
何も知らずに
……叶うならば。
真に
絶望の炎に、後悔の焔に、恐怖の劫火に、
焼き焦がされてしまいそうで――目を逸らした。 ]
[ それは実際には、
軽く叩いた程度だったのだろう。
痕すら残らないほどに軽い、
…けれど、とても重い衝撃だった。
思わず目を瞠って
低く紡がれる声を聴いた。>>67
荒げた声>>68を聞いた。
伸ばされた手が両肩を掴む。
視線を逸らすことは――叶わない。
睨むようなヘーゼルの視線と目が逢った。 ]
―― っ ふざけて、なんか
[ 言い返そうとした言葉が詰まる。
瞳の奥が熱くて、鈍く痛んで
零れ落ちそうな何かを
堪えるように強く強く唇を噛んだ。 ]
……、………
[ そのまま次の言葉を聞き届ける。
生きると。>>70
そして、彼もまた堪えるように言う。
生きて欲しいと。>>71
殆ど声にならない音すら
距離の近さ故に耳が拾った。 ]
[ …拾って、しまう。 ]
[ 掴まれた肩に痛みは無かった。
ただ少しずつ離れていく指の先に>>72
抑え難い寂寥を感じて――… それでも
最早いつかのようにその手のひらは掴めない。
ただ、再び形に成る声を
言葉が在るのならば聞くだけ。
互いに触れられる距離にありながら
すでに、刻まれた溝は海ほどに深く、
彼岸ほどに離れてしまっている。
差し出された装飾品を無言のままに受け取る。
白鷹を伴う人が誰か名を聞かずとも判った。
噫、彼にも別れを告げたのだった、と。
不意に思い出す。
…反射的に、言葉が出る。 ]
っ …はは
……本当に……――――、
[ イトスギの繊細な細工
いつだか目にした時に相対した人>>1:62
大好きだったと自分に告げた彼>>43
吐息が音に成らずに落ちる。声が、掠れた。 ]
[ 滴が一粒零れる。
確認するような言葉>>73に微かに頷いて。
餞の言葉を最後にその背を見送る。
振り向く顔に浮かべられた微笑み>>75と
透明な言葉には黙したままで一度瞳を伏せ ]
[ 苦く切なげな微笑みで応えた。 ]
[ その直後、
―――― 扉の閉まる音が向けた背を叩いていた。 ]
― しばらく後の話 ―
[ 激しい雨粒が窓を叩いている。
客室でもなければ、
使用人の泊まる部屋でもなく、
人一人が暫く居るには丁度いい
王宮の一室に、今は人の姿は無い。
只、机の上にぽつねんと
折られた筆と一枚の絵だけが在る。
古めいた紙切れ>>2:183は
長い間仕舞い込んであったように
日に焼けては居ても傷んではいない。
それは独特の色遣いと線で描かれた
夜明けの空を飛ぶ鳥の傍に沿うように
一羽の白い鳥が書き足された* 絵だった * ]
フェリクス様…。
[王宮の一室のやり取りを見守る気配に近づき、わたしは声をかけた。
わたしと同じく魂だけの存在になってしまった、ラメールの王子様]
あなたは王子でありながら、なぜ…自分の国を自ら他国に売り渡そうとしたのですか?
なぜ、破滅に導こうとしたのですか…?
ラメールは平和でした。豊かな国でした。
わたしが生まれた国エトワールでは、手に入れたくても入れられないものを持っていたのに…。
…なぜ、壊そうとしたのですか?
[わたしの詰問は非難めいて聞こえてしまったかもしれない。*]
[娘の問い>>18>>19。
憎むべき事が有れば愛せるのか、と確かめたい意図なのだろうか?
何処か縋るに似た様な物を彼女からも感じられる。
その様子に何時か語り合った時の弟のそれと重なって見える様に翠を細めた。
耐え難い事実を突き付けられた弟は、止められぬ衝動に駆られたのか娘に掴み掛かってた彼>>21。
己の死ですら受け入れ難い事実なのに、親しい友人が此方を殺めたとなれば筆舌に耐え難いというもの。
嗚咽をし慟哭に堪える弟は、娘の問いにこう答える>>24。]
――――。
[はく、と吐息が漏れた。
告げる弟の言葉に凪いだ心が揺さぶられる。
真実だと思った事は幻想で、幻想だと思ってた事が真実で。
誰も味方が居ないと思ってたのに、実はずっと変わらずに居たのだという事を知り。
無いといった物が側に変わらずあった事に気付き、心が荒れ狂いそうなくらい騒ぎ立てる。
――――激しい後悔と、重い罪悪感に。
上を仰ぎ、かたかたと身体を震わしながら、奥歯を噛み締め、重苦に目を反らさず受け止め様と堪えていた。
そんな時にドロシー・ブライアンが此方に声を掛けられ、其方へと翠を向けた>>+12。]
[彼女の言葉は何処かしら非難の色を見せてるかも知れない。
此方がした事は責められて当然の事を仕出かしたのだから弁明しようとはしなかった。
弟と娘のやり取りに視線を戻し、彼女の問いを答える。]
……手に入れられなかったからだ。
手に入れられないなら、いっその事壊してしまえば良いと思った。
ただ、それだけの話なだけだ。
[何を、とは言わずとも分かるかも知れない。
手に入れられなかったから自棄を起こした、と言われればそうであり事実でもある。
何方にしても嘘偽りでは無く、厄災を起こした己は命を落とした彼らの怒りの矛先に成るべく正直に胸の内を明かした。
其れは己の償いという想いが無いと言えば嘘であるが。
何より怒りを憎しみをぶつけられない辛さを知るが故、自ら
…手に入らなければ壊してしまえ…って、国で暮らしてる民は物じゃないのよ。
[わたしが一ヵ月前に予想したことが、まさに的中していたなんて。>>5:+14]
手に入らなければ、何の罪もない人々を巻き込んでもいい。
死んでもいいって思うの?
あなた、元はそんな人ではなかったでしょう?
[少なくとも先王存命の頃、軍のトップにあった時はそのような人物ではなったと思う。
本性が表れたというよりは、人が変わったとしか言いようがなかった。
それもこれも、先王の遺書のせいなの?]
…あなたが売り渡した情報のせいで、ゾネスは今あのような有様よ。
[わたしは眼下に広がる光景を示す。>>+0>>+2
ゾネス要塞を守る女騎士、即ちラメールの民が辱めを受けて撃ち捨てられている有様を。
かつてはフェリクス王子自身も、白狼館には足を運んだことがあるはずだ。
見た事のある光景の変わり様を見て、彼は何を感じるだろう]
目を背けないで、ちゃんと見なさいよね。
あれが、あなたの招いた結果なんだから。
[彼に考えの改めを求めたところで、もう何一つ変える事はできないのだけど。*]
― 夜明け ―
[夜の果てが過ぎた頃。
海の見える高台に、リュートを爪弾き歌を奏でる吟遊詩人の姿があった。
明星が残る空のもと、朗々と紡がれる物語は誰の耳にも入らずに。暁に輝く海へと消えていった。]
― 暁天はかく語りき ―
黎明に、明星(あかぼし)二つ。
星に集いし者たちの、争う果てに星落つる。
明ける空に、残りしものは……
[――吟遊詩人ディルドレ。
暁の国が栄えた時代、大陸に名を馳せた吟遊詩人。
彼女が紡いだとされる歌は、詩篇や民謡という形で語り継がれ今も各地に残っている。
"暁天はかく語りき"と題されたこの詩は序歌として引用されているが、暁の国の末路に関する詩篇は見つかっておらず。行く末を見届けることなく東の地へと渡ったという説や、戦禍の中で命を落としたという説もあり、その後の足取りについては未だ不明な点が多い。
後世の研究により、暁の国の斜陽を巡るいくつかのバラッドから成る詩篇がディルドレの残した最後の詩であると言われている。
暁の時代は後世の芸術家や好事家に好まれた題材であり、未完の詩の先もまた幾人もの詩人の手によって紡がれている。史実を始めとし、当時描かれた詩歌や絵画などを想像の種火として、現代においても暁の国を巡る様々な物語が生み出されている。 **]
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