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彼と会ったのは幼い日の一度きり。
それも、歌を数曲歌うほどの短い時間でしかなかった。
例え、顔を合わせたとしても。
お互いに分からない可能性の方が高いでしょう。
特に私の方に彼が気付くことは、私が名乗らない限りはほぼほぼ無いだろうと思えました。
それでも、私は怖かったのです。
自らの業を、自らの手で貶めた自分自身を、彼に知られることが恐ろしかったのです。
一目ですら彼の前に姿を晒すことは避けたかった。だから、私は…
遠くウルケルの地へ向かう折に、私は自分の名を示すものを上官へ託すでしょう。
捨てられても構わないといつものように、笑って渡すことでしょう。
それが。もし。
彼のもとへ渡ることがあったなら、覚えのない名前だと打ち捨てられるか、それとも…嗚呼。
一度。…たった一度の邂逅を、記憶に留めておいてくれたならと思う私は…卑怯者です。
[空白の後に滲んだインクで文章が*終わっている*]
戦艦は止める。扶翼官の船はもともと商船だ。武装もほとんど残っていない。
そもそも交渉人が見た目、優男だぞ。心配はしなくていい。
[交渉艦隊は、そのまま差し向けるのでなければ構わないとの言葉に同意して譲歩する。
船乗りの話については、うなずき、理を説いた。]
ウルケルの商船は帝国周辺に自由に出入りしている。
提督も訪れたことがあるのではないか?
実のところ権利の侵犯ではなく、不平等の是正なのだ、これは。
とはいえ、ウルケルが戦争を経て明確な結果を望む気持ちは自然なものだろう。
なんだか、結納の相談をされている気分だが。
[ふ、と吐かれた息は、強さをそのままに言葉に変える。]
──帝国はウルケルと二度と戦争を起こさぬと誓おう。
[“誇り”に対して”誓い”で応えると告げる。]
ウルケルの独立不羈たる精神を尊重し、無二の友人として共に歩むことを、
俺と俺に続く帝国代々の皇帝が守るべきものとして定める。
その誓いを疑うのは、我らの誇りを傷つけることと同義であると。
それと、これはまだふわりとした
帝国とウルケルの間に不可侵の友好条約が結ばれたあかつきには、
戦争がなければ居場所のないウルケル傭兵たちに別の仕事をと考えている。
いわば海上救助隊とでもいおうか、海の守護者というか。
おまえたちの才、埋もれさせはしない。
[共にある未来が欲しい、と素直な声で告げる。//]
[ 風が凪ぐ、今だ戦の名残に泡立つ波を鎮めるように ]
.........
[ 見つめる先に、人影が出て来るのが見えた>>231恐れも迷いも無い、確かな足取り、曲がらぬ意思と力を持った ]
ああ、やっと会えたな。
[ 男の目でも、相手の顔は見えない。声もやはり、届きはしない。けれど、確信があった ]
[ す、と男は片腕を上げる、肩と腕には激痛が走ったが、その腕は揺らぐことなく。
二指もって型作り、贈るのは、オルヴァル式の敬礼だった* ]
あの見た目に誤魔化されくはないものですが。
…砲をかさに進むというのでないならば、容れましょう。
[肩竦める調子で返す応えは是。
それにつけても思い返すに、彼を優男というのには語弊がありすぎるだろうとは。]
確かに。いかにも商船は自由に出入りをしておりますな。
私も立ち寄ったことがあると…、
さて、陛下にはお話を致しましたかな?
──── 、 やれやれ。
[ふ。と、ゲオルグの肩から力が抜けた。
顔から厳しさが消え、代わって微かな笑みが口元に浮かぶ。]
敵いませんな。
ご存知かな、皇帝陛下。
ウルケルは海軍の国──…更には商業の国でしてな。
ゆえに、誇りは金で売れるのです。
[軽く、先には否定した言葉を悪戯めいた表情でこう告げて]
だが、不平等を仰せになるはご尤も。
──── 承知した。
我らが誇りに帝国の誓いが得られるなら、
…───金を欲しがる連中の口は、塞いで差し上げよう。
[背筋を伸ばし、姿勢を改めて礼をした。
受け入れると、その声と仕草で彼に示して]
はは!
[皇帝の
若者らしい、ゆめだと思った。遠い遥かな夢だろう、今はまだ。
けれど…ひょっとしたら、いつの日か実現してしまうのかも知れないとも思う。この、力強き
いや、失敬失敬。
なあに、陛下。残念ながら、我がウルケルの取引相手も対戦相手も、貴国には限りませんでな。取引は未だ幾つか──…ですが、
[けれど。そうなれば将兵は死にはすまい。
いつかの恋人たちのように、不幸に死に別れることもない。
それは…素敵な未来だとも思えた。]
ですが、いつか。
いつかそんな日が訪れたなら───…
愉快でしょうなあ。**
― 水路 ―
[皇帝と提督が会談の核心に移った頃、
水路を行く4隻の巡洋艦もまた、戦闘を停止していた。
司令塔にいる扶翼官は艦隊の停止を命じたのち、
陛下より別名あるまで待機する、と告げる。
そののちは、自室にて休むと言って、奥へ下がっていた。]
[自室の寝台に腰を掛け、じっと耳を澄ます。
届く声に時折答え、共に悩む。
それは皇帝と、半身と作る理想の未来のための、最後のひと仕上げだ。]
───ウルケルが誇りを言うのでしたら、
我々にも誇りはあります。
譲られた勝ちを喜ぶとお思いでしたか?
私たちが海峡使用料を払うことになれば、
勝ちを譲られた屈辱をいつまでも忘れ得ぬことになります。
ゆえに、誇りには誇りを。
───傷つけられたままで、友好関係は築けませんよ。
[声には乗せず、ただ呟く。]
-巡洋艦ナハティガルにて-
[男は右手を伸ばす。手首、巻かれた緑の紐。]
なぁ、艦長。
俺の親父の事、知ってたよな。
[もっとも医療の必要な場所で医療を。最前線で治療行為を行い続けた医師。]
親父は、俺の知っている範囲で、もっとも命を軽んじてる人間だった。
――ただし、自分のね。
[己が死ぬことなど少しも恐れていなかった。他者を助ける為なら、自分が犠牲になる事すら喜んだろう。
そしてその父親に育てられた息子も、ごく自然にその心が身についていた。]
これね、まじないなんだよ。
昔はまだ大丈夫、戦えるって自分に言い聞かせるまじない。
今は――ここにも命があるって、ここの命も守らんとならんって言う、自分に言い聞かせるまじないだ。
[緑の紐。ここに命があると示すそれ。
過去、『自分の命も守れ』と言ってくれた人との約束を守る為の、まじない。
約束を破るのだけは、怖かった。]
しかし、本当、難しいね。
自分の命を守るのも、人の命を守るのも。
[ふ、と艦長が笑う。
ありがとう、と。
「ナハティガルを守る選択をしてくれてありがとう」と。
爆発するまで戦い続けるという選択肢もあったはずだ。
戦う事を誇りとするなら、それこそ選ぶべきだったのかもしれない。
しかし、それはほぼ確実な死を意味する。
艦と、乗員たちの、死を意味する。]
守らなきゃならんだろう。
この艦を守ろうとする奴らの気持ち、俺が殺せねぇっての。
[「ありがとう」と再度の言葉。
「ありがとう、副艦長」と。
艦長の言葉に、男は目を丸くし、噴出すように笑った。]
今更、副艦長言われても違和感すげぇや。
いいよ、“先生”で。
――俺は、そういうもんだから。
[男は目を細め、口元に笑みを浮かべた。]
[そのまま、男は待っていた。
海は今までの争いが嘘のように静かで。
既に何らかの答えを告げているようにも思えた。
それでも男は待つ事にした。
知らせてくれる声を、待つ事にした。
ナハティガルも何かを待つように、ゆったりとした鼓動のまま、海上にてゆらりと揺れている。*]
― むかし ―
[その男の顔は時々見たものの、当時は父親に会いに来るお客さん、というその他大勢の一人でしかなかった。
故に向こうが友達が出来た事を知っていたのには、驚いた顔を見せたが。]
…いつもお土産くれる人?
[優し気な雰囲気を纏う思い当たる人はいた。
「ゲオルグおじさん」からもらったお土産は、ウェルシュと会う時の楽しみのひとつだ。]
ありがとう。
[だから素直にお礼を言った。
彼が誰なのか解らなかったが、おそらく父の知り合いだろうなのは理解し、丁寧に当時習った淑女の礼を返したのだった。
幼い頃に出会った事は、もう覚えていなかったが*]
ウルケルの誇りは金で売れる、か。
強かなことだ。
[お国柄の違いというものか。
だが、アレクトールの知る誇りも、帝国とウルケルとを問わず、この戦いを戦い抜いた者たちの中に見出せたと思った。
自らの血を流して戦う信念、それは立派な誇りとなろう。]
では、戦闘停止命令を。
[信号弾にあわせて、命令書をしたため各戦線へ送る。
西の海での戦いは、この時すでに沈静化していた。
かつて同じ陣営で戦い、その後、長く分たれていたにも関わらず、相手を信じることができた心強き者たちは、自ら戦いを止めたのだった。*]
[本当は、幼馴染に、あるいは何かのはずみで弟に。
会ってしまったら、駆け出してしまいたくなる衝動を抑えられないだろう。
絶対に大丈夫、そんな嘘はつけない。
それを見透かされるのが恐ろしくて。
視線を逸らさず、誠意や意思を示す事すら出来なかった。
だから覚悟という言葉で濁した。]
[その時沸き上がる物を、何といえばよいのか解らなかった。
どちらも自分だという言葉は嬉しくて。
生きろと言う言葉は苦しくて。
願った言葉の重さと、意味と、僅かに伝わる手の温かさに]
…………。
[言葉は出ない。
何度か震える唇を開かせたが、
嗚咽になってしまいそうで声は出せなかった。
代わりに、唇を引き結び、顎を引くようにして、
一度だけ、薄く、頷いた*]
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