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貴方は、勝手です。
勝手すぎますよ、…………ニコさん。
でも、
ひとつだけ、ちゃんと、伝えたい、言葉、が、ある………から、
[手を握られている以外には曖昧な感覚。
頬が濡れているかどうかも分からないのに、泣いているみたいに言葉を途切れさせながら。
こわごわと、口の端を持ち上げていった]
[思いもしない、仕込まれていた毒に驚いたのかも知れない。
オットーが何かを話しかけてくるが、恐怖に囚われた少女に理解することなど出来ずに]
まだ、……生きてる。
殺さなきゃ。――殺さ、なきゃ。
[振り上げる刃は、人狼のひと睨みに押し止められる。
鎖のように全身を絡め取る、押し潰すような殺気を受けてしまえば、
立つことすらもままならず、かくりと膝から力が抜けて、その場にへたり込んでしまうだろう]
[それからしばらくして、エルナは宿屋に戻った。
音も立てずに扉を通り抜けられることに気付き、
本当に霊体になってしまったのか、と切なげに眉を寄せた。
部屋に戻れば書置きはなくなっていた]
……っ。
[小さく唇を噛む。
仮に残されていたとしても、あの筆跡では誰が書いたか明確には分からないし、そもそも。
オットーがいつあれを書いて部屋の前に置いたのか、
白熱してしまっていたせいかさっぱりわからなかった。
誰か、抜け出したことに気付いた人はいるのか―――
皆をたたき起こして訊いてみたい衝動に駆られたが今はそれもかなわない。
夜明けがことさらに遠くに感じられた。
そして、ほんの少し意識を飛ばした合間に、夜はもう、明けていた]
―ある人の墓前―
これは、どういうこと……?
[…は麻痺毒のことも忘れてしまったかのように、返事のない相手へと疑問を投げつける。
しかし、己の言葉は体を成しているだけの空虚なもので、自身は既に手紙の内容を把握し――納得していた。]
そうだ……確かに、君がいなくなって、僕だけが傀儡のように遺されて。でも、日々抜けていく“君”という存在を埋めるために、様々な“もの”が僕の中へ入り込んできた。
君の純粋な願いだけで埋め尽くされていたのに、僕の中身には悪意も善意も区別なく、入り混じって叫びを上げ続けている。
そうだ、無事なわけがない。
[何ともないと、思っていた。でも、この手紙の所為で、自覚することによって、それはとてつもない矛盾として己の中を蹂躙し始めた。]
なら、どうして君は僕を置いて、命を絶ったんだ……っ!!
[それは、彼が生きてきて初めて上げる、叫び声だったかもしれない。もしも近くまで誰かが来ていたのなら、聞こえてしまうくらいに。]
……いや、違う。
[しかし、少し経つと、己はすぐに平静の声色を取り戻し、呟く。]
君の言うとおり、もし僕に感情があると認めるのであれば、僕はきっと、これまでずっと、君に――感謝していた。
そうだ。本当はずっと、お礼が言いたかったんだ。
[…は告げると、言葉とは矛盾するような普段通りの無表情を向ける。]
ありがとう。そして――
――赦してくれて、ありがとう。
[…は内容とは裏腹に、挨拶でもするかのように告げると、己の胸を自身の爪で貫いた。]
[世界が横転する。見える縦の楕円に映るのは、彼女からの手紙と墓だった。
――最期の月は、漸く白く雪色に見えた。]
[リゼットが振り上げた刃がオットーの体に届く>>60。
即座にオットーからの反撃があると思いきや、意外にも殺気を送り込んだだけで傷ついた青年は姿を消した。]
大丈夫か、リゼット!
[へたり込んだ少女>>62に駆け寄り、声をかける。
ヤコブはどうしているかと一瞬視線を向けたあと、傷がないことにほっと胸を撫で下ろす。]
行先は分かっている。オットーはパン屋に……自宅で怪我の治療をしようとしているんだ。あの様子ではすぐに動くこともできないだろう。
だから決して無理をしてはいけない。目的を果たすためには、慎重に行動しなくては。
[リゼットを安心させるよう、静かに声をかけた。]
[押し潰す殺気に囚われて、身動き一つ出来ない。
きっと、このままオットーに――人狼に殺されてしまうのだろう。
無力な小鳥のように、リゼットは恐怖に打ち震える。
嗚呼、自分は何て愚かなのだろう。
『何もしなければ殺さない』と、そう彼は言っていたではないか。
せめて苦しまないようで済むように、祈りながら見上げる本物の――殺意の眼。
けれど、そこには不思議と、あれほどに恐れた悪意を感じることはなく。
見つけたものは果てしのない虚無のような黒]
[訪れる避けようのない死を待つ、永遠に似た数瞬の後。
不意に小さな体は殺意から解放された。
呼びかけるシモンの声に、おそるおそる瞼を開けると、
そこにはもう、オットーの姿はなかった]
だめ、です。
今のうちに……毒がまだ、効いてるうちにいかない、と。
みんな、殺されちゃう。
[『慎重に行動しよう』というシモンに、へたりこんだまま、オットーを追うように頼む]
…そのまま消えちゃうのかしらね。
[浮遊感にゆだねて、ふわふわと漂う。
今はどこにいるんだろう、と周りを見れば、見覚えのある談話室]
大丈夫かしらね…。
[ふわふわとする浮遊感は心地がよく
このまま委ねて目を閉じる]
[ふわり
ふわり
ふっと、かき消されるかのように浮遊感も、思考も、感覚も、ふっと消えたのだった。
始めから何もなかったかのように――**]
[リゼットが一体いつの間に、どうやって毒を手に入れたのか不思議に思ったけれど、今はそれを聞いている場合ではないと考え直す。]
嗚呼、そうだな。オットーがどれほどの能力を持っているか分からない以上、リゼットが言うように今が好機なのは間違いない。
だがお前は大丈夫か?
俺一人でオットーと対峙するのは心もとないので、ヤコブについてきて欲しいが、かといってリゼットを一人にすることは避けたい。
[しゃがんで視線を合わせると、立ち上がれるか?と心配そうに問いかけた。]
[このままオットーに姿を晦まされたら、もう手も足もでなくなる。
視線を合わせて問うシモンに手を借りて、何とか立ち上がり]
大丈夫、です。
もし遅れても、……すぐに追いつきますから、先に行ってください。
今、足手まといになるわけには、いかないですから。
[シモンとヤコブ二人の顔を見てから、まだ恐怖に震える足を引き摺り歩き出した]
[そして、伝えたい言葉があると聞けば、彼女の言葉を聞き漏らすまいと途切れがちの声に意識を向けて]
……うん、僕の見立てた通りだ。
良く似合っている。
[ありがとう、と。
彼女のその言葉を耳にすると、久しぶりに笑顔を浮かべた]
………はぁ。
どうしちゃったんだろ、あたし。
[エルナは自分が真実を知ってしまったことで、
どこか腑抜けてしまったとは思っているが。
真実を知らなかった愚かな自分から目を背けようとしているとは気付いていない。
それでも、目の前の生きている者達から目を背けることはできず。
揺らめく霊体は終わりまでを見届けようとする**]
さて。ヤコブ、行くぞ。
[表情を引き締めてもう一人の青年に視線を向けながら声をかける。オットーにどのくらいの心得があるかは不明なので、決して油断することのないよう気をつけなくてはと視線で伝えながら。
今朝起きたあとのヤコブの発言を、騒動が発生してからの行動をつぶさに思い返した結果、信頼できる人物であると思った。時折意見が食い違ったことはあったけれど、ヤコブの思考に矛盾は感じないし、いざというときは行動で示してくれると期待もしている。
だから同行して欲しいと頼んだのだ。
懐の拳銃を意識しながら、広場を後にした。]
― 広場→
―回想・約十年前D―
[その日の空は、溢れ出した彼女の願いを揶揄するかのように、涙を雨の雫として溢し、世界を覆い尽くしていた。]
[朝、彼女の姿は店から消えていた。]
――嫌な、予感がする。
[己に感情などありはしないが、どうしてか、何か異質なものが這いずり回っているかのように、胸に嫌な感触が走るのだった。
己はその感触を振り払うように首を左右に振ると、丁寧なことに足跡すら残していなかった彼女の向かう先を感覚で察知し、真っ直ぐに向かう。その先に、彼女がいた。
その姿に、どこか喪失感を覚えたことは、今でも覚えている。降り頻る雨は彼女の頬を、肌を滑り堕ち、或いは染み込むように絡み付く。目元は宙(そら)に奪われてしまったかの如く前髪に隠されて、その前髪は、その生命力の全てが奪われてしまったかのごとく萎びてしまっていた。]
――来ないで。
[彼女は、此方の姿を認めるまでもなく、呟くように拒絶の意思を向けてきた。そう、願われたら、従う他ない。]
――……女の子が来ないでと言うときは、来て欲しいということなのよ。覚えておきなさい。
[やがて夜が明け、エルナの遺体を見つけた生き残った者たちが広場へと集まってくる。
宿に戻っていたエルナの魂もその中にあって、その姿を見て少し安心したように微かな笑みを浮かべた。
どうしちゃったんだろう、となにやら落ち込んだ様子の彼女に、そっと声をかける]
――大丈夫。
きっと、気づいてくれる。
僕らの、みんなの死は無駄にはならないはずだから。
[生きている彼らから目を背けず、行く末を見届けようとする彼女の手を取り]
だから
――彼らを信じて、見守ろう。
[硬く、握り締めた。
――オットーの事も、止めてくれるはずだから。
そう、心の中で呟きを残して**]
[しかし、直後に彼女はいつものように理不尽な願いを向けてきて、己は当然のようにそれに応える。
間近で見る彼女は、しかし、そのいつも通りの姿からはかけ離れてしまっていた。彼女に望まれて、彼女の前髪をかき分け、その瞳を覗き込んでみたならば、その願いの溢れる様を表していたかのような輝きは失われ、矛盾する願いに引き裂かれる苦痛を帯びて濁っていた。]
――私ね、貴方に会わないと決めてから、ただひたすらに、毎日の日記をつけるかのように、人を喰らったわ。私自身の、貴方を喰らいたいという願いを、その血で塗りつぶそうとして。
――でも、ダメだった。貴方を喰らいたいという願いは日々強まり、それと同時に、喰らった人の数に比例するかのごとく、貴方を喰らいたくないという願いが強まっていった。
[語る彼女の口調は、その苦しさが色として見えてきそうなほどに痛々しく、その様子は、死期を悟った猫のようだった。]
昨日も言ったけれども、君が望むなら僕は――
[彼女の様子に誘われるように、己は昨日も告げた言葉を彼女へ向けようとする。しかし、その言葉は彼女の稲妻のような、張り詰めた怒号に遮られる。]
……嫌っ!!絶対に、そんなの……っ!!
――私は、貴方を失いたくないっ!!
――貴方がいないと、生きていけないのよ……。
[最後は弱弱しく、それでいて、語る彼女の瞳は此方に何かを訴えかけてきているかのようだった。]
――でも、私の願いは貴方を奪おうとする。どんなに上書きしようとも、その上から黒色として塗りつぶしにかかってくる。そのたび、私の心は引き裂かれ、心の隅々から壊死してしまうような感覚に陥る。
[彼女はそこまで言うと、その冬の月明かりのような爪を、彼女自身の胸へと向けるのだった。]
――ごめんね。もう、限界なの。
[そう告げながらも、彼女は死の間際まで此方のことを心配した様子で]
――どうか、貴方はずっと生き続けて頂戴。そして、私のお墓を作りなさい。
[こんなときにまで我儘だった。必要としてくれる人を失う此方を、生かし続けるための呪いの言葉だった。更には「そして、そうね――」と付け加えると、]
――毎年、初めて出会った日。この村が外界と断絶される日には墓参りに来なさい。
[「生き続けろ」という呪いに更に効果を上乗せしてくるのだった。
そうして最後に、彼女は普段通りの太陽のような笑顔を見せると、その胸に爪を突き立てて、命という名の願いの水源を断絶させるのだった。
その後、己は彼女の墓を彼女と出会った場所の近くに作り、最期の願い通り、毎年外界と断絶された最初の日には墓参りをした。とは言っても、その墓参りの内容は指定されなかったため、挨拶する程度であったが。
彼女の呪いは彼女の目論見通り、己を生かし続けることとなる。それを迷惑ともありがたいとも思うことなく、ただ、それだけを己の中心に据えて、生き延びた。]
[何度も主張するようだが、これは悲劇的な話ではない。彼女は多くの人を殺したし、多くの人の人生を滅茶苦茶にした。台風のような人だった。
そんな彼女が、自分自身の願いに耐え切れずに、自らの命を絶った。全ては彼女の願いがもたらした結果であるし、そこに同情の余地など、或いはないのかもしれない。
ただ、彼女が命を散らしてから一つ、気が付いたことがある。
――この世には、彼女の生きた痕跡が驚くほどに存在しない。
そう、探せば探すほど、彼女の生きた証が残っていなかったのだ。この村に限らず、彼女は姿を見せることを嫌っていたのだから]
だから、僕は――
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