情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新
…そうだ。ひとつだけ、聞いてもいいですか?
フィオン殿は、なぜ『知っていた』のですか?
私には、フィオン殿に敵意はないことくらいしか、わかりませんでした…
[ふと、降って沸いた疑問に、フィオンは答えてくれるだろうか。
答えがなかったとしても、知らなくていいことなのかもしれない、と自分自身を納得させて、駐屯地の行く末をゆるりと見守ることに。*]
[ 廊下に立ち尽くしているとカスパルに道の邪魔になっていると声を掛けられた。
いつもの敬礼を忘れて首だけでカスパルに振り返った。 ]
……サシャ殿が自害したと聴いたであります
狼化病の嫌疑を受けていたとも耳にしたであります
しかし、今日もまたフィオン殿が犠牲者になったと聴いたであります
まだ、狼化病の者が捕まってないことになるであります
……カスパル中尉殿、一つだけ答えて欲しいであります
――…なぜ、サシャ殿は自ら死しなければならなかったでありますか?
[ カシムは何も映さない瞳をカスパルへと向けていた。* ]
[こちらを振り向いたカシムの目に力は感じられなかった。>>27
サシャについて問われ、カスパルは首を横に振る。
彼女が自害した理由は推察することしかできない。]
身の潔白の証明、と俺は思ったが。
そんな事をしなくとも…よかったのにな。
[サシャがどこかで拘束されている間に、本部からの調査団が到着すれば狼化病の感染の有無や発症者の調べはついただろう。
黙っていても、殺されたかもしれないが。]
最期にサシャはこれが『運命』だと言っていた。
フィオンは『運命』に抗おうとして、死んだ。
君はどうする? カシム。
[答えは期待せず、カスパルは乾いた声で問う。
自問自答のような言葉だったが、カスパル自身の答えはとっくに決まっている。]
[問われ、目を伏せ、微笑んだ。>>+11]
僕は昔、…そうだね、サシャと同じか少し若い頃。
狼化病を発症したことがあるんだ。
[何が起こったかは、いくら兵士とはいえ
年若い女性に言うのは躊躇われたので、黙っておく]
その時所属していた部隊とか、人間関係とか
いろいろあって。
発症を抑える薬の、治験者に選ばれた。
薬はよく効いてね。普通に暮らせるようになったよ。
ただ…完全には抑えきれなくて。
狼になった時の力の一部が、残ってるんだ。
僕の場合は、鼻がいい。
とはいえ、血と発症者に匂いを感じるだけ、なんだけど。
サシャからは、どちらの匂いも全くしない。
だから、君は、犯人じゃない。
[犯人を知っていることは、あえて伏せた]
――……そうでありますか
[ カスパルの返事は、カシムにはとても納得行くものではなかった。 ]
……『運命』でありますか
[ 『運命』という言葉を聴いて、やっとカチリと何かが記憶の底で一致する。
ふいに涙が流れ落ち、直ぐにそれは滂沱となる。 ]
自分は…、自分の『運命』は……
――…おそらく"見届ける"ことだと思うであります
もし、もし抗うのであれば、それはサシャ殿が生きていた時であったはずであります
もう、なにもかも遅いのであります……そう、この記憶さへも……
[ ぐしぐしと顔を拭い、目を真っ赤にしてカスパルへと敬礼する。 ]
サシャ殿の事、お答えくださり感謝であります!
[ これから宣言通りカシムは傍観者に徹するだろう。
……おそらくこれが『運命』であるなら自分はまだ死ぬことはない。
そう、二人に託されたものを渡すその時まで彼は『運命』に身を委ねる選択を取ったのだ。* ]
― 訓練所 ―
Baaaaaaaaang!!
命中であります。
[ カスパルと別れた後は訓練所にてサシャから預かったライフルの試射を繰り返していた。
不思議なほど今日は的によく中る。
これで13(6x3)度目の試射であったがその全てが的の何処かに中っていた。 ]
――…カチリッ
Baaaaaaaang!!
[ それは何も考えなくてよくなった為か
はたまたこの銃そのものが彼女の魂である為なのか
答えはカシムの中には出てこない。 ]
……今更なのであります
― 訓練所 ―
[扉を開けると的が割れる音がした。>>30
探していた後姿を見つけてゆっくりと歩み寄りつつ
射撃動作の隙間を見て声をかける。]
いい腕前ね。
[ここでカシムと出会った事はなかったため
昨日までの腕前を知らないまま誉め言葉を口にした。
記録官であるドロシーがここにいる理由を訊ねられたなら
カシムを探していたと言うだろう。]
サシャの事は、聞いている?
[表情がよく見えるよう、正面に向き合った。
カシムからサシャの相談を受けていたから知っている。
どれだけ彼女を慮っていたのかを。
だからカシムには話しておきたかった。]
彼女は私の代わりに疑われて死んだの。
あの夜少将といたのは私。
[さすがに私が犯人ですとは言い切れずに
迂遠な言い回しになったけれど、意味は伝わる事だろうか。*]
――フィオンの部屋――
[鍵を開け、フィオンの私室へ入る。
ベッドの下。包み。>>2:64
彼に言われた事を思い出しながら、膝をついてベッド下を探れば、確かに指先が何かに触れる。
引っ張りだしたそれは油紙に包まれていて、大きさも重さもたいしたことはない。
片手にもってなんだろうと考えながら、彼に言われた事を思い出す。
『渡すことで、”誰か”が死ぬことはありませんので、ご安心を』
フィオンはドロシーの正体を知っていた。>>11
そして彼女を助けようとしていた。
フィオンの考える「救済」がドロシーの正体を知らせ守ることならば、この包みの中には彼女の正体を記されている可能性もある。]
[包み紙を両手で抱えたまま、床に座り顔を歪める。]
……守るな、か。
君も、あなたも。俺にどうしろというんだ。
[守らないでと告げたドロシー。>>20
運命を変えたいと言ったフィオン。>>2:61
カスパルは”今まで"の自分の選択に後悔はない。
必要ならばドロシーに喰われても良かった。
守るためなら罪をかぶっても良かった。
殺せと言われればきっと殺しただろう。
それでも彼女は「生きて」と言った。>>25]
……何が運命なのか、知らないが。
そんなもの俺は、信じていない。
[唇を噛んで吐き出す。それだけは言っておけば良かった。
これはカスパルが選び続けた顛末だ。
――遠い前世、狼化病を発症し一人を喰らい妹を殺し。
また今も、かつて喰らった人が発症する様を目の当たりにしても。
これはカスパルの意思であり、運命というものではない。]
[フィオンの部屋は目立って整理すべきものも見当たらない。
部屋を立ち去る前に包みにもう一度視線を落とし、中を改めるべきか葛藤したが、油紙は開かない事にした。
包装は痕跡を残さず開くこともできそうだったが、フィオンはカスパルに何も言わずこの包みを託した。隠蔽されるかもしれなかったのに。
彼のその信頼には応えたく、カスパルは見つけた時のままの包みを持ち、静かにフィオンの部屋を辞した。*]
……ありがとうであります
[ 銃を撃ち終え次の動作に入ろうとした所、ドロシーに声を掛けられた。>>32
何か自分に用事ですか?と尋ねればドロシーはカシムを探していたらしい。 ]
――サシャの事は、聴いてる?
[ もう動くこともないと思っていたカシムの感情が僅かに揺らぐ。
直ぐにライフルの銃口を下に向けドロシーの言葉に耳を傾けた。
更に紡がれるドロシーの言葉に一瞬眼を眇めるが、大きく首を左右に振り彼女を無視して再度ドロシーを無視して的へと向き合った。 ]
……自分は、犯人が誰だか最後まで知ることができない立場にあるであります。
ただ、これが『運命』であるのならば……"小さな"ドロシー中尉
貴女ではない事もまた事実なのであります
――カチリッ
Baaaaaaang!!
[ 空薬莢が飛び、的の中心へと穴を空ける。 ]
……ドロシー中尉殿は『運命』に足掻くでありますか?
…なるほど?
『人体実験』てところでしょうか。
それとも、直感のようなもの…?
[どちらも何か違う気がするが>>+11、『狼化病』と聞いて妙に納得してしまうのであった。]
『隠して生きる』ってムズカシイ…
[そんなことを言っていると、下界に弟分の姿を見つけて降りていき>>30、その銃身に身を宿す。
相手には、当然見えないのだけれど。]
おっ、いいね!
迷いを振り切った、かな…?
そう、考えちゃだめよ。
…感じるの。
…力を抜いて…
的は…標的は、どこにある?
…何もかも、今更だね…
[以心伝心、とまではいかないかもだけど。
自らの手で、自らの意思で。この選択をしなければ、おそらくやっていたであろう行動を取る。*]
[そしてドロシー中尉とカシムが話し始めると、銃身からそっと身を離す。]
これは、あなたが決めたこと…だものね。
[届くはずもない声を零し、再び空へと昇っていく。
…それにしても、このサシャという名の幽霊、落ち着きのないヤツである*]
[そんなサシャを面白そうに見守りながら
どこからともなく紅茶とチョコレートを取り出した。
霊体が飲み食いできるのかなどという
野暮なことを言ってはならない]
[下げられた銃口がドロシーに向く事はなかった。>>36
ライフルを向ける権利がカシムにはあると思ったから
最後に会いに来てみたが、視線すら振られてしまったようだ。
苦笑を浮かべながらカシムの言葉を聞き、
中央を撃ち抜かれた穴を眺める。
彼も何か思い出しているらしい。
自分に付いた不釣合いな形容詞に視線の低かった頃を思い出す。]
どこまでが『運命』なのかしら。
皆とこうしてまた出会えた事か、私が発症した事なのか。
[カシムの『運命』とは何なのだろう。
ここで銃口を向けない事も、そうなのだろうか。]
……もしもすべてが『運命』で片付けられてしまうなら
私は今から足掻くんだわ。
[“私”の願いのために動いた選択が『運命』だったと言うならば、
それはもうおしまいにしようと思う。]
……自分にも分からないであります
もう既に自分は傍観者であるのであります
[ サシャが死んだ時点でカシムの主体性はもうそこにはない。
ドロシーが何を望もうがカシム自らが動くことはなかった。 ]
……そうでありますか
ご武運を祈っているであるます
[ カシムは決して動かない、託されたものを渡せる時がやってくるまで、決して……。
ドロシーの決意を横目に射撃の訓練を再開するだろう。* ]
ふぁひりゃはらふぃふぇはい、はんほふぇんふぃはほふぇひょう!
(あちらから見えない、なんと便利なのでしょう!)
[もはや観戦者気分なのがここに。
紅茶とチョコレートとウサギりんご(※食べかけ)を囲んでいるとは誰も思うまい。シリアスどこ行った]
[それがカシムの受け入れた事だというなら
ドロシーがそれ以上何かを言う事はない。>>39
殺してほしいなんてそれこそただの押し付けでしかないのだし。
台に置かれた訓練用の拳銃を一丁手にした。
毎朝整備はされているので最低限の動作確認だけを行い
上着の陰に隠し入れる。
無断持ち出しは厳罰ものだが今更だ。
拝借する弾は一発で十分だろう。]
訓練の邪魔をしてごめんなさいね。
――さようなら。
[別れの言葉を落として訓練を再開しているカシムに背を向ける。
訓練所を後にしたら一人になれる場所を探すつもりだったが
結局はここに来てからの馴染みの場所になるだろう。
途中カスパル>>38を見かけても立ち止まりはせず、
呼び止められても手を振るだけで足は記録保管庫の方角へ向く。*]
― 記録保管庫 ―
[入口の手前で捕まった。>>41
ドロシーのやろうとしている事に気付いたら
おそらく止めるだろうから気付かない振りをしたというのに。]
そう。
……ちょうどよかった。少し手伝ってくれない?
[そう言って記録保管庫へと引きこむ。
何をするのか問われたら、机の周辺の整理を頼むだろう。
何のためかは言わないけれど。
仕事柄、貴重な記録を汚すのは気が引けたのだ。
だったら最期の場所に選ぶなと言われてしまいそうだけれど。
フィオンの話し方からして
彼は本部と繋がっているのだとは予測できていた。>>2:99
もうすぐ本部が来て真実が明らかになるのなら
大々的に名乗りを上げる必要はないだろう。性分でもない。
片付けている間に一枚のメモを記した。]
[片付け終わったところで自分は椅子に座った。
何をしようとしているのか探るような視線が飛んでくるなら
この部屋から出ていってもらうためにも情報開示は必要だろう。]
ありがとう。もういいわ。
……ここからは見ていて楽しいものじゃないと思うわよ?
[懐から無断拝借してきた銃を取り出したところで
カスパルへと首を傾げてみせる。
それからいくらかのやりとりはあったろうか。
どんな会話が行われても、何が起きても。
銃に込められた最後の弾丸が撃ち抜く先は決まっていた。**]
[引き込まれて後ろ手に扉を閉める。>>42
机の周辺の整理をいきなり頼まれ、何を考えているのかわからないドロシーの横顔を時折伺いながら、言われるがままに整理をしていく。
淡々と片付けて行く彼女をじっとみて、ようやく違和感に気がついた。]
…何を隠している?
物理的にだ。
[軍服は厚い生地で出来てはいるが、体にきっちりと沿うようにできている以上、その下に何かを隠すにはあまり向いていない。
慣れている者ならばともかく、慣れぬ者が「それ」を隠しているのは重心も僅かにずれ、故にカスパルは違和感を覚えた。]
まて。その下に何を――
[問いかけかけて、彼女は銃を取り出す。>>43]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新