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しかし、派手にやられたよなあ…。
ちょっとでも無事で居てくれると助かるんだが、
[どうだろうなあ。と、口にするのは守備隊の行方である。
ウルケルは海峡の外におよそ4000、巡洋艦数隻に水上機母艦を交えた守備隊を置いていた。
常ならば充分な守備、だが本気になった帝国艦隊相手ならば恐らくひとたまりもなかっただろう。
幾分か意地を見せたもの>>5はあったか。
それでも、僅かな足止め以上のものになったとは考え難かった。]
[ゲオルグは現在、3隻の戦艦を率いている。
これに巡洋艦が4隻、水雷艇母艦が3隻、水上機母艦が1隻。
大型艦そのものより、小型艦を搭載した艦が多めであるのはウルケル海軍の特色でもある。
戦闘ともなれば艦艇総数は大きく膨れ上がり、小型の艦が快速を飛ばして波間を縦横に駆け巡る。
これに加え、今はリオレ西の洋上に巡洋艦が2隻、水上機母艦が2隻、更にはリオレの軍港にも無事な巡洋艦が2隻と水雷艇母艦が1隻は温存されているはずだった。
恐らく彼らは、守備隊の残存部隊やシコン港を脱出してきた部隊の確保と警戒にあたっていることだろう。
そしてこの他にも、ウルケルにはストンプ港という拠点とそこに浮かぶ軍艦がある。これらを糾合し、纏め上げることが当面の急務であるかと思われた。]
タクマ。お前さん、ストンプで造られている、
新型の巡洋艦と小型戦艦の話を知っているだろう。
ほら、改良型の。
あれがもうじき仕上がるはずでな。
ウェルシュ…あー、ストンプ侯から一昨日、
手紙が届いていたんだが。
[首都カルボナードには、殆ど帰らぬゲオルグの屋敷がある。
普段は屋敷守の老夫婦と、知らぬ間に増えたり減ったりする猫が住んでいるだけの家だ。
その昔は妻という人が住んでいたこともあったが、今はそれもない。
その屋敷に滞在中に、折り良くウェルシュの手紙は届けられた。
従来よりボイラー室を大きくした巡洋艦>>28、そして機関を改良し船体を小型化して、従来よりも高速化した新型戦艦。
そんな船の様子をあれこれと綴った文面は楽しげで、いかにも船を好む彼らしい内容だった。]
お前さん、ちょいとそいつを受け取りに行ってきてくれないか。
ついでにあの辺の艦を、集めて来て欲しい。
[ついそこまでのお使いを頼む口調で告げて、彼を見遣った。
口調とは別の、思慮を含んだ視線が彼の黒い瞳と交わる。]
…新型艦を遊ばせておける余裕があるほど、
敵さんも悠長じゃないだろう。
整備に入っていた艦も何隻か港にあるはずだ。
あまり日数がない。
お前さんの目で見て、使えそうなら持って来い。
[遠征の多いウルケルでは、艦隊は比較的柔軟に都度編成される。
ゆえにこうした編成命令も特別なことではないが、しかし新型艦を港まで取りに行って編成するなどやはり異常である。
しかし今はそう言っていられなかった。非常の時なのだ。]
ついでにストンプの様子も見てきてくれないか。
守備隊の残存部隊、リオレにも退いただろうが、
相当数がストンプにも流れたはずだ。
ウェルシュがいるが、あいつはちとまだ頼りない。
軽く顔を見てやってくれ。
[告げる様子はどこか柔らかくなる。
ゲオルグは長年、ストンプに──土地と、そこを治める家との両方に出入りしてきた。ごく親しくしてきたと言っていい。
だからごく当然に、男はウェルシュのごく幼い頃からを知っている。
タクマもそうした事情には通じているはずだった。
何度か過去に、副官を伴って訪ねたことがあるのだから。]
ついでにこれ。
[ごそごそと胸ポケットのあたりを探ると、やはりお使いの調子で少し皺になった手紙をぽいと寄越す。
その中身は短い挨拶に続き現在の状況、ついでストンプの工作船を出して欲しいことなどが書かれている。
戦闘が激しくなればストンプ港までの往復時間はいかにも惜しく、損傷軽微な艦を修理・整備する工作艦の需要も高まってくるはずだった。
ストンプの持つ技術力は、高い。ウルケル随一と言っていいだろう。
それを発展させ推し進めたのは、前ストンプ侯、つまりウェルシュ・ストンプの父である。>>29]
ウェルシュに届けてくれ。
こいつと、えーっと……ああ、荷物もひとつ。
[あとで届けさせると口で言い、実際に届けさせるつもりでいるのは小さな麻の小袋ひとつだ。
中にはぶどうが入っている。
いいというのに、庭で採れたからと屋敷守の老婆に押し付けられた果実を、丁度いいとばかりに手土産にさせる魂胆だった。]
艦隊を編成後、追いついてくれ。
それまで前線方面は、どうにか面倒見ておくさ。
[相変わらずの口調で告げて、副官の肩に頼むとばかりに片手を乗せる。そうして、はたと思い出したとばかりに彼の顔を見直した。]
───ぶどう。お前も食っていいぞ。
今年のは結構甘いそうだ。
[これで良しとばかりに、大いに真顔で*頷いた*]
― シコン港近く ―
[シコン港が見えてきたと連絡を受けて、艦橋へ上がる。
艦長から手渡された双眼鏡を覗けば、港を囲んで階段状にせり上がる港町が見えた。
港の入り口近くでは黒煙が立ち昇っている。]
つつがなく、ですね。
では、我々は先行しましょうか。
[号令一下、第二艦隊が速度を上げた。
総旗艦シュヴァルツアインの入港前に軍港内を掌握するために。]
[ぐんぐんと速力を上げる巡洋艦隊は他の艦隊を引き離していく。
先頭を走るザイヴァルの艦橋の上で総旗艦に向けて敬礼を送っていると、後続の一艦が目に入った。]
あの艦、そういえばユルド社の類縁の方が乗っていましたね。
名前は確か… ミリアム?
さて。少し違う名だったような気もしますが。
[側にいた兵から名を聞いて首をかしげる。
いずれ会ったら思い出すだろうかと心の隅に留めておいた。]
[本隊に先行して進む第二艦隊は、やがて前方に出迎えの船を見る。
速度を緩め艦隊を停止させ、甲板に下りて船の主へ会いに行った。]
御足労痛み入ります、ファミル・アンディーヴ卿。
[女領主への敬称を添えて呼びかける。
口調は丁寧だったが、幾分気安い親しさを醸し出していた。]
15人目、帝国軍少佐 ウルズ が参加しました。
― グロル海峡入口・第三艦隊 巡洋艦 ―
[遠くに渡り鳥だろう、鳥の声が聞こえると視線は流れてしまった。
戦闘中に、と上官が居れば窘められる所ではあるが、現在この艦で最も上の階級は自分の為、黙認されている。もっともその戦闘も、戦闘らしい事は殆どされてないのが現状だが。
暫く空に留めた視線はそこから、先を行く第一隊へと移る。
何かあればすぐさま動く準備はしてあるものの、今の所激しい戦闘の兆しも、追撃連絡の類も一切なかった。
一定の緊張感を保ちつつも、第三隊水雷母艇の護衛の任は、今のところ問題なく遂行されている。
暫くしてから、シコンが落ちた――正確には領主が投降してきた、という連絡が届く。
戦闘の気配がないのはその為かと納得しながら、今度は部下へ母艦への通達を命じた。]
リーミン中佐へ通達を。
不意をつかれる可能性もある、周囲の警戒は続けろ。
[シコン港を含むアンディーヴ領の領主は数年前に代替わりしたらしい、とは噂に聞いていた。
確か名は…と記憶を辿っていると、複葉機の音がして意識は一度散ってしまう。
知らずに短く息をついた。]
[滞りなく順調な現状とは裏腹に、思った以上に気持ちの方は晴れておらず、その事に少し驚きを感じながら、懐かしくも帝国艦が浮かぶという様変わりした海を見ながら呟いた。]
シコンを落とした次はリオレ、そして…。
[地図を思い出しながら、漠然と今後辿るだろう航路を思い出す。
距離的にはリオレからでも首都カルボナーラを狙えるだろうが、
直線状に暗礁地帯を挟んでおり、迂回しなければならない。
そうなると、と、思い出すのはウルケルにあるもう一つの港街。]
…ストンプ。
[軍港や造船所、工廠があり、軍略的に確保しておきたいだろう港町だ。
置いてきた自らの名の一部だった港を、そしてそこに居た人らを思い出して僅かながら目を細めた。]
…帰ってきたんだな。
[もう一生戻らない、などと出ていく時、この海を見ながら呟いたのも今では遠く懐かしい。
現帝国軍少佐ウルズ・アイグル、本名ウィズルカ・ストンプ。
妾腹の出ではあるものの、ストンプ領を大きくした、前ストンプ領主の娘であった。]
それにしても、ロー殿…いまはリーミン中佐か、出世したじゃないか。
[中佐呼びは馴染みが薄い。
以前は一時同僚であった、第三隊を率いる上官の事を思い出すと、少しだけ口の端が上がってしまった。
そうして故郷の海や町、かつての友や弟から、今は僅かに目を逸らした**]
村の設定が変更されました。
──シコン港、湾内──
[連絡用の小型艇で進むシコン港の囲まれた湾は、
ごく静かに凪いでいた。もとより山岳に囲まれた地形ゆえに、風雨で荒れることも滅多にはないが、その日は、それでもとりわけに静かに思えた。]
(──或いは、昨日の騒々しさとの差に、
そう感じられるだけか)
[湾内を進む船の甲板に立っていれば、髪を風が撫でていく。後背に置く軍港からは未だ名残を示すように黒煙が立ち昇る。視線をずらせば、燃えた艦が沈み、もはや見えなくなった場所が視界に入る。]
− 旗艦シュヴァルツアイン −
[ルートヴィヒ率いる第二艦隊が舵を切り、シコン軍港へ向かってゆく。
巡洋艦ザイヴァルの艦橋には敬礼をする姿があった。
彼は相変わらず澄ました顔をしていよう。
皇帝にも対等な口をきくことを許されている側近集団”小鴉”とは一線を画した立場をとり続ける男だ。
彼一身のために役職を新設したりしたから、いろいろと風当たりも強かろうが、やっかむ連中の口をつぐませるだけの働きをきっちりと示してくる。
そして、アレクトールもまた、余人では怯むような任務をルートヴィヒに次々と与えるのが常だった。
今回もまた気負わぬ答礼で送り出す。>>87]
[残りの帝国艦隊は速度を落し、ウルケル側の動きに備えた。
空の見張りとして複葉機も送り出している。
アレクトールはグライダーめいたきれいな軌道をする一機を眺めやった。]
あれはセルウィンだな。
[セルウィン・ベッカーが育ったのは、アレクトールの母の名を冠した孤児院だ。
チャリティバザーに同行しなさいと母に命じられて出向いた折に会ったのが最初になる。
もうひとり、彼の兄弟分めいた孤児がいたが、遠くにもらわれていったと聞いた。]
それ作文か。
将来、何になりたいか書けって?
[生まれた時から皇帝の座が約束されていたアレクトールには向けられることもないお題であったが、セルウィンがなんと書いたのかは気になって読ませろと手を伸ばした、そんな過去のひとコマを思い出す。]
[しばらくすると、渡り鳥の群れとすれ違うように西からきた複葉機が、母艦のある第三艦隊近くの海面へと白い波を蹴立てて下り立った。
帝都からの定期連絡便だ。天気がよければ毎日、飛ぶ。
第三艦隊からはワイヤーを携えた迎えのランチが出された。
複葉機回収の手筈を整えると、ランチはそのままシュヴァルツアインに向ってきた。
帝都から送られた、皇帝が決裁すべき案件やら手紙やらを届けるためだ。
帝都に残って政務を担っているのは、アレクトールの姉の夫である。
自身も二世皇帝に見出されて娘婿となり皇帝の地位についた三世皇帝が、将来、アレクトールの右腕とすべく見込んで妻合わせた人材だけあって、優秀でかつ野心のない男であった。
アレクトールは自身の腹心にルートヴィヒを選んだが、義兄のことは評価している。]
[小包の中身を確認した後、アレクトールはそのままランチの乗員に命じた。]
第三艦隊のロー・シェン・リーミン中佐をここに連れて来い。
──シコン港、湾内──
[そのまま視線は、昨日の幻影をなぞる。空を行った軌跡を辿り、リオレの方角に暫し視線が留まった。]
…あれは、確信されていたな。
[シュテファン・シエル。沈んだ艦に乗っていた筈の、発見されない飛行機乗りの名前を脳内で辿る。視察に降りたときに、整備技師が荒い操縦に腹を立てながら、同時に射撃の腕を褒めていた名だった。]
[睨むようにも真っ直ぐに見上げてきた表情を思えば、状況を看破されたことは窺えた>>62。
状況から類推できる材料なら多く揃ってもいる。
なにせ、先ずファミルが狙ったのは、
指揮官が駐在していたシコンの砦だった。
まず撤退とも交戦とも伝達のない状況下で、同胞の土地を攻撃する僅かな躊躇でもつかねば、いくら高地の利があるとはいえど、ウルケルの海軍を港から追い払うような真似、易くは成功しない。
そして、その混乱の起点となった砦に、捕らえられたでもないファミルの姿があるなら、私兵らの独断での裏切りでないこと、勘がよいものなら理解するだろう。]
[それから、緩やかにああ。と納得したかの頷きを経て、甲板から相対する相手へと、手を挙げての敬礼を返す。]
誰が寄越されるだろうかと思っていたが、
君か。
[そうしてから鉄面皮と噂される女領主は、艦の甲板に立つ青年の声に、わかりにくくも微笑った。]
[ルートヴィヒ・アルトハーフェン。シュヴァール商会を営む商家の長男であり、当代の皇帝の唯一無二の補佐。ファミルにとっては、商会とのかかわりを通じて、幼少時から見知った顔でもあった。]
皇帝陛下の翼にこうして、
先んじてお会いできて光栄だ。
[呼びかけに応じる声は、一般からすればささやかにであれど和らいだ音をもつ。]
ようこそ。ルートヴィヒ・アルトハーフェン扶翼官殿
扶翼殿とお呼びした方がいいだろうか。
[音に聞く当代限りの官職で呼ばい、首を傾げた。]
[幾分。他所で会うときより形式ばった応答を挟み、甲板の上にて女領主は一歩を後ろへ引いた。知己に会ったが故に浮かべられた笑みは、されと後方にやる視線に常の表情へと覆われる。]
掃除はあらかた済んでいる。
[ウルケルの──アンディーヴ領の港へ、帝国の船が着く準備は整っていると、そう出迎えた相手に声を投げる。]
昔に想像していたのとは違う形だが、
我が領内へご案内しよう。
自慢の花の季節でないのが、
少しばかり残念だが。
[操舵室に手旗で旋回を指示を出せば、小型艇は緩やかに港の方へと向きを変えた。]
[先導するように速度を落とした小型艇は巡洋艦の前を進む。途中、最初に出会ったときから伸び、とおに抜かれた背を見上げるように、振りかえった視線は長くルートヴィヒの上に留まった。]
我が領の花をにじらず、
──街を、土地を燃やさずいてくれる
その限りにおいて
我が領は貴方らを容れる用意がある。
[確かな声で告げ進む先には、階段状の街並がある。
燃えればいっそ映えるだろう白を基調とした家々に、ファミル・アンディーヴは黙して目を眇めた。]
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