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[ 地面に落ちる前に空中でキャッチ !
口に咥えたそれを自慢げに見せつける。
これはもらった !
手元に返してなんかやるものか。
彼の背後に突き立っているハルバート目掛けて、再度、走り出した。*]
ぐわーー!
[なにか、街角の皆さんからの暖かいご声援のようなものを感じて咄嗟に手を振ろうとした。
カーブさなかに買い物カートから片手を離した。
いけない、スリップだ車は急には止まれない。不運と踊っちまう!
ギューンと音を立てて、カレールーの箱が山積みになりかつクリスマスカラーに飾り付けられたままの売り場へ――]
[どんがらがっしゃーん]
ぐぁぁ、やった……もう弁償……向こう三年毎食カレーか……
[すみやかにむくりと起き上がった。流れるように土下座の姿勢を取るべく地面に片手をつき、
けれどここは、ここは、年末セール中の近所の激安スーパーでは、ない]
へっ
[土下座フォームの逆の手で買い物カート🛒のグリップを握ったまま、周囲を見渡した]
ここはどこ?
わたしはエルナ
……いやもしかして、異世界転生?今流行りの勇者パーティーから追放される悪役令嬢?ていうか万引き?
[周囲100メートルにレジらしきものがない。お会計はどうすれば]
[とりあえず、カートを引き起こして地面に散らばった商品を載せ直そうね。
みたところカレールーは41箱ほど落ちているようだった]
おお。やるな。
[見事な空中キャッチを見せたヴォルフに、賞賛を送る。
だが、取ってこいしたのに、棒を持ってこないらしい。
やはり躾が必要だなと、にやりと笑う。]
[再びヴォルフが駆けてくる。
だが、微妙にずれた狙いは背後に向いているようだった。
向こうが武器を持てば圧倒的に不利になる、が、それもそれでいいかと思うのは、戦ってみたい欲求がうずうずしてるからか。
とはいえ、素通しにするほど甘くはないし、舐めていい相手でもない。]
よっ、と、 おらっ!
[駆けてくるヴォルフに向かって、下から掬い上げるように木槌を振る。
足元の新雪を盛大に吹き飛ばして目隠しにしながら木槌を真上まで振り上げ、軽く跳躍して今度は振り下ろす。
木槌の威力を存分に発揮する一撃だが、重さのせいで狙いは甘い。*]
「買い物カートと共に異世界転生(ではない)をしたものへ、十三月が言う。
十三月の使徒になれば、永遠にカレーを作れるようにしてやろう。
今ならニンジンとタマネギは無限に出せる。
ジャガイモは南米原産だから中世ヨーロッパには無い。
十三月は、自らを広める使徒を常に求めている。
時にはこうして自ら勧誘もするのだ。**」
ナ、ナンダッテ
このカレールー41箱からでも入れる保険が?
[脳を蕩かす誘惑にわなないた]
永遠に普通のカレーを作れれば、これから……
バレンタインデーにチョコカレーを渡したり、ひな祭りにカレー寿司を振る舞ったり、イースターにカレーエッグをこさえたり、そんな季節感に踊らされることなく心の平穏を得られる……のか……
くっ、でもじゃがいもは手持ちの袋詰め6個しかない
永遠にニンジンとタマネギのカレーで耐えられる?エルナ
ううっ
[頭を抱えている]
……このじゃがいもを種芋にして、農業始めちゃう?
イモチートスキルとか芽生えていれば……まずは土作りから……
[ぶつぶつ]
[ 行く手に立つ男は木槌を再び構えていた。
動き出す低い軌道。
これまで、木の幹をぶっ叩いたり、横回転したりと多彩な木槌無双をしてきた相手だから用心が必要だ。
よく見ていたら、ぶわっと雪が舞い散る。
目に入ってちょっと痛いけど、それはそれで楽しくなって雪煙の只中へ跳躍した。]
[ と、木槌の形をした圧が襲いかかってくる。
それ脳天とか背骨とかに命中したら普通死ぬやつ。
まったくもって容赦のない攻撃だった。嬉しい。
空中で体を捻って緊急回避を試みる。
それでも腰の上あたりに衝撃があって、咥えていた棒を取り落とした。
もんどり打って雪の上に転がる。
得物がハルバードでないのは返す返すも幸運だった。
木槌はリーチが短いから体幹には届いていない。
革が破れて抉られた程度。
白い地面に赤が散る。]
[ 低く唸ってまだ戦意喪失していないと伝える。
この男を今、立っている場所から動かせれば、雪で動きが鈍くなるだろうか。
それとも持久戦で寒さに体力を奪わせる ?
とにかく力づくでのしかかるのもありだ。興奮する。
自分の血の落ちたあたりの雪を掬って口の中に放り込みがら次の手に移る機会を伺っていた。*]
[振り下ろした木槌に手応えがある。
とはいえ空中で半端に当たっただけだから、致命傷にはほど遠いだろう。
…別に殺したいわけじゃないが、そのつもりで相手しないと相手が満足しないし、こちらが殺られる。]
おう。まだやンのか?
[雪を食べているヴォルフに正対し、声を掛ける。
木槌は右手側の地面に頭を置いて、斜めに持っていた。]
おまえ、猪獲ってくるって話はどうした。
もうすぐ年明けちまうだろ。
新年料理に猪の丸焼きするっつッてただろ。
けっこう楽しみにしてンだからな。
[話しかけながら間合いを計る。
けっこう叩きのめしているのにまだ正気に返らないとは、なにか別の条件が必要なのかとか考え初めていた。*]
[ 男が迎撃体制を解かないまま、話しかけてくる。
降伏勧告でも挑発でもない、年越しと料理の話。
雪のせいではあるまいが、頭がキンキンした。]
…猪は、川の水に晒してあります。
[ ジビエの基本的処理はちゃんとしてあると言い返す。]
[ 丸焼きは美味しそうだ。
戦場の料理だ。
だけど、新年はいけない。
ぞわわっとうなじの毛が立ち上がる。]
この先は、十三月だけ。
歳なんてとらなくていいんです。
あなたと、ずっといたい。
[ ガルル、と牙を剥いて、得物を握る男に駆け寄った。*]
「肉ならばそのあたりで獲ってくるといい。と、十三月は言う。
このあたりは鹿も猪も、兎も山鳥も豊富にいる、と。
暦から解放された人間ならば、動物を狩ることも簡単にできるようになるはずだ、と断言する。
根拠はない。」
[新年料理の話を振ると、いつものヴォルフの顔で言い返してきた。
だが、十三月とやらの話をしたあたりから、また様子がおかしくなる。
十三月、なんなんだ十三月。]
てめぇ、その話はもうしただろうが。
[ヴォルフが駆けてくる。
格闘戦に持ち込むつもりか。
押し倒して噛みついてくるつもりか。
どちらも向こうの得手だ。]
おれの時間を止めるのは、おれが満足した後だ、
って言ったよな!
[ぐっと木槌を引き寄せ、頭を前にして構える。
ヴォルフが近づくのに合わせ、僅かに後退して、木槌を持ち上げた。
柄を地面に突き立て、頭を相手に向ける。
槍を騎兵に向けて構えるように、飛びかかってくる相手を迎え撃ち、直前で止まるようなら突き上げる構えだ。]
それに、このあたりはずっと冬だと戦になんねぇぞ。
[タイミングを計りながら、ぼそっと言う。*]
ぬぅ……
[目を閉じる。
腕を組んだ]
そうさ、私はひとつダメになるとやる気がなくなる系乙女さ
鏡餅売ってないし三つ葉はバカ高いし嫌になっちゃったみたいなとこあるさ
うさぎカレー、良いじゃない?卯年だけに
でも今、鳥を捕まえる自分を想像してさ
……カレー南蛮そば、食べたくなっちゃったなって
[カレー南蛮そば、つまりそれって年越しそばじゃん]
あとカレー雑煮、いいと思う
カレー雑煮食べたい
そして七草カレーもいいじゃない?
われわれ、カレーと共に歳を重ねてもいいわけじゃない?
幸いカートには蕎麦とタマネギ入ってる
あとは鍋と水と火があれば、まあ年越しカレー蕎麦にはなるわけだね?
よし、いざ! 万引き!
[カートをガラガラと押しながら明後日へ向けて走り出した]
[ 淡雪のように思考がふわふわするけれど、
ああ、こいつとは何度も戦ったなと体が思い出す。
そして、何度、戦ってもまたシアイたくなるのだろう。]
今、ここで、満足させればいいのでは ?
[ 凶悪な笑みを浮かべた。]
[ ただ、冬だと戦にならないというのは、思っていたのと違う。]
あなたならできます。
[ 言い返したけれど、一瞬の逡巡が仇になった。
飛びかかる喉元に木槌が迫る。*]
村の設定が変更されました。
[物騒な事を言って飛びかかってきたヴォルフの動きが、一瞬淀む。
戦ができないのがそんなに嫌か、と思うが、嫌だろうなと思って口に出したのだから目論見通りだ。
ヴォルフが気を取り直した時には、こちらが先に動いていた。]
ばかやろう
[呆れたような、少し起こったような声と共に、容赦なく木槌を突き上げる。]
しあいも年を取ればまた面白くなる。
戦も、いつも同じじゃつまらんだろうが。
とっとと正気に戻って新年の準備をするぞ。
来年になったら、また新しい戦を探せばいいだろ。
[突いた木槌をくるりと回して、とんと地面に立てる。*]
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