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[相手の能力が非凡であると明らかになった今、逃走の経路も尋常なものではなくなっていた。
塀に飛び乗り、壁を駆けあがり、屋根から屋根へと跳躍する。
時折、ついてきているかと視線を後ろへ向けた。
やがて、前方で建物の列が途切れる。
道を挟んだ向こうには手入れされた木々が立ち並んでいた。
どうやらこの先は森林公園になっているようだ。
広い公園の中でなら、また違ったこともできるだろう。
人工物の森を離れ、自然を真似て植えられた木々へ足を向ける。*]
[ 言葉にはされずとも、これは勝負であると言ってよかった。
緊急回避の際以外に銃を使う気はないタクマは、まだ予熱をはらむ銃身をホルスターに収める。
魔法の品ではないから、自動で銀の弾が補充されたりはしない。
前を走る男のマントは、コウモリめいて翻り、塀を、屋根を乗り越えた。]
[ 最初のうちこそ、律儀に男の後を追っていたが、すぐに戦法を変更した。
ここ十数年、暮らしてきた街だ。土地勘はある。
距離を詰めるべく、男の進路を予測してショートカットした。
その結果、男が森林公園へ至るよりわずかに早く、その手前へと回り込む。
走り込む動きを止めることなく、飛び蹴りをしかけた。*]
[追ってくる相手の姿は、途中から見えなくなった。
追跡を諦めたのかと思ったが、首筋を火花のように灼く緊迫感は続いている。
何処かで仕掛けて来る気だ。
周囲に注意を払いつつ、ひた走る。
屋根の上から跳躍し、森林公園の前に降り立った瞬間、待ち望んでいた者が来た。
死角になる位置から影が鋭く飛び込んで来る。
攻撃の意思に反応して左腕で防御を固め、蹴り足を受ける。
刹那の均衡の後、相手を押し戻すように左腕を振るいながら、自らは後ろへと跳んだ。]
やあ、追いついてきたね。
捕まえてみるかい?
[軽口を唇に乗せながら、右手のステッキを顔の前に立てて左手を軽く添える。
その構えは、フェンシングというよりは斬撃を主とする剣術に近い。]
私を叩き伏せられたら、考えてみてもいい。
[署への同行とやらを、である。
省略した言葉を補う気もなく、間合いを測りながら、じわりと森の側へ足を運ぶ。**]
[ 蹴り足を柔らかに受け止められ、弾かれる。
そのまま弧を描いて降り立ったタクマに、男は軽妙に声をかけてきた。
ステッキを手にした構えは、剣術に覚えがある者のそれ。
足場の悪さをものともしない、端正な所作だった。]
名を、聞こう。
[ 言葉の挑発には冷静を保って、尋問した。
こちらの名は、すでに相手の手の中にあるのだから。
踵を浮かせて徒手を構えながら、男の怜悧な顔を見る。**]
[相手の身のこなしの軽やかさに目を細めてから、問われたことに微笑する。
名乗れと言われるのは、求められることと同義だ。]
ギィ。
[甘やかに、囁くように、名前だけを風に乗せる。
直後、同じ風に乗って馳せた。
肩口へのフェイントからの腿を狙うひと打ち。
旧く、そして実戦的な剣技である。*]
[ 答えは、与えられた。
家名も肩書もない、ただそれだけでわかるだろうと言わんばかりの名乗りは、自信を感じさせる。
間髪おかず、風を切る音が続いた。
肩口への一撃 ── ステッキとはいえ、まともに受ければ鎖骨が折れそうな ── をフェイントにした、下肢狙い。]
──ッ!
[ 前へと出ながら、受け流しに上げかけた腕を肘から回転させて、相手の手首を捉えんとする。
ビシリと腿を打ち据える痛みに、わずかに身が硬直した。*]
[肉を打つ感触がある。
得物を介してとはいえ、肉体の鬩ぎあいは快をもたらした。
向かい合う対手の筋肉の躍動を、至近で混ざり合う荒い吐息を感じれば、身体の奥から熱が湧き上がる。
悦びを味わう半瞬の間に、ステッキ持つ手に衝撃が走った。
重い打撃に腕が外側へと払われる。
得物を取り落とすには至らなかったが、手首から肩のあたりまでじんと響くものがあった。
果断な反撃を受けて、笑みが深くなる。
淡い蒼と見えた瞳の芯に、別の色が差していた。
先ほど手にした宝石にも似る、鮮やかな紅。]
[武器持つ手を払われたなら、一旦距離を開けて体勢を立て直すべきだろう。
彼我の距離も既に、徒手の間合いだ。
だが、下がるよりはなお前に出ることを選んだ。
一歩を踏み出し、距離を限りなく零に近づけることを試みる。
胸板を合わせんとするほどに身体を寄せ、首を傾ける。
睦言を囁くかのような仕草だが、言葉吹き込むのではなく耳朶を噛み裂くを目的とした。*]
[
シュ!
鋭い音に続いて何かよく分からない、しかし空を飛ぶから鳥なんじゃないかな?と思われる生き物が高い悲鳴をあげた。
ここにいる生き物は見たことのないものばかりだ。鳥、のようでいてツノのある生き物だとか。しかし食べるには意外と困らない。
積み上げた枯葉の上に枯れ木を組んで、葉の下に火種を突っ込む。捌いて木に刺し、軽く塩を振った謎の鳥もどきを炙りながら、ウエストポーチから取り出したパン── ドライフルーツを練り込み、腐りにくいように水分を極力減らした固いものを薄くスライスして、こちらも火で炙る。
水場も確保したから魚?だって釣れる──よく分からない状況ながら、意外と快適にやっていた**]
[ 互いの腕が交錯する。
その一瞬に、ギィの笑みは濃く、瞳は色を点じた。
この世のものならぬ美しさ。
だが、見とれている余裕などない。
そのまま身を寄せてきた動きは、奥の手と見えた。]
[ 先のやり取りで、ギィの正体は仄めかされていた。
唇の触れる距離に首筋を晒すのは、危険であると本能で察知する。
だが、突き放すにも躱すにも、間に合わぬ。
とっさに右手をギィの背に回した。
抱擁にも似た動きで長い髪を掴む。思い切り引いた。
それで狙いを反らそうとしたのだが──絹のごとく艷やかな髪は指の間を滑り、制しきれないままに、耳朶を牙が噛み裂く。
緋色のしずくがギィの白皙の肌を飾った。*]
6人目、城主 ソマリ が参加しました。
城主 ソマリは、人狼 を希望しました(他の人には見えません)。
[滴るように赤い満月が空に浮かび、明けない夜が押し包む森の奥、
ぽっかりと開けた場所に古い城館が建っている。
森の木々より少し高い尖塔を備えた建物は、空からならよく目立つだろう。
周囲を囲む石壁は蔦に覆われ、門扉は錆びついているようにも見える。
だが門を押すものがあれば、閂もなく、軋むこともなく滑らかに開く。
門より続く庭も、城館自体も、森に飲み込まれつつあるような風情ながら、手入れされていると気づくかもしれない。]
[城の奥、主だけに許された場所でまどろむのは、この城で唯一実体を持つ者だった。
髪も眼も、肌も服装までも漂白されたように色が淡い。
幽遠の果てに魂を遊ばせるかの風情だったが、微かな空気の揺らぎに目を開いた。]
客人があるか。
ならば歓待の準備を。
[言葉に感応して、影のように朧げなものたちが城の各所で行き交いだす。
意思無く形なく、ただ城の雑事をこなすだけのものたち。
それらが働く様子を意識の外に置いて、城主は指を伸ばす。]
我が領を訪うものとは、久方ぶりだ。
佳き刻を過ごしてもらわねば。
[空気が白く霞み、森に入ったものたちの姿を映し出していた。*]
ふ 、 …――
[押し出されるように息が漏れた。
舌先に触れる血の香気が陶酔をもたらす。
白い喉を曝け出して微かに喘ぎ、膝の力が抜けたかのように身体を沈めた。
姿勢を下げながら身体を半回転させ、髪を掴んでいる腕に両手を添える。
愛でる手つきで指を滑らせ袖をつかみ、背負う形で投げを打った。
手から離れたステッキが、からりと音を立てて転がる。]
[ 血を舐めたギィの吐息に眉をひそめた。
それはあまりに官能的で、己の血に対する評価としては贅沢すぎる。
極めて精巧に人の姿を模しているが、魔力で形成した器である。
美味ではなかろう。
にも関わらず、悦ばせていることに、苦い思いがした。
あるいは、これは焦りか。]
[ 不意に、ギィの身体が沈み込む。
失神したかのような虚脱に、とっさに抱え込まんとしたのは、守護者としての性。
前屈みになった身体は、続く投げの形にあっさりと持っていかれる。
そうなると身体はもはや、抵抗ではなく、怪我をしないための受け身へと反射的に推移した。
反転した視界に、紅の瞳と、月光が流れる。
後は、落下するのみ。*]
村の設定が変更されました。
[相手の身体が宙を舞い、上下反転して見交わす視線に時が止まる。
投げの最後の瞬間に腕から力を抜いて、叩きつけるのを避けた。
彼を壊すのは、まだ本意ではない。
彼の身体が地につくのと同時につき離し、飛び下がる。
途中足先にステッキを引っかけて蹴り上げた。
着地点で飛んできたステッキを受け止め、シルクハットの傾きを直す。]
サム・タクマ・シース。
いずれは君の真名を聞きたいものだ。
[彼を見つめたまま、後ろへ大きく飛んだ。]
もっと追ってきて。
私が君を捕まえるまで。
[奇妙に複雑な言葉を残し、木々の間に身を投げる。
今度はかくれんぼをしよう、と笑む顔が、一瞬固まった。]
[ 幸い、落ちたのは公園側だった。
転がって衝撃を逃し、立ち上がる。
相変わらず手妻めいた挙動で、ギィもまた、地上に下りてきた。
その濡れて艷やかな唇から、己の名が紡がれるのを聞けば、身震いがした。
すでに何某かの縁が結ばれたのを感じる。
もっと、と求める声は戯れめいて真摯。
今度はかくれんぼだ、と笑い、闇に消えてゆく。
最後の瞬間には、意外そうな顔をしていたのが、わずかにひっかかった。
何を考えている──、と手櫛で髪をかきあげて、一旦、署に連絡をいれるべく、通信機を手にとった。]
ん?
[ 電波がつながらない。]
──…、
[ 見渡せば、植生が見知った公園のそれとは異なる気がする。
街の灯りも見えなかった。
闇に呑まれたのは自分の方かもしれない。*]
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