[―昨夜―
カタリ。
幽かな音を鋭敏な耳が捕らえる。警戒態勢と取ろうとしようとして、今度は嗅ぎ慣れぬ香りを発達した鼻が捉える。
ふわり、と体から力が抜けた。身を任せてもいいような、そんな感覚。
うん、これはちょっと様子見ても面白いかもにゃあ。
寝ぼけた頭がそう判断する。体を丸めたまま、目を瞑ったまま。
けれど耳だけはそばだてて。
小さな足音が近づいてくる。
敵意はになさそうにゃんだけど……
動いた方がいいのか、でもこの暖かな空間を壊したくない。
そんな事をふわふわと考えていると瞼の外が翳る。
いつの間にか近寄ってきていたようだ。