― 3年後 ――――…伯母の死と。母の病が悪化したことを機に、俺はまた灰色の部屋へと戻る。時が止まったままの、灰色の箱の中。止まったまま、ゆっくりと何もかもが腐っていくような。母の執着はひどかった。俺に届いた手紙も、見つけ次第全て焼き捨てられた。外部への繋がりが全て、母にとっては悍ましいものであるようだった。絡みつく手をほどいてもほどいても、厭わしい生き物のように纏わりいてくる手。