[ こちらの誰何に相手が答える前に、名を呼ばれたファミーユが、弾かれたように駆け出していく。その姿と迎える男の表情を見て、胸の内に納得が落ちた ](そうか...)[ 同時に、今は半身と共に居るであろうガートルードのことが思い浮かぶが、その物思いは、一瞬の後、吹き荒れた風の音に攫われる ]カナン様![ 咄嗟に案じるのは、常に最優先しなければならないと、身に染み付いている王子の身 ]