[相手は矢を避けることに専念しつつ、さりとて大きく距離を開ける様子もない。>>*103
接近狙いにも気づいていない様子とも見た。
つまり少しずつ接近するという狙いは叶っていたわけで]
……時のしるべをここに。
[長物の間合いぎりぎりまで近づいたなら、
矢を射るのをやめて一度大きく翼をはばたかせた。
僅かに広げた右手に橙色の羽根が降り注ぎ、
奇怪なかたちの剣をゾフィヤの手の中に生み出す。
いや――それはもはや「針」と言った方がいいのかもしれない。
時計の針に似ている、そう思えるかたちをしているのだから。
直後、羽ばたきが生んだ風に乗りゾフィヤは空を翔ける。
相手の懐へ真っ直ぐ飛び込むようなコース取りをしながら、改めて右手に持った針を強く握りしめた*]