― 回想・フレデリカ入寮当時 ―
[少女の語る声が揺れていのが明らかにわかる。
男として生きる必要のある少女・もういない「お兄ちゃん」
ぽつぽつと語られる内容は、おぼろげに想像していた可能性と見事に符合していて…幼い頃、泣いていた妹を宥めた時のようにぽふりと金色の頭を撫でた。]
うん。他の寮生と話すときは、出自を隠す意味でも気を付けた方がいいけど…
僕は、記憶力が良い方じゃないから。
聞いてもすぐに忘れるから……悲しい気持ちが溢れそうになったら、いつでも置いていくといい。
他には、決して出さないからね。
[できるだけ落ち着いた口調で言葉をかけ、気づいたように付け足した。]