[下げられた左の腕が、切り上げた刃を払う。
舌打ち一つ、引き戻そうとするのに僅かに先んじて、真一文字に振り切られた一閃が胴を裂いた]
……ん、のっ……!
[再び落ちる、緋。
けれど、それに怯む暇はない]
『紅雷』、力、貸せ!
[今までの対峙から、雷撃を受けた後のあちらの動きにある程度の制限がかかるのは見て取れている。
ならば、この距離は好機でもある、と。
払われ泳いでいた右手を引き戻し、傷から溢れる己が血を刃に乗せる。
呼応するように『紅雷』の鍔から赤い光が落ち、それが刃に宿った]
っせぇ、の!
[叫びと共に繰り出すのは、胴狙い突きの一撃。
刃は鎧の硬度に阻まれるかも知れないが、宿る雷気は通るはず、と念を込め。*]