[ヨセフの静かな、だが真摯な声が割り込んでくる。>>*85ユーリエと最後に別れた場面が蘇って、ディークの声も神妙になった。] ああ、あのひとは、王都へ戻りたがっていた。 家族に最後の別れを告げるんだ、と。[それを、阻止するなど。] 俺はもうレオヴィルに帰れる義理はないと考えていたし、姫も無理強いはしなかった。 その方が、自由でいられるなら、と言ってくれた。[「でも、帰ってきたくなったら、過去にこだわらないで」──そんな言葉までくれた。]