[じりじりと、槍の刃先を相手へ向けて牽制しつつ、少しずつ位置取りを変える。
間を持たすように開いた口から、何気なく言葉が零れてきた]
――おれっちなぁ。昔は自分が、なんの動物なのかわかんなくて。
羽根が生えるから鳥だっつーことはわかっても、次の疑問は当然浮かぶよなぁ。
『それならなんで飛べないのか』って。
[両親の顔は知らない。ろくな教育も受けていない。
だから動物の種類を知る機会などほとんどと言っていいほどなかった]
せめて、飛べる鳥だったら気分も幾らか晴れたのにと、そう思ったこともあるよ。