[眼前から響く気合いの声>>*64。
四肢を使う前進は、まさに獣の襲撃を思わせる。
左右後方へ流した腕から、交差軌道の斬り上げに移ることは見えてはいた、が]
ぐっ……!
[刃の重量が仇となり、振り抜いた槍を防御の位置まで引き戻すのでは間に合わない。
せめて急所への攻撃は届かせぬよう、脇を締め両腕を交差させることでガードする。
既にボロボロになっていたシャツの袖がついに弾け飛び、黒白の羽根が幾枚も宙を舞った]
はあ、はあ……。
[半ばたたらを踏むように一歩、二歩後退する。
槍を引き戻すのに成功すれば、その石突を床に突くようにして、更に後方へ向けて跳んだ。
どうにか距離を取る、といった程度のキレのない動き]