リーン…
[湖面に触れず滑空しつつ、跳ねる水飛沫を凍り付かせて迫る柊の護花の姿は、皮肉なことに、小さく白い花を湖面に咲かせつつ舞う、花精にも似ていた]
花は散りゆき 花は咲く
冬は巡りて 春となる
[花神を追って地面を穿つ氷の矢、そして更に四つの矢を連れて、正面より神に挑みし柊の護花、それらを全て意識の内に収めながら、花神は蓮鈴の音に合わせるように言霊を紡ぐ。
己を散らそうとする少女に>>*57聞かせようとするのではなく]
リーン…!
[回転する鋭い穂先が、花神の胸を貫こうと突き出されれば、花神は僅かに身を捻っただけで、敢えてその左肩を貫かせる]