[そうして。少女の足はまだ地面に着いてなかったから。まるで地を蹴る前振りのように軋む腕に力を込めて、身を上方へと飛ばした。まるで自ら弾き飛ばされたようにも見えるだろうか。女性の足の先を足場に、自らにかかる重力を軽くしての跳躍。すたっと屋根の上に着地すると、能力行使が間に合ったことへの安堵と疲労感が襲い掛かってきて深い息をついた]……ただの蹴りじゃない。[それは少女にとっては素直な賞賛を込めた言葉だったが、常通り抑揚に乏しかったのでそうは聞こえなかったかもしれない**]