[鎖の軌道がとっさに読めなかったこともあり、女性への攻撃は中断しなかった。>>*47
負傷させれば少しは動きも鈍るだろうか、との考えもあってのこと。
だが、鎖の方にも意識を割いていたためだろう、
刃でもって女性の動きを鈍らせるほど深く斬り通すことはできず、
彼女の肩口から流れていく赤を見ながら表情は自然と険しいものになっていく。
“重力の壁”に弾かれた鎖の動きに引っ張られるようにして、
振りあげていた女性の足が下ろされる。
それが次の動きの起点。腕から足へと重心が移されて、]
―――― っ!
[くるり、円を描くような動きと共にもう片方の足から蹴りが放たれる。
腕を交差させてそれを受ければみしり、と嫌ーな音がわずかに体の内側から響く]