ッち、ィ[蹴り上げる爪先が避け切れず顎を打つ。咄嗟に上向いて逸らした為、脳を揺らすには至らない。くるり回って身を起こした相手は、直ぐさま距離を詰めた。戦鎚を構えるには数瞬足りず、また振るうには近過ぎる。繰り出された掌底を左手で払い、体を反らして受け流そうとする。しかしその左手に一瞬走った鈍痛に、払い切れなかった拳が胴を掠める。ダメージは然程ないものの軍服の金具が弾け、男は目を丸くして、戦鎚片手に地を蹴った。距離を取り、肩を回す。]