[油断をした心算はなかった。 しかし端麗な有翼の姿を持つ主が、竜の如き爪を振るうとは予想していなかったのも事実で。 交錯の瞬間、こちらの鉤爪の手応えは浅く、一方主の竜爪は左肩を深く捉えて鎧を大きく砕いた] くっ……[勢いで前のめりになりながら、腹這いの形で床に倒れる。 形勢は決したと言えるだろう] 負け……ました……。[身を起こしつつも、項垂れた視線のまま宣言する。 右手で押さえた左肩には、僅かながら赤色が滲みつつあった*]