[次の異変は、手の中で起きた。
戸惑いつつも打ち据えるべく振るった鞭が水気を纏い、見る間に氷の刃を生成していく。
相手の意図など推し量る暇はなかった。
このまま振り抜けば彼に深手を与えてしまう。
咄嗟にできたのは、今まさに彼を切り裂かんとしている右の得物に、左の得物をぶつけることだった。
耳に痛いほどの音と共にふたつの銅鞭が衝突し、衝撃で氷の刃が砕け散る。
なお勢いを殺しきれずに右の鞭は相手の胴に届いただろうが、威力はずっと弱まったはずだ。
手元に近い場所でぶつけたせいで手が痺れ、武器を取り落とした。]