― 回想 ―
へえ、こんなハンパな時期に入寮なんて、珍しいな。
[カレルが東寮にやってきたのは、何月の頃だったか。
その数ヶ月前まで同室だった生徒が卒業した後、一部屋まるまる広々と使っていたが、そもそも『市街地に下宿すんの遠くてメンドイ』などという理由で寮に転がり込んでいる身なので、文句を言うこともなく]
剣術と格闘術を主に教えてる、シロウだ。よろしくな。
同室だからって贔屓とか逆贔屓とかはしねぇけど、まあ適当に頼むわ。
[寮生活では互いに世話になったり世話をしたりすることはあっても、授業とは別物だからと。
そういつものノリで挨拶をしたのだった。
それから数年。
部屋に工口本だの麻雀セットだのコンドー君だの酒だのを持ち込んでいるのを当然知っているカレルが、前の同室者のように呆れ軽蔑したような視線を向けない事をありがたいと思いつつ。
オレのようにはなるなよー、とも思っている今日この頃だった]