― 回想・数年前 とある寒い日 ―
[ 何度となく訪れたことのある、その下宿。
異性の家、とは言えど、ノトカーの年齢では彼女から見れば
意識するようなものでもないのだろう。
訪ねていけば、それなりの頻度でお茶をすすめられた。
だがノトカーは部屋に上がる事を頑なに拒んでいた。 ]
いや、料理もってきただけだから…帰るよ。
母さんが作りすぎちゃった、って。
[ そう告げて小さ目の鍋に入ったシチューを彼女に渡す。
かわす言葉はいつも少ない。
彼女はグレートヒェンといる時は、よく喋ると聞いた。
友達のほとんどいないグレートヒェンにとっては、
大切なひとなのだろう。と思う。 ]