『闇と月明かりが味方をするぞ』
『目だけに頼るな』
[戦の始まる直前に主にかけられた言葉>>23が、不意に脳裏によみがえる。
同時に、襲い来る花弁の音とは異なる、大地を踏みしめる音を耳が捉え、とっさにバックステップを踏んだ。
同時に、皮膚の表面を切り裂いて駆け上がる刃の切っ先。>>*43
左の肩から右下へ、斜め掛けに上体に巻きつけたワイヤーが、僅かながら防御の役割を果たし、ほんの僅かに切っ先の軌道をずらす。
そのまま強く大地を蹴り、背後へと距離を取ると、流れるように右腕を振るい、剣の護手で刃を弾いた。*]