...くっ!
[ 完全に予想外の方向からの蹴りに、即座に対処する事は出来ず、今度の蹴りはまともにくらって、男は蹴り飛ばされる形でよろける。ざくりと、狼の爪に脇腹を抉られ、地面にまで朱が散った ]
が...あっ!
[ 男の瞳が、光彩を細め、金色に染まる、刀が纏っていた炎が消えて、地に手をついた、その姿が、太い四肢で大地を踏みしめる黒虎の姿へとみるみるうちに変じていった ]
ぐる...
[ 不機嫌そうに喉を鳴らした銀の縞持つ黒虎は、たっと地を蹴り、己を傷付けた相手へと飛びかかる。
獣の姿となっても、性癖はそのままに、真っ向からの力技。だが、虎の牙と爪は、ある意味刀よりも凶暴な力を持っている* ]