[狙う獲物へと距離を詰め、牙を届かせようというのはこちらもあちらも同じこと。
数度宙を蹴った雷狼が水面に近づけば、とたんに水面から伸び来る無数の花茎。
雷狼の足が、行く手阻まれる度にバチリと火花を散らすが、構わずに絡みついてくる蓮に、男は目をやりぐっと下肢に力を込める。]
ッ、
[雷狼の背を蹴り、跳ぼうと思った。
しかしそれを寸前に留める。
それは、空中を狙われる恐れを加味した故の行動だったかもしれないし、あるいは…
正面から向ってくる花神を、受けて立ちたいという衝動に飲まれたからかもしれなかった。
構えたサーベルに左の指先で触れると、バチリと金属が帯電する。]
ッ、ハァッ
[気合を込めるように腹から声を出して、見据える瞳は蒼銀に燃え*]