俺は、葬儀には参列出来ないので...資格はある、と言われましたが、下手をするとクーデターが起こりかねないそうです。
[ 王権を巡る混乱は、すでに争いに発展しかけていて、事実上の皇太子候補である男の周りには、取り入ろうとする者と、排斥しようと動く者、遂には抹殺を計る者までが群がる事態となっている、とは、ヨセフにも察せられただろうか。
だが、当然のように、そんな動きは、男自身の心とは、何の関係もないものだった ]
俺は......兄上を護れませんでした。
[ 遺体の戻らなかった皇太子の棺には、急遽こしらえ上げられた、木彫りの彫像が置かれていた。その彫像の面影を切なく見つめ、男はぽつ、と言葉を落とす。
あの日から、幾度となく、苦い後悔と共に、繰り返した言葉 ]