― 起つを決めた日(回想) ―[起つ。告げたのは、その言葉だけだった。厳しくも忠実に守り扶けてくれた臣に手を伸ばす。森の中よりついて来てくれた漢に手を伸ばす。触れた先で響き合うのは、あの日の赤い都城。燃えあがる炎に呑まれんとする光景は、やがて旭日に映えて輝く城の姿に変わる。炎の中より生まれる、新たな力強い姿へと。] おまえたちの力、存分に揮ってくれ。[待たせた、と。微かに唇が告げた。]*