……うん。母の趣味だったから。同じようなものを作れたらと思ったのが最初。直接には教われなかったし、これは見よう見真似の自己流なんだけどね。[何気ない質問には、ふと視線を落として一拍置き。けれどすぐに友人の顔を見て、笑いながら答えた。どうしたと聞かれれば、母はもういないから、と嘘はつかずに答えて。公国出身の母はいない。帝国出身の父もいない。厳格で、こんな趣味許してくれなかった祖母も、もういない。家族絡みのことは、普段なら煙に巻いて逃げてしまう類の、一番口が重たくなる話題だった]